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「おしっこ、ついてきて。」

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「師匠のお筆」6-3

『師匠のお筆』


6-3


その頃、枕必と鈴美が戯れる部屋の隣の教室では、彼らの子供たちである須美恵と神雄が、これもまた淫らな遊戯に興じていた。

「ぶっといわね、これ」

神雄の顔に向かって、吐き捨てるように須美恵は言った。その視線の先には、彼の男根がある。それは、地面と平行、いや、その度を越してさらに上方へ向かって勃ちつつ、ピクンピクンとリズムを刻んでいた。

彼の足元には、シャツやズボンやブリーフなどの衣類が、ぐしゃぐしゃになって落ちている。少年は今、素っ裸で立たされているのだった。

そんな彼を、こちらはしっかりと洋服を纏った須美恵が、高飛車に見下している。

「見られるわよ、お母さんに」

真顔で須美恵は言った。脅かすような口ぶりだった。

鈴美が来ていることを、二人は知っていた。さっき、この教室の前を通っていったからだ。さらにその後、枕必と隣の部屋にいることも知っていた。

「見られるわよって言ってるの! このぶっといの」

須美恵は、肉竿の先の方を握って、大きく上下に振った。握手をした手を、子供がふざけてブンブン振り回すような仕草だ。

神雄は、つかまれた瞬間こそビクリと肩をいからせたが、後はただ委縮し、硬直して立ちつくしていた。硬直の具合は全身に至っており、彼の陰嚢までもが、まるで持ち主と同じように縮こまっていたので、それは肉竿を振られてもあまり揺れないほどだった。

「こんなとこだけ立派になって。――見てもらいましょうか? お母さんに」

須美恵は、ちょっとイライラした様子で言った。頑なに黙りこくって、態度のはっきりしない神雄を見ていると、時々癇に障ることがあるのだ。

もちろん、本当に見せに行くつもりなどない。そんなことをすれば、かえって須美恵の身の破滅である。彼女は、神雄が反抗しないことを見透かしていて、それでわざと踏み込んだ発言をし、愉しんでいるのだ。

「お母さん知ってるの? 知らないわよね。あなたがこういう……、変態だってこと」

変態呼ばわりされてもなお、相変わらず神雄は沈黙を守っている。いつもそうだった。そして、そんな彼のことを、須美恵はよく、いじめたいと感じる。これも愛情の裏返し、というわけだろうか。

須美恵は、さらにまくしたてる。

「おちんちん大きくしちゃってさあ。いやらしいこと考えてるから、こんなになるんでしょう? ねえ?」

言いながら、肉棒をベタンと下腹に押し付ける。
その反動で、神雄は足を後ろによろめかせた。いかにも屈辱的なポーズだった。

「もうお母さんとか関係ないんだ? スケベ過ぎてどうしようもないんだ?」

矢継ぎ早の詰問に、ますますうなだれる神雄。まるっきり、悪さを咎められて説教されている格好だった。だが、もちろんこれは筋の通らない説教である。彼がこんな目にあっているのも、須美恵の主導によるものなのだから。

そういえば、神雄の母・鈴美も、隣の部屋でちょうど同じような理不尽な思いをさせられている。須美恵の父・枕必の企みによってだ。

須美恵も神雄も、そんなことは知らない。

神雄は言うまでもないが、枕必の女癖の悪さは重々承知しているはずの須美恵でさえ、具体的に彼と鈴美を結び付けて想像したことはなかった。まして、隣で情事にいそしんでいようとは。

(あいつの名声で、あの女をたぶらかしておいて……)

などと、かつてその程度の画策は目論んだが、肉体関係に至っているとまでは考えないのが、彼女の想像力の限界だった。

「ねえ、もしかして、お母さんがいるから余計に興奮してるの?」

意地悪くほほ笑みながら、須美恵は訊いた。そんなことはないだろうという思いと、ひょっとしたら、という思いの相半ばする心境だった。

(でも、本当に母親のせいで欲情したりもするのかしら? 男はみんなマザコンだって言うし……)

だとしたら、と須美恵は考えているうち、何だか鈴美に嫉妬の気持ちが湧いてきた。結果、神雄をさらにいびりたくなった。

「お尻を出しなさい」

言って、彼女は強引に神雄を引き寄せた。

彼は、腹部を彼女の左腕に預けて、そこを軸に体を前のめりにする姿勢をとらされた。これで命令通り、尻が須美恵の眼下に位置するわけだ。

「いけない子ねえ。お母さんが居ても、スケベなことばっかり考えて。おちんちんこんなに勃てて……。そういうダメな子はねえ……」

(お尻ペンペンよ!)

須美恵の頬が緩む。この思いつきは彼女を興奮させた。

須美恵は右手を振り上げた。そして――、ピシャリ! したたかに神雄の尻をぶった。

「こうよ!」

すぐにもう一発ぶつ。ジーンと手のひらがしびれる。それと同時に、彼女の心をゾクゾクと黒い悦びが走る。

(ああ! お尻を! この子のお尻を!)

少年の小さな尻をぶって、懲罰を与えること――、まるで母親の代役としてそれをなす自分に、彼女は酔いしれていた。実の母親よりも重要な地位を占めていると、彼女は実感するのだった。

神雄は、この不条理極まる体罰をも、甘んじて受けた。もはや理屈などはなく、ただただ須美恵に従うのみだった。彼の男根は、その間も強固に勃起していた。

「こうよっ! そういうスケベな子にはねえ、こうっ!」

バチン! バチン! 須美恵の平手が連発する。叩く度に、力も強くなる。見る間に、神雄の尻は真っ赤になった。

須美恵は、ちょっと休むつもりで、右手をさらに奥へと伸ばしてみた。陰嚢、そして、その肉棒がそこに確かめられるはずである。と、すぐにその指先に、そそり立つ肉棒が触れた。

「あなた、子供のくせになんてちんちんしてるの! どうしようもない変態さんね!」

須美恵は、容赦ない罵声を浴びせた。が、内心は狂喜していた。望み通りの彼の反応に。

(なんて素晴らしい子……!)

彼女にとって、理想の性奴隷だった。彼女はうっとりと、彼の背中を撫でた。少年の肉体は、猫を抱くような柔らかさだった。その表面の細かい産毛が、手のひらに心地良かった。

そこを撫でるうち、今までとは打って変わって極端に優しい言葉を、われ知らず須美恵は発していた。

「痛かったわね……。ごめんね……」

彼女の心に、少年への愛が満ち満ちている証だった。

神雄は何も言わない。ただ彼の男根は、今にも暴発しそうなほどに猛り狂って勃っていた。


<つづく>




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<6章 目次>
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