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「おしっこ、ついてきて。」

「師匠のお筆」5-1-5
『師匠のお筆』


5-1-5


鈴美があの教室で出会った、文子と年が近いと思われたあの二人の女も、ギャル風の容姿をしていたあの女も、みんな枕必と肉体関係を持っていた。そして、あの教室に通う限り、現在もその関係は続いているのである。いわば、あそこは彼にとってのハーレムなのだった。

どうしてそんなことが可能かというと、別に弱みを握って脅迫しているとかではなくて、ひとえに彼の行動力による賜物なのである。

彼が女を口説く際の積極さと手際の良さは、実に並々ならぬものであったし、あまつさえ、財産と地位を有してもおり、女好きのする風貌でもある。枕必は、そういう引き出しを各女の需要に合わせて出し入れすること巧みで、それを実地に適用し目的をやり遂げてしまうのであった。

それほど女を落とすことにバイタリティ溢れる彼であるから、鈴美のことも端から肉体を攻略する対象であった。

しかし鈴美は、枕必がこれまで付き合ってきたどの女に比しても、顔といい胸や尻いいとりたてて特徴のない女である。性格についても、これまでの女にも見られたいずれかのパターンに容易に分類できた。

それでも彼女に興味を持ったのは、先述の通り、色恋とまるで無縁そうな地味な母親を自身の手で性に目覚めさせることが彼にとって快感だからで、出会った瞬間の彼女が、その実現に年齢・容姿・雰囲気ともにまさにちょうどいい頃合いだったからである。

ところで、そういう風にいかに枕必が恋とは違う動機で鈴美に近づいたとはいえ、恋に燃える彼女をまったく愚弄し、その気持ちを傷つけようと企んでいたかというと、それは違う。

確かに、彼の中には鈴美のように一途で澄み切った恋心はなかった。だからこそ彼女の気持ちを冷静に受け止められ、そしてそれを利用したことは事実である。

しかし、だからといってただただ感情を介在させずに遊んでいただけというわけではなく、また影で彼女を嘲笑っていたわけでもない。彼は、彼女の気持ちに当意即妙な相槌を打ちながら、その都度彼女をいたわる気持ちでいたのである。

要するに、枕必は鈴美のことを可愛い女だと思っていたのだが、それはまるでペットを見るような、絶対的力関係から生まれる憐みの情を彼女に対して抱いていたということであった。

ある種、それはそれで残酷な感情であろうが、数々の女と相前後して同衾しておきながら、それについて何らの拘りも持たない彼に、もし誰かがそのことを責めてみたところで、まったくの梨のつぶてに終わったでろう。

「ね」

文子が言った。

「鈴美さんもいいけど、ね?」

文子は、勃起した肉竿を握りしめた。

「どうせまたできるんでしょう? 絶倫だもの」

後半は半分笑いながら文子は言った。彼女にとって絶倫という単語は、冗談の部類に入るものだった。

だが実際のところ、枕必はいわゆる絶倫と呼んでしかるべき男であったろう。数々の女と寝て、しかもそれらを一様に満足させるのは並大抵のことではないが、彼はいつもそれを成し遂げてきたのである。

今それを体現するかのように、彼の陰茎は大樹のようにどっしりと佇み、大いなる幹を張ってどんな風雨にも動じない構えを見せていた。

文子には垂涎ものだった。一度でもその絶倫を知れば病みつきになるという。彼女は今やその依存症であった。

我慢の限界という様子で、文子は彼の行く手を遮るべく部屋の戸に手をついて尻を突き出すと、後ろ手に枕必の勃起を自身の肉穴へと導いた。

「ねえ、ちょっとだけ。ねえ、ちょっと、ね?」

文子はひとり言のように言った。肉棒依存症の女の、あさましい願望のほとばしりであった。肉棒は、今にもその手によって彼女の穴へとその身を埋めようとしていた。

が、そうはいかなかった。枕必が腰を引いたからである。

「ねえぇ」

不満を露わに、文子は眉を寄せた。秘穴からは涙のように、愛液と精液がツーっと滴り落ちる。やはりもうやる気がないのか、と文子は大いに落胆した。

しかし、枕必の目は先ほど来の冷めたものではなくなっていた。彼女の執拗な誘いと、全身性欲の塊のような体が枕必の気まぐれに火を付け、彼はある趣向を思いついていたのである。


<つづく>



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