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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」
「大輪動会」(連載中)

短編作品
「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

一話完結
「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」  ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

大輪動会-プログラム#25-


 *

「誰が呼んだのよ、まったく」

口をへの字に結んで、ある主婦がこぼした。そちらを指して言わなくとも、皆誰のことか分かっている。知らぬは当人ばかりなり。この店で盛り上がっているのは、金光のいるテーブルだけで、ほかはあからさまに白けていた。

「今まで来なかったじゃんねえ」

友人の女も同調する。これまで金光が役員の打ち上げ会になど来たことはないのだ。

 向かいに座る島田は“まあまあ”と苦笑いでなだめながら、目の前の刺身を勧めた。本来なら、自分だって金光と同じ宴席になど出たくない。だが、今日ばかりは彼を間近に見ていなければならなかった。

「(それにしても……)」

溜め息つきながら、彼は考える。先程の電話で、小林が言っていた内容だ。

 本来なら、今頃有紀を自宅に送り届け、一連の事件からは既に手を引いているはずだった。この宴会は、それまでのいわば時間稼ぎ。家に帰った金光が、あられもない妻の姿を見て屈辱にまみれるか、あるいは妻がこの件を隠し通したとして、寝取りの真実を知るこちら側が密かに嘲笑うか、いずれにせよ、顧問弁護士と彼女との不適切な関係は動画の流出により世間に暴露され、金光は醜聞を避けられないという筋書きだった。

 たとえ自分を姦淫した犯人の名を有紀が訴えたとしても問題ないと踏んでいる。証拠がない上に、ここまで大がかりで突飛な話は真実味がなく、誰も真に受けないだろう。それに、恐らく金光は事実を公表しないだろうし、仮に追及を始めたとして、それを信じ、協力する人間はこの町に皆無だろう。なぜなら、彼は一番大切なもの、人望をないがしろにしてきたからだ。どんなに土地の名士で小金を持っていようとも、利潤の出ない個人的な用事にまで付き合う道楽者はいない。そして、その頃にはもう、スキャンダルによって彼の名声は少なからず傷ついているはずなのである。

 とはいえ、島田らの我が身に災難が降りかかるかどうか、それは一種の賭けだった。金光がその気になれば、直接的復讐に転じないとも限らない。それでも、島田はリスクを取った。慶介ら、コミュニティの若手が罪に走った以上、この船に乗るしかないのだ、と。むしろ、これを奇貨として、皆の敵を葬り去る機会だと考えた。

 島田はお猪口を煽った。酒が喉に染み通る。彼は熱い男だ。醜悪な罪人に成り下がってなお、この町の繋がりを信じている。その辺り、この閉鎖的地の因習文化を色濃く受け継いでいると言えた。

「(しかし……)」

一方で彼は頭を抱えた。現実は筋書き通りにいかない。彼らはまだ犯し足りないと言う。被害女性への同情心などいまだ湧かないが、さすがにこれ以上事を大きくしたくないという焦りはある。

「(金光が帰宅した時、妻が居ないとなると、奴はどう出るか……)」

彼は場を眺めた。白けきった空気。この宴は長くもつまい。しばらく考慮した後、彼は携帯電話を手に取り席を立った。

 *

「ンンニイギイヒイー……!」

歯を食いしばって、拷問に耐える有紀。死んだようであったのが、その時ばかりは息を吹き返す。

「ああ、ホントだ、ヤッベえ! すぐイッちまう」

「だろう?」

新しい快楽穴を味わい歓喜する竜二に、先達の沼尻が得意気である。功労者鎌先も嬉しそうだ。

 前原は膝を抱き、震えながらそれを見つめていた。玄関ホールからすぐ横の部屋に連れ込まれたその一瞬後には、もう地獄が再開していた。外道共に尻と膣同時の交尾を強いられるかつての愛人。目を覆いたくなる惨状ながら、しかし何故か目を離せない。

「女を置いて逃げんのかよ」

先程慶介に詰られた。逃げ出そうとしてもどうせ捕まえるだろうが、と恨み節を思う。だが真実未練はない。ないのだ。保身が第一。体裁など構っていられない。それに、女の方でも愛想を尽かしているに違いないのだ。

「(そうだよ。オレはクズだよ)」

そう居直って、前原は逃げ腰ながら有紀を見つめた。怖いもの見たさであった。この凶悪事件の結末、そして愛人の自分に向ける感情を。

 暗がりの中、白い肌がヌルヌルと動く。怖い、まるで亡者の様な女の乱れ髪が。そのやつれた頬の上の目が。その目に光はあるのか。それと目を合わせることが、

「(怖い!)」

とてつもない恐怖。それでも視線を外せないでいる。そんな彼を浩樹が揶揄した。

「おっさん、勃起してんじゃないの?」

浩樹は今、相方と共に有紀をシェアしている。竜二が後ろ、彼が前だ。

「次、おっさんヤッていいぜ? 好きなんだろ? このオバサンが」

クスクス笑いながら、彼は続けた。片や、竜二は、

「おお、ヤベえよ、こっちの締まりキツ過ぎ」

と、相棒程も余裕がないようで、というのも、両穴からこすり合う時、肉棒への締め付けが今まで以上になるからと、今にもエレクトしそうな勢いだ。

「どうだよ、おっさん、ああ言ってるぜ。次ヤんなよ」

傍で見守っている慶介が、前原を見下ろして囁く。前原は、背中を壁に押し付け、尻餅をついたまま、無視を決め込んで前を向き続ける。そんな相手に視線を同じ高さまで下げながら、慶介が今度はやや威圧的に言った。

「おっさんさあ、さっきまで捕まってたんだろ?」

僅かに感情を波立たせる前原。しかし、驚きを表すまでには至らない。慶介は続けて煽る。

「おっさんが犯人だったんだって? 明日警察に連れて行かれるんだってな。ご苦労さん」

「(そんなはずはない。もう解放されたんだ)」

前原は視線を動かしもせずに心で笑った。

「さっき言ってたぜ、ポリが」

少し雲行きが怪しくなってきた。だが、まだ動揺するには根拠が足りない。

「あんた、帰れるって思ってたろ。けど、今晩泊まって、明日署に連れてかれたらもう終わりだな。ほら、チカンって一回取り調べまで行ったらもう助からないだろ? あれとおんなじ。冤罪ってやつ?」

悪魔のような囁きを続ける慶介。

「あ、冤罪じゃねっか。おっさんは実際ヤッてたし。――ま、オレらの分も、頑張って償ってくれや」

「(何を言っている?)」

前原は思いを巡らせた。この程度の情報攪乱に取り乱すはずはない。が、ひょっとすると、先程の警察官とこいつらがグルだという可能性はある。そう言えば、さっき顔見知り風だったではないか。にわかに彼は不安になってきた。

 と、ちょうどその時、竜二が腸内種付けを終えた。すると、一緒に立って彼と板挟みで繋がっていた浩樹も、自分はまだ途中ながら一時接続を解いてみせた。そうして何をするかというと、使用済みの場所を見物人に見せつけるというのだ。

 ちょうど目と鼻の先に、今の今まで男根が嵌まっていた肛門が近づく。それはポッカリ黒い口を開けており、その淵から粘液をスーッと垂らした。顔をしかめる前原。すると、その感想を代弁するかのように慶介が言った。

「うわ、きったねえ!」

 前原は三角に折っていた足を手前に引き、一層縮こまって、足先に汁がかかるのを避けた。もっとも、実際には避けずともかかることはなかったのであるが。

「ほら、おっさん、空いたぜ。早くヤれよ」

「ケツの穴は初めてか。オバサンはもう初めてじゃないんだよなあ。ワリい、カレシさんよりお先に食っちゃって」

「いやいや、とっくにご経験済みなんじゃないの? でなきゃ、こんなにズブズブ入んないでしょ。マジこのオバちゃんのケツマンコ極上だから」

「どっちでスんの? マンコ? アナル? 好きな方選ばせてやんよ」

口々に囃し立てる竜二と浩樹。前原が相変わらず沈黙を貫いていると、慶介がまた先の続きを言い出した。

「ヤッた方がいいと思うよ。明日警察行ったらさ、もう当分女抱けないっしょ。それに――」

ここでグッと顔を近寄せる。

「ここでマワしたらさ、逃がしてやってもいいぜ」

「(な……?)」

前原は耳を疑った。次いで、一人納得した。

「(フン、そうか)」

こいつらは自分らの罪が露見することを恐れているのだ、と。そうして、仲間に引き入れようとしているのだと。

「ほら、早く、ヤッてるとこ見せろよ」

竜二がじれったそうに、携帯電話をいじり出す。それでまた録画しようとでもいうのか。

「(冗談じゃない。ヤるわけないだろう)」

前原は意思を固めた。仮に彼らの言い分通りだとしても、正当な手続きで以て対処すればいいだけの話だ。逃がしてくれるという提案は一見魅力的だが、それと引き換えにどんな搾取を受けるかもしれない。何より、この輪姦劇に連なるなど真っ平だ。

 だが、気持ちで抗っても、この窮地には変わりがない。男共に取り囲まれているのだ。

「オラ、さっさとヤれって」

掴みかからんばかりに脅す竜二。それを後ろから見て鎌先が、

「おいおい、無理強いはよくないなあ」

と穏やかに諌める。いや、止める気などは毛頭ない。それが証拠に、一歩も動かずに笑っている。

「お姉さんの方にも協力してもらったら?」

彼はさらにそんなお節介な提案までした。すなわち、有紀から奉仕させようというのだ。

「いいじゃん。カノジョにしゃぶってもらえよ」

「なんだよ、勃ってねえんだったら言えよな」

不良らは口々にからかいながら、前原のズボンに手を掛け始めた。

「や、やめ……!」

そう言いかけた時、ふっと後ろに気配を感じて、前原は咄嗟に口をつぐんだ。壁の外は廊下、そこに何か近づく者がいる。心が妙にざわつき出す。

「(そう言えば、さっき……)」

逃げている最中にあったはずだ、何か重要な、何か。

 その時、どうしてか分からないが、ある場面がふと脳裏に思い浮かんだ。

「なんのゲームやってるの?」

そう尋ねても少年は返事をしない。ちょうど母親を待っている間のことだ。無愛想な子で、いつ会ってもふてぶてしい態度であった。

 だが、前原はその程度のことで動じない。クライアントの家族に媚びることも、大事な営業だ。ちゃんと対策を用意して、次に会った時、彼は言った。

「裏ワザ教えてやろうか――」

 それは、ゲームに詳しい知人を使って手に入れた、不正な改ざんデータだった。

「――佳彦君?」

 彼はこちらを見た。その時初めて目が合った。そう、つい先程階段下で出くわした、あの目。

「暗いな。電気点けようぜ」

沼尻がスイッチの所に向かう。

「お、おい!」

止めようとして焦った前原がつんのめってこけた。ちょうどベルトを緩められている途中だったのだ。

「何やってんだよ」

口々に笑う男達。獲物がうつ伏せに伸びる格好になって、返ってズボンを脱がしやすくなった。灯りが点くのと、その光の下に前原の尻が露わになるのとはほとんど同時だったろう。教室の床に陰茎がこすれる。

「ま、待て!」

股間を押さえる前原、自身への攻撃と電灯を点けるのとどちらも制止したい。周囲にこの部屋が見つかってもいいのか、それを隠す為に暗くしていると思っていたのに、と面食らう。

「ほらほら、オバサン、好きなチンポしゃぶってやれよ」

仰向かせられた前原のもとへ、頭を掴まれた有紀が、ゆらゆら、ゆらゆらと、微かに揺れながら近寄ってくる。

 前原は改めて視線を向けた。頬を引きつらせ、まんじりともせずに彼女の顔を見た。するとどうだろう、その焦点の定まらぬ目には、なんの感情も見えないではないか。怒りも恨みも見えず、ひょっとしたら、自分の事すら認識していないかもしれないのだ。

「お、おい……」

恐る恐る呼びかけてみても、それらしい反応がない。

「(やっぱり分からないのか?)」

そう考えると、思わずほっとしてしまう。彼女に憎悪をぶつけられる心配がないからだ。やはりまず思いつくのは我が身の心配である。

「散々しゃぶらされたからな。前より上手くなって、びっくりするぜ」

浩樹が後ろで笑うのを聞いてか聞かずか、虚ろな瞳の有紀は、しかし着実に作業に入ろうとしている。相手が誰のものかにかかわらず、それを口に含み、発情させるのが仕事だ。

「や、やめろって……」

口の中でつぶやく前原。互いに望まぬオーラルセックスだ。一体何の為にするのだろうか。彼は近寄ってくる者が、意思を持たぬ動物のように見えて、急速に怖くなってきた。その逃げようとする所を、周りの手が押さえつける。

「あ、あ……」

顔が、近づく。股間に、近づく。

 と、その時だ、前原の視界を廊下の外の影がよぎったのは。ハッとして思い出す。

「(まずい!)」

彼の憂慮をよそに、教室のドアが、ほかの誰に気付かれることもなく、そおっと僅かに開きだした。


〈つづく〉


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