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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「青き山、揺れる」
「師匠のお筆」
「大輪動会」(連載中)

短編作品
「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

一話完結
「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」  ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

湯けむ輪(75) 01:17

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前一時十七分


しばらくして、倫子は立ち上がった。心地よい疲れがその身を包んでいる。そのまま、彼女は向かった、次の仕事場へと。焦りはいよいよ募っていたが、前ほどの恐怖はなかった。それは、嵐の前の静けさを思わせた。

(あの人も……)

上気した面持ちの中、これまでの三者を振り返る。そして、次の客へと思いを馳せる。彼もまた仲間達と同じ反応を示すのだろうか。彼女の心には、一種の期待がにじんでいた。

ところが、である。

「スゴーイ! いっぱい出たね」

突如耳に入ったその一言が、思いもよらぬ方向からその期待を打ち砕いた。見れば、客の股の間にひざまずいた女が、相手の道具を処理しながら営業的笑顔で話しかけている。

(あなた……?)

呆気にとられて立ちつくす倫子。その時、ふと夫と目が合った。彼は下卑たにやけ顔をさらして満足そうにしていた。その心は傍観者の方には向いていず、今しがたの達成感に惑溺されているようである。

倫子はさらに見た、ひと仕事終えた男の根っこを。まだ辛うじて直立し、その先から泡を吹いている。女がそれをさらにしごき出し、その残り汁を含めて竿ごとおしぼりで拭って清める。

「もう! お兄さんったら」

不意に彼女は笑って、客の腹を軽くぶった。それは夫が肉棒の筋肉を動かし、相手の握る手元を狂わせたからである。女の前で彼は、まるで大名気取りだった。ソファーに腕を回し、手放しで下の世話をさせてご満悦である。

その様子を、妻は冷めた目で追っていた。いちゃつく男女、そして彼らの間にあるペニス。離れて見ていると、まるで遠い世界の出来事のようである。とりわけ夫のものは、初めて見たかと錯覚される程に他人行儀であり、かつ醜かった。倫子の心に暗い影が広がっていった。

やがて番が来て、彼女は次の客である彼についた。彼女は先の同僚のように股の間に座るのではなく、有無を言わせず相手の腿の上にまたがった。

「今さっきイッちゃってさあ」

またがられた夫は、聞かれもしない内からこんなことを言っている。それは言い訳でもあり、また相手に共感を求める誘い文句でもあった。もっとも、いずれにせよ倫子は応じなかった。彼女は黙って、しなびた海綿体を後ろ手に握りしめた。

「無理だよ、勃たないよ」

夫は笑い声で嘆く。妻はイライラした。このセリフは以前にも寝室で聞いた覚えがある。しかし、今日の彼女は既に見ていた。先ほど店の女にフェラチオされて、隆々と勃起させていたのを。その盗み見たところでは、心なしか史上最も大きくそそり立っていたようにさえ感じられていた。

倫子は無理やりに陰茎を膣内に放り込んだ。既にしょぼくれたそれは、ふにゃりとして中々言うことを聞かない。焦る手つきではなおさらだ。それでも、なんとか先の方だけは収めることができた。

「勃たないってば」

止めようとまではしないものの、呆れながら夫は言った。男側からすれば、ホステスのサービス熱心な所は評価したい。ただ、体のことはどうしようもない。まして、一度すっきりして気分も収まっている折も折だ。

だが、女はそれで許せない。女の情念は理屈で割り切れるものではない。分けても嫉妬に火がついたら最後、前後の見境がなくなることもしばしばだ。現に倫子の激情は今、身の破滅というスリルを上回って彼女を行動に走らせている。

(あなた……!)

もちろん、真実を知られるわけにはいかない。しかし一方で、全く気付かれないのも悔しい。複雑な女心である。

「ンッ……ンッ……」

気分を出すために軽く声さえ出しながら、自分で腰を振る倫子。それにほだされて、客側もようやく仕事を始める。相手の乳房を持ち上げ、あるいは乳首を指ではじく。が、決して舐めたり吸いついたり、また接吻を求めたりはしなかった。気乗りしないのは明らかだった。いわば彼なりのサービスである。それは期せずして、夫婦間の営みのような形式的な愛撫だった。だが、それでも彼は妻の乳房だと疑わっていない。

(あなた……っ)

本来ならばそれでよかった。実際、さっきまでの彼女は、自分を自分と知らないで他の客らと同様に興奮する夫や、そんな彼とするセックスに好奇心を抱いていた位だ。

また実のところ、罪滅ぼしのつもりもあった。これまで散々裏切ってはきたが、せめて夫にも他の男らと同じ位か、出来ればそれ以上に感じさせられたかった。もしここまで追い詰められなければ、決して会いたくない相手であったが、ことことに至っては、むしろそれによって夫婦の尊厳を保つしかないと思われたのである。

ところが、いつまで経っても夫は回復しなかった。それどころか、いつの間にか穴から抜け出ていた。縮んだ陰茎は惨めにも陰肉に踏みつぶされ、自らは何も生み出さず、ただ倫子から漏れ出る雑多な粘液をまぶされて溺れるばかりである。夫はしかし特別気にも留めず、愛想笑いを浮かべなから、今はもう行為よりもまったりと会話を楽しみたい様子である。

(あなた……)

倫子は幻滅した。はじめの内は彼の小突起をクリトリスにこすりつけてまで悪あがきを試みたが、次第に馬鹿馬鹿しく、何より惨めな気持ちになってきた。同時に、相手の酒臭い息や、どうでもいい言葉に無性に腹が立ってきた。さっきまでの客には、ついぞ感じなかった印象である。今はもう、彼が不愉快でしかなかった。

これだけ多くの男達が倫子の中に精を放出している中で、本来唯一正当な権利を有するはずの彼が、よりにもよって唯一子種をまかないなんて、ほとんど信じられない奇跡だった。彼の友人も、さらにはその息子も、あるいは娘より年下の少年も、夫より年上の男性も、付き合いの長さに関係なく皆等しく発情して彼女を孕ませようと、すなわち彼女を妻として従えようとその男根で女陰を制圧してきたというのにである。

彼女は腰の揺さぶりを止めた。そして、まだ何か話している途中の男を残し、つと立ち上がった。今宵、彼は夫ではなかったのだ。ならば前途あるメスとして、いつまでも不能の人に時間を費やしている場合ではない。

「お、交代か?」

偽りの人はぼんくらにもそう言ったが、その声が耳に入っても、倫子は冷笑すら浮かべなかった。一刻も早く現役のオスを見つけねば! そう思って見回す彼女の瞳に、たちまち輝きが戻る。開かれた股の中枢で勇壮にそそり立つ長竿。それが、おいでおいでしている。

倫子の頬が緩む。彼女は早足で真に仕えるべき夫の元に急いだ。


<つづく>




(001)19:53~(010)20:15(011)20:18~(020)20:44
(021)20:47~(030)21:07(031)21:09~(040)22:03
(041)22:22~(050)23:53(051)23:54~(060)00:20
(061)00:24~(070)00:50(071)00:24~(080)01:36
(081)01:45~(090)03:59(091)04:12~(100)05:46

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