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■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「青き山、揺れる」
「師匠のお筆」

短編作品
「大輪動会」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

一話完結
「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」  ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

湯けむ輪(54) 00:00

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時零分


その人物は、こちらに背を向けた恰好で横たわっていた。その手前には、グラスや皿の乱雑に置かれたテーブルがある。つい今しがたまでそこにいたのであろう多数の人間の存在を匂わせる残骸である。その影に隠れていたせいで、ソファーの上まで見えなかったのだ。

しかし今、カウンター席の薮塚の膝の上に座らされて些か高くなった上背から見渡すと、その者の存在ははっきりと確認することができた。それは男であり、浴衣を着用していた。ちょうど渡瀬や榊原が今着ているのと同じ柄のものである。ということは、同じ宿泊所に泊まっている者ということになる。

では、渡瀬らと同じグループの一員だろうか。倫子は、むしろそうであることを願った。つい先刻の彼女なら考えられなかった仮定だ。だが、そう願いたくなる背景事情が、返ってそうではないという現実の蓋然性の高さを物語っていた。絶望的なことに、彼の肩、首、後頭部、髪型、見れば見るほど確信に変わっていった。

「どうしたんです奥さん。もっとエッチな声聞かせてよ」

ふいに薮塚が後ろから言ってきた。にわかに大人しくなった倫子に違和感を持ったようだ。

倫子は逡巡した。このようなことを一刻も早く切り上げるのが最良の手段であることは明らかであったが、そういう申し出が容易に受け入れられようとは到底思えなかったし、申し出るにしてもどういう理由をつけたらよいか悩みどころであった。憂慮すべきは、ソファーの彼との関係が他の者に勘ぐられることであった。

「ねえ、奥さぁん」

薮塚は甘ったるい言い方をしながら、彼女の首筋に舌を這わせ、併せて陰核包皮をつまんでいじくりだした。

「ン、ンン……」

倫子は、鼻にかかった声を漏らして、ひとまず誤魔化そうとする。彼女はまた混乱し、当座の策も何も考えられない状況にあった。陰核への刺激は現在の切迫感とも相まって、下半身にむずむずとした尿意のような焦りを生じさせる。

(こんなところを見られたら……!)

回転の鈍くなった頭で、ようやく彼女はそのことに思い至った。何よりも最悪の事態は、彼に現在の自分の姿を目の当たりにされることであるのは間違いない。当たり前のことなのに、その思考の順序が逆になるほど彼女はパニックに陥っていたのである。

(早くやめないと……!)

気持ちばかりが焦るが、体はついていかない。もう一刻の猶予もないというのに、なりふり構ってなどいられないというのに、行動を起こせない。

(どうして……?)

彼女は自問自答した。単に体が疲れきっているせいもある。だがそれ以上に、怠惰な流れに身を任せる、堕落した心の症状が作用していることに、彼女は気づいていなかった。動けないんじゃない、動かないのだ。だから、ずっとくよくよして、ずるずると無為な時間を引き延ばしているのである。

すると、そんな彼女の様子を観察して、周囲の男の方が異変に気づいてしまった。結局、外圧に期待する結果となってしまった倫子である。

「おっ、そう言うたら、あそこにもう一人おったなあ」

榊原が彼女の視線を鋭くキャッチして代弁する。

倫子は慌てて目をそらす、が、もう遅い。人間、想定外の事件に出くわせば、正直な反応を隠しおおせないものである。だが、ここからが正念場だ、と、彼女は弱々しいながらも覚悟を決めた。

「ああ、あの人なあ、奥さんのお連れさんやなあ」

渡瀬は言いながら、用心深い目で倫子のことを窺う。

倫子は何も言わなかった。努めて感情が表に出ないようにした。かくなる上は無反応を決め込んで、いよいよという間際になって隙をついて逃げ出せばいいと、そう漠然と冴えない頭で考えていた。しかし、これ以上の愚策はなかった。

「そや、あの人も起こして交ぜたげよか」

思いがけない提案をしだしたのが榊原である。

「おお、ええやないか。――奥さん、ここらで知り合いとも仲良なっときぃな」

渡瀬も加勢する。

倫子は目を見開いた。この期に及んで彼らの凶悪さをまだ過小評価してしまうほど、彼女の頭脳は機能していなかったのである。

その呆然とする眼前から、渡瀬の背中が容赦もなく向こうへと去っていく。

「よう寝たはるなあ。起きはるやろか。――オーイ……」

本気なのである。本気で起こそうとしているのである。堪りかねた倫子は、ついに音を上げた。

「やめてっ!」

久しぶりのはっきりとした言葉で、しかし大音声にはならない程度に気を付けて言った。やっとまともな手段をとった彼女である。その毅然とした態度のために、瞬間、ピリリと空気が緊張し、男どもは鋭気をくじかれる……はずだった。が、ふてぶてしい彼らに、彼女の影響力は何ら通用しなかった。

「おっ、どうしたどうした。今さら別にかまへんやないか」

渡瀬が振り返って、唇を尖らせる。

横から榊原も口を添える。

「この人かて、奥さんとヤりたいてずっと思てはるて。なんせ、こんなエロい乳……」

「やめて下さい、もう……!」

倫子は彼の言葉を遮った。ひと度意思を表明した彼女は腹が据わって、今までになく強気で物を言えた。

さすがの男達もこれには驚いた。

「……まあ、お知り合いの方ですからねえ。さすがにバレちゃあまずいんでしょうよ」

とりなすように、マスターが言う。しかし、そう話す彼も含め、その場にいる男達の誰の口元にも薄笑いが浮かんでいた。彼女を気遣う者など一人もいないのである。

その最たる人間として、薮塚が彼女の腰をつかまえ、以前にも増した勢いで男根を出し入れしにかかる。それも、倫子が隙をついて離れようとしていた矢先のことだ。

「アアー、ヤベえ、イきそう」

彼は言いながら、ガタガタと膝を揺らして自分の上で相手をバウンドさせつつ、踊りまわる柔肉の果実を、後ろから回した手でもぎ取るようにつかんで下に引っ張った。たっぷりと垂れた果肉が、指の食い込みでできたへこみもろとも伸びる。性欲を爆発させている最中の彼には、周囲の状況の変化など関係なかった。ただ最後までやりおおせて、オスの本能を満たしたいというそれだけなのだ。


<つづく>



(001)19:53~(010)20:15(011)20:18~(020)20:44
(021)20:47~(030)21:07(031)21:09~(040)22:03
(041)22:22~(050)23:53(051)23:54~(060)00:20
(061)00:24~(070)00:50(071)00:24~(080)01:36
(081)01:45~(090)03:59(091)04:12~(100)05:46

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