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■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

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「青き山、揺れる」
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「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

湯けむ輪(48) 23:46

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時四十六分


袋田達も、程なくしてそれに出くわした。

「オーイ、奥さん」

大浴場の暖簾の前から大声で呼ばわる男がある。倫子達がまだ二十メートル程も離れている内から手を振って。

「ん?」

こちらの男達は、戸惑いながら顔を見合わせる。そうして、肩を貸している倫子に答えを求めた。

「あ、お知り合いの方ですか?」

袋田が問う。

知り合い、確かに知ってはいる、それもうんざりするほど、体で。だが知らない。今もって彼の何も知らない。交流の極みまで行ったはずなのに何も。

よく見れば、顔もあまり知らない。倫子は、今日初めて彼の顔を真正面から見た気がした。といっても、何ら特別な感慨はないが。

男は、例の中年グループの一人、渡瀬であった。

袋田はちょっと不思議そうな顔をして両者を見比べた。彼の職掌がら、倫子と目の前の男が同じ一行でないことは分かっていた。客の少ない宿舎であるからなおさらだ。“旅先で親しくなったのだろうか”とは思われたが、何しろ女は裸である、一体どんな関係であるのか、彼ならずとも気になるところであった。

一方、不思議に思ったのは、相手の男も同様だったのである。

「あれ? 奥さん、あの子らは?」

渡瀬は彼女の後ろを目で探す。しかし、すぐにいないと分かるや、端から倫子の返事には期待せず、袋田に話しかけた。

「あんたらが連れてきてくれはったん」

「あ、はあ……」

問われた方は、迷いながら答えた。ありのままの経過を話していいものかどうか、判断つきかねる状況である。彼が覗き見た男達二人、すなわち宮浜と奥津とも、渡瀬は別の団体の客なのだ。一体何がどうなっているのか訳が分からない、と、彼は混乱した。

「え、せやけど、ほかのもんはどうしたんや」

渡瀬は素朴な調子で疑問を口にした。彼は彼で訳が分からないのだ。

このままでは険悪な空気になりそうであった。仕方なしに袋田は、これまでの経緯を説明することにした。といっても、藪塚と駆け付けた後からのことである。

「ヘー、ほんな、ほったらかされとったんかいな」

渡瀬は目を丸くして言った。そうして、

「なんでやねん。あいつらも、わけわからんなあ……」

と、心底腑に落ちない風に呟いた。が、追及はそれで終わりだった。

「ま、ええわ」

あっけらかんと彼は言った。袋田らにしてみれば、肩すかしをくらったようである。しかし、渡瀬は、自分の仕事の方が大事とばかりにどんどん話を進めていく。

「もっぺん温泉つかろ、いう話やったけどな、あんたらがあんまり遅いさかいな、ちょっと話変わって、やっぱり飲みに行こか、いうことになってん」

と、ここまで彼は倫子の顔を見ながら言った。

倫子は曇った目を足元に落としている。傍目には、聞こえているのかいないのか分からない。

渡瀬は、また袋田に目を戻して言った。

「しゃあないさかい、あんたら、すまんけど、この人このまま連れったってくれへんかなあ」

「は、はあ……」

袋田にはまだ話が見えようはずもなかったが、今の話の中で、とりあえず要請を受けたことだけは明らかだった。ただ、さしあたって関門はある。

「あの、このままですか?」

「ん? そう、このまま。今から」

渡瀬は、相変わらずあっけらかんと軽い。

袋田は、質問の意図が伝わらなかったのかと、倫子の方を気遣いながら重ねて質した。

「ええっと……あの、裸、で……?」

すると、渡瀬は、フフンと笑って答えた。

「そや。裸や」

彼はニヤニヤした。ただ、一応とってつけたように、

「どうせすぐそこやがな。スナックて、ここ出てすぐのとこにあるんやろ?」

と、提案の意図を補強した。

「ベルのことですか?」

横から藪塚が初めて口を挟む。“ベル”とは件の店の名前である。ただこれは、愚問の種類に属する問いであった。なぜなら、この宿舎の周りに今開いている店といえばそこしかなく、館内にもそういう店はないので、どう考えても行き先は一択なのである。

「ベルっちゅうんかいな、知らんけど。とりあえずそこまで頼むわ」

渡瀬は、まるでタクシーに命ずるように言いながら、最後に目を細めて藪塚を見、こう付け加えた。

「この奥さんな、めちゃめちゃスケベやねん」

藪塚は、さりげなく股間を後ろへと引いた。


<つづく>



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(021)20:47~(030)21:07(031)21:09~(040)22:03
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