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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」
「大輪動会」(連載中)

短編作品
「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

一話完結
「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」  ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

学食のおばさん便器

『学食のおばさん便器』



“学食”――それは、淫靡な響きを持って心に響く単語だ。あの青春の日々は、今なお記憶の中で妖しい光沢を放っている。

そこが、食欲と同時に性欲をも満たす場であることは論を待たない。“男子校”“学食”“おばさん”とくれば、世間でも周知の事実であろう。実際に通った者でなければ、あるいは婦女子ならば知らぬこともありえようが。

私も、世話になった男の一人である。そうして、男子校出身者のおそらく大多数がそうであるように、彼女らによって“男”にしてもらった人間である。

「学食行ってくる」

それは、ある種の隠語であった。中には、

「便器行ってくる」

などと、ややあからさまに言う者もあった。もっとも、普段の会話の中で彼女らを指す言葉は、そのものズバリ“便器”であったが。

我が校には、便器が三つあった。私が在籍していた当時は、当初、谷田さん、長谷川さん、それともう一人、ひょろ長く地味な印象の人がいたが、この人の名前は失念してしまった。いずれも五十代以上、下手をすると六十代にまで手が届いていたのではないかという人たちである。母親よりも年上だったろう。

それでも私は精勤に通った。恥ずかしながら常連であった。しかし、弁解をするわけではないが、経験者ならば共感してもらえるだろう。あの年頃の男というものは、頭の中まで精液が詰まっていると揶揄される位、実際性欲旺盛なのだから。

だから、いきおい依存症にもなる。手近な快楽に甘えてしまう。たとえ、怪物じみた相手であっても、女であれば使ってしまうのだ。

女、いな、彼らは便器であった。明らかに恋愛の対象外のその容姿から、そう蔑んで(というより、実際には無邪気に、何の疑いもなく口にして)いたのであったが、加えて、相手の人格に関係なく、入れて、出すだけという観点からも、そう呼ぶのがふさわしかった。

我々にとっては、彼らの“穴”だけが興味の対象だったのである。それ以外の場所は関係なかった。穴さえあれば良かったのだ。そういう点から見ると、それは、セックスというよりオナニーと言うのが適切であったろう。相手を慮らないので、自分ひとりでやっているのと何ら変わらなかったからだ。

学食の棟へ行って、彼らの詰め所に入り、そこに並んだ三つの穴のうちの一つに男根を挿入、そして射精。この一連の流れが、単調な学生生活の中で最も代表的な日常として繰り返された。私は、授業の時間割や教室での振る舞いなどは一切覚えていないが、あの淫欲に染まった日常だけは今でも忘れることができない。

ほかの者もそうではないだろうか。男としては、やはり一番強烈な思い出ではないだろうか。卒業生が集まって、あの頃の思い出を語れ、と言われれば、必ず早い段階で“学食”という言葉が出るはずだ。それは、仲間意識を確認するのに欠かせない、共通のキーワードである。

今なお、あの時の感覚はまざまざと思い出される。そこへ行く日は、登校時からムラムラとして落ち着かなかった。行ける日は、前もって決まっていた。何しろ、在校生に対して三つしかない便器であるから、毎日大変に混みあう。それで、あらかじめ整理券が発行されて、何月何日の何時何分が自分の番だと指定されるのである。

この予約設定は結構シビアで、一分でも遅刻するともう受付られなかった。そういう場合は、次の者が即繰り上がる。大体数人、多い時で十数人は常に順番を待って控えていたものだ。といっても、控室のようなものはないので、部屋の戸の前から階段にかけて列をなすことになる。

室内にたむろすることは、便器が許さなかった。特に長谷川さんが恐く、彼女の剣幕には誰も逆らえなかった。私語もほぼ禁じられたし、外で待つ間でもやかましければ、その時他の者との最中であっても関係なく、注意しに出てきた。いわゆる鬼ババだった。

谷田さんにも似たような迫力があったが、この人の場合は時間にうるさかった。彼女が管理する帳面には、誰がいつ利用したか、そしていつ予約しているかが克明に記録されており、これは入り口に広げてあって、利用者はまずその内の自分の欄にチェックをしてから行為に及ぶことになるのだが、これにもたもたしていると、怒声が飛ぶのが常だった。

また、制限時間にはいずれの便器も厳しかった。持ち時間は一人五分である。これに例外はない。延長も許されない。時間が来れば、途中でも退出させられる。だから皆、タイマーを気にしながら必死で腰を振った。タイマーは、三十秒前になると音が鳴るようになっていた。こういうシステムの都合上、遅漏の者は大変だったろうと、他人事ながら思う。

ちなみに、私が学食の便器を使う時は、必ずバックを選択した。それが早く済ますのにうってつけだったのもあるが、むしろ、顔や体などの余計なパーツの情報をシャットアウトして、穴だけに気持ちを集中させるためという理由が主だった。まさにオナニーである。そういう意味では、私は特にドライな性質だったかもしれない。

もっとも、ヌきだけを追求していくと、結局そういう形に落ち着くものだ。挿入以外も行えはしたが、これは全くいらざるサービスであった。

フェラチオなぞは、普通だったら喜ばしいオプションであろうが、あれは多少なりと魅力を感じる女性にしてもらって、初めて興奮するものだと思う。不細工な顔たちに股間に寄ってこられても、しかも挿入よりはるかに劣る刺激でなされても、ちっとも気持ちよくなんかない。

ところで、時々、便器と自分たちとどっちの立場が上なのか分からなくなることもあった。こちらの性欲に従わせているのだから、自分たちの方が上のようであるが、ルールを作るのはあちらであって、それに従わなければならない制度であるからには、便器の方が上かもしれないのである。

おまけに、我々は流れ作業で、ただただ精液を消費させられるだけという面もある。初体験の時もそうだった。こちらが初めてであろうと、向こうは知ったことではない。他の者と同じように、淡々とあっという間に済まされた。思い出も何もあったものではない。まるで、ベルトコンベアーに乗せられた商品のような感じであった。

それでも、私たちは納得していた。たとえ管理された射精であっても、それでよかった。それは、私たち自身が自主的に行っていると信じていたためもあったが、何よりも、どんな膣であっても入りたいと言いきれるほど、あの頃の性的好奇心が強かったからである。

ただ、やはりセックスは、相手あってのものだということは間違いない。本当に、相手の顔かたちでどうしてあんなにも気持ちよさが違うのだろうと思う。というのも、現実にそう実感させられる出来事があったからである。








あれは、ちょうど私が二年に進級した年だった。春休みが終わり、長い休み明けで悶々とした気持ちを抱えて登校した時だ。その人は、前述の名前が思い出せない人と入れ替わりで(彼女の名前を失念したのも、途中でこの交替があったためだが)、学食に配属された。

名前を、大場さんといった。一見して他の二人とは違うすらりと細い肢体、若々しく茶色い巻き髪、愛くるしく優しげな笑顔――。たちまち話題の的となった。

「おい、便器変わったぞ」

ほとんど合言葉のように、顔を合わせれば皆が彼女の噂をした。休み時間になれば、すぐに券売機の前に長蛇の列が並んだ。学食便器の使用料は、別途徴収されることはなかったが、必ず学食で昼食をとるのが唯一の条件だったのだ。そして、利用可能時間の昼休みから放課後にかけては、以前にも増して連日の大盛況。

ところが、いくら彼女の人気が高くとも、彼女とデきるとは限らないのが悩ましいところであった。なぜなら、学食便器は指名制度を採用していなかったからである。つまり、空いた所から順番に詰めていくシステムだったのだ。これは強制であった。

もしそうでなければ、きっと彼女一人に列が集中していただろう。しかし、そうは問屋が卸さないわけだ。よって、その気もないのに他を使わなければならないこともざらにあった。確率は三分の一のはずだが、はずれた時のがっかり感が大きいので、経験ではもっと低かった気がする。

はずれた時に隣から聞こえる喘ぎ声の悲しさといったらない。部屋は、一室をカーテンで仕切り三つに分けていたスタイルで、隣の様子は見えないが、甘い声だけは時折聞こえるのである。そんな時は、当たりを引いた同志への、羨望の情を禁じえなかった。

あまつさえ、大場さんはよく声を出してくれるのである。こういう所も人気の秘訣だった。正直なところ、他の便器を使いながら、彼女の声をオカズに射精したこともある。それまでは淡々とヌくだけで、ある種殺伐とすらしていたのに、大場さんの喘ぎ声のおかげで、初めて本当にエロスを感じたような気さえした。

その脈絡から、彼女とのセックスでは、他ではやらない試みも行った。まず、バック以外の体位をやった。彼女の胸や顔を見ながらやりたかったのである。抱きしめながらしたこともあった。キスをしたこともあった。その口が他の男にどう使われているかなど念頭になかった。以前には考えもしなかった行為だ。それほど、彼女がかわいく思えたのである。

もっとも、冷静に考えてみると、年齢自体は四十を超えていたと思う。若く見える方だったので、ひょっとしたら実際には五十近かったかもしれない。目尻や口元の皺とか、肌の張りや脂肪の付き具合、さらに会話の調子など、大人になってから思い出してみると、余計にそう確信される。

それでも、彼女がかわいく見えたことには嘘偽りがない。確かに、男子校での生活が女性に対する免疫を低下させたり、化け物じみた相手にただひたすら精液を排出し続けたせいで、ハードルが低くなっていた可能性は否めない。しかし、仮にそうであったとしても、現実に大場さんが魅力的であったことは確かなのである。

そんなこんなで彼女に夢中になり、学校中の男子たちは彼女に当たるかどうかに一喜一憂する日々を送るようになった。いわば、彼女はアイドルだった。

だから、あの日、あんな風に彼女と近づきになれたことは、当時の私にとって、ほとんど奇跡的なめぐり合わせだったのである。

――その日、私はある忘れ物をしたために学食を訪れた。厳密には、そこに忘れたのかどうかは分からなかったが、忘れたとすればそこしかないだろうと思ってのことだった。ただ、そちらに向かってはみたものの、中に入れるかどうかは不明だった。その日は休日だったからである。

休みの日の学校は、普段からは想像もつかないほどひっそりとしていた。クラブ活動もやっていなかったように思う。私は、自分だけが特別な時間の中にいるという優越感と、一方で、何かこそこそと悪いことをしているような気持とを抱えながら、誰もいない道を目的地へと急いだ。

心の中では、誰かに呼び止められた時の回答を練っていた。特に想定していたのは、谷田さんか長谷川さんに遭った時のことである。会えば食堂に入れるから、それはそれでいいのだが、きっとこの二人からは、こっぴどく叱られるだろうと思ってのことだった。ひょっとしたら、とんでもないペナルティを科されるかもしれないと、私はこの鬼ババたちに戦々恐々だったのである。

ところが、建物をぐるっと回って、いざその裏口に来てみると、予想外の状況がそこには待ち受けていた。なんと、そこで裏口の戸に施錠をしていたのは、大場さんだったのである。これは嬉しい誤算であった。私は、以前に友人とやはり休日にそこを訪れた際、谷田さんにどやしつけられた経験があったので、勝手に谷田さんや長谷川さんがいるであろうというイメージを持っていたのである。

「あら」

ちょっとびっくりした顔で、大場さんは振り返った。その姿は、カウンター越しに見かけるエプロン姿ではなく、まして裸でもない、おそらく私服と思われる装いであったので、とても新鮮な気がした。

私は勢い込んで事情を説明した。彼女に会えたことは嬉しかったが、その嬉しさが返ってやましい気持ちを生じさせるようで、私の口を早口にした。一番恐ろしい誤解は、休日にもかかわらず性欲処理をしに来た違反者と思われることである。さらには、ストーカーまがいの奴だと恐れられる可能性だって否定できなかった。私は、そうならないために必死で無実をしゃべった。

すると、その熱弁が功を奏し、何とか誠意は伝わったようだった。それは、彼女がにっこりとほほ笑んでくれたことで分かった。

「今帰るとこだったのよ。ちょうど間に合ってよかったわね」

そう言いながら、大場さんは戸を開けて中に入れてくれた。目的の物はすぐに見つかった。

「これでしょ」

詰所の棚の茶色い道具入れから、彼女は、私が話した特徴に合致するカードケースを持ってきてくれた。私は、とりあえずほっとした。物がそこにあったことももちろんだが、それがあったことで自分の無実が裏付けられたのが嬉しかったのだ。私は、やや堂々とした気持ちを取り戻して、彼女の差し出した用紙に自分の名前を記入した。

これで用は済んだ。これ以上ここにいる理由はなくなった。すると、無性に寂しさがこみ上げてきた。折角アイドルと二人きりになれたのに、これだけでこの場を後にするのは物足りなさ過ぎる。もっと仲良くなりたい。またとないチャンスなのだ。

だが、いざとなると話の接ぎ穂が見つからない。変にモジモジと話したそうにするのも格好がつかない。ほんのコンマ何秒かの間逡巡した私だったが、結局諦めて立ち去ることにした。その選択しかあるまいと。

ところが、そう決断した時だ。意外なことにも、彼女の方から救いの手を差し伸べてくれたのである。別に、彼女は私の気持ちを察したわけではなかったろうが、それはまさに救いの手以外の何物でもなかった。

彼女は私の記す名前を見、別な帳面を広げてそれをチェックしていたが、ふいに、

「結構来てるのねえ」

そうこちらに語りかけてきたのである。

「うん、あたしとも当たってるし、それに、あたし以外とも」

それは、もちろん性欲処理の話だった。私は、耳の辺りが熱くなるのを感じながら、それに返事した。

「ほんとは、大場さんだけに当たりたいんですけど」

こういう話をするのは、校内では決して憚られることではなかった。だから、極めて自然に言えた。

大場さんはそれを聞くと、ニヤリと笑ってこちらを見た。そして、

「ほんとに?」

と尋ねてきた。しかし、その言葉とは裏腹に、彼女は自分の人気が誰よりも高いことを自覚していたと思う。それに、今の私の発言がお世辞でないことも。

私は、そんな彼女の誘いにあえて乗りつつ、また大半は本気で、彼女のことを持ち上げた。そして、日頃自分の最も関心のある話を、その中心にいる人と話し合えることに喜びを感じていた。

「ほんとですよ! でも中々当たらないんですよ」

そう言った。すると、大場さんは、

「あら、ほかの二人でもいいじゃない」

などと、私を試してきた。彼女も案外自惚れ屋さんである。今思うと、自分のことをお姫さまのように扱う周囲の待遇が、彼女の優しい性格を倍加していたのかもしれない。

「エー、嫌ですよ。やっぱり大場さんがいいです。だって、この学校でかわいいの大場さんだけじゃないですか」

若い私は調子に乗って、恥ずかしげもなく己の心情を披露した。いつも考えていたことなので、すらすらと口から出た。その後も二言三言、彼女の魅力を述べた。ついでに、他の便器の批判なども。大場さんは、他の二人の悪口こそ言わなかったが、共感はしてくれた。彼女自身、思う所があったのだろう。とにかく二人には恰好の話題だった。

こうして我々はすっかり打ち解けて、談笑に花を咲かせた。大場さんは、常日頃思い描いていた通りの優しくて気さくな人だった。その上、明るい所で、しかもゆっくりと対面してみると、改めてきれいな顔立ちをしているのがよく分かった。

私はにわかにムラムラと催してきた。誓って言うが、当初は本当に純粋な気持ちで、憧れの人と会話を楽しみたいだけだったのである。だが、彼女と心安くなるにつれ、やはりいつも通りの劣情を抑えきれなくなっていった。気が付くと、とうとう私は、その一言を口にしていた。

「あの……今日、ヤらせてもらえませんか」

それは、せっかく築きあげた信頼を、一瞬にして瓦解させるかもしれない一言だった。そのことは十分に承知していた。しかし、二度とはないこの機会に、どうせダメ元で頼んでみようという思いもあった。

私の言葉に、一瞬彼女はきょとんとしていたが、間もなく、ぷっと吹き出した。

「ついでに?」

そう言って笑った。その笑い顔がとても可愛らしかった。私は、ここぞとばかりに甘えた。相手の反応から直感的に、押せば何とかなるかもしれないとの期待を大きくして。果たして、その期待は的外れではなかった。

「スケベ」

いたずらを見咎めるように、彼女は言った。

「誰にも言わないって約束できる?」

それがオーケーのサインだった。当然、こちらの答えはイエスだ。なお、私はいまだにこの時の約束を守って、誰にも話してはいない。

「ほんとはこういうのダメなんだけどなあ。今日だけだよ?」

至福の瞬間だった。これでもう願いの叶うことが確定したのだ。

私は彼女にいざなわれて、三階へと移動した。いつもの場所でこのまま始めるかと思ったが、そうではなかったのである。

「誰か来るとまずいからね」

嬉しい配慮だった。

学食室の上にある三階は、後にも先にもその時しか入ったことのない場所である。中には、長机とパイプいすが積み上げてあって、何かの集まりの時にはそれを並べて、ちょっとした会議などが開ける感じだった。

大場さんは、既に置いてあった机の一つに乗ると、その上でさっとパンツを脱ぎ、大胆にも脚を開いてみせた。もちろん、スカートの中身は丸見えである。そうして、両手をこちらに広げて言った。

「じゃあ、おいで」

その姿は女神のようだった。それを見て興奮の極致に達した私は、文字通り飛びかかっていった。と、そこであることを思いついた。今までやったことはないが、アソコを舐めてみようと。何しろ、今日はまだ未使用なはずなのだ。

「あらヤダ」

それを実行しだした私を見て、彼女は目を丸くした。まったく想定外の行動だったらしい。

「汚いわよ、便器なんか舐めちゃあ」

彼女は言った。私はその言葉にドキリとして、思わず顔を上げた。

「そう呼んでるんでしょ? あたし達のこと」

そう話す表情は笑顔だった。怒っているわけではなさそうである。むしろ、面白がっている口ぶりだった。

だが、私は、この時初めて、そう呼んでいることに罪悪感を覚えた。そこで、それに対する申し訳なさからも、より一層力を込めて舐めた。分からないなりにも一生懸命に。すると、それが功を奏し、次第に彼女は甘い言葉を口にしてくれるようになった。

「ア……そこ、いい……アン、そんな中まで……」

尖らせた舌先を膣口に挿入する。気のせいか、甘くて酸っぱい味がした。何度も見ているはずなのに、膣の実像が、私にはまだよく分かっていなかった。ほとんど初めて触れる感覚だった。その時目の前にあったのは、決してオナホールではなかったのである。持ち主の容姿で、どうしてこんなにもそれの価値が変わってしまうのだろうと思った。

「ヤダ上手ぅ。おばさん気持ちよくなっちゃうじゃない」

大場さんは、私の拙い技術にも精一杯卑猥な台詞で応じてくれた。サービス精神が旺盛なのである。それは、次の場面でも発揮された。

「おばさんにもおしゃぶりさせてぇ」

彼女は言って、立ち上がらせた私の足もとにひざまずいた。そして、股間にテントを張った私のズボンを脱がしていく。

ちなみに、彼女は自分のことを“おばさん”と言ったが、私にとってはれっきとした一人の女性であり性の対象であった。ただ、“おばさん”という言葉の中には独特な暖かみと柔らかさがあって、妙に猥褻な気分にもさせられた。

大場さんにトランクスまで脱がしてもらう。と、既にいきり立っていた陰茎が、ピョーンと彼女の前に躍り出た。

「まあ、もう元気ねえ」

彼女が笑うと、私も照れ笑いを浮かべた。ほのぼのとした、しかし卑猥な空間だった。やがて、彼女は私の肉棒に吸い付いてきた。

「あ……はあぁ……」

思わず私は、感動の吐息を漏らした。この時も、してもらう相手によって興奮の度合いが違うことを、まざまざと感じさせられた。股間に大場さんの顔があるというだけで、もう気持ち良かった。

「ひおひいい?」

くわえたままで、彼女は聞いてきた。“気持ちいい?”と言っていた。その間、熱い吐息が肉棒を包む。気持ちいいどころか、早くも射精しそうだった。私がその意を伝えると、ようやく合体の運びとなった。

が、その瞬間、

「あっ!」

と言って彼女は固まった。そして言うには、

「コンドームあっちの部屋だ。どうしよう?」

と、私の顔を見つめる。どうしようと聞かれても、取りに戻るしかないではないか。時間が開くのは嫌だが、仕方がないことだ、私は思った。しかし、意外にも彼女が提案したのは別のことだった。

「このままでもいい?」

「このまま?」

思わずおうむ返しに尋ねる。

「うん、このまま。生で」

それは、仰天の提案だった。これまで私は、避妊具なしで便器を使用したことがなかった。してはいけないことはなかったが、私はあえてやらなかった。不衛生なのは好みでなかったからである。

だが、ほかならぬ大場さんの口からそれをねだられてしまうと、断る気になどなれなかった。しかも大場さんは今日まだ未使用だし、それに一刻も早く入れたい気持ちもある。

私は承諾した。すると、大場さんは再び机の上に座って開脚し、こちらに向かって言った。

「おいで」

私は突入した。いつも以上に熱く感じられる肉が、ヌメヌメとペニスを奥へ奥へ運んでいく。ひとりでに吸いこまれていく感じだ。生の膣は、まさに圧巻だった。

「いらっしゃい」

ペニスを迎え入れた大場さんは、そんな冗談を言ってほほ笑んだ。私は、その一言に官能をくすぐられたこともあって、動きづらくなってしまった。下手に動けば、すぐにでも漏らしてしまいそうだったのである。すると、相手は慣れたものだ、早々とこちらの事情を察知して、機転を利かしてくれた。

「今日時間あるから、一回出して、またしよっか」

そう耳元でささやく。夢のような話だった。通常なら考えられないことだ。二回戦を、それも大場さんとできるなんて! それを聞いた途端、私は思い切り腰を振りだした。もう何の気兼ねもいらないのだ。我慢しなくていいことの、何と幸せなことか。

たちまちのうちに、私は叫んでいた。

「イくっ!」

すると、そんな私を、大場さんは両手両足でぐっと手前に引き寄せた。おかげで逃げ場がなくなった私はそのまま射精してしまった、彼女の膣内に、こみ上げていたもの全て。これでいつも通り、便器への排泄完了である。ただし今日は、ゴム内ではなく直接の放出だったが。

「アー出てる出てる、入ってくるよ」

彼女は言って、髪を撫でてくれた。私はじっとして、ただ精液を注入し続けた。

「ゆっくり出してていいからね。おばさんの便器が全部吸ってあげるから」

大場さんは言った。そう話す様子を間近で見下ろしていると、たまらなく愛おしい気持ちでいっぱいになってきた。私は、とっさにその唇を奪った。

「ン……」

彼女も、それを拒まなかった。むしろ積極的に、口を開いて舌をからめてくる。そうして、ひとしきりからめ合った後、一呼吸置いて離れた。

「いつもキスしてくれるよね」

驚くべきことに、彼女は大勢の利用者の中から、私の特徴を覚えていてくれた。

「嬉しいの。あたしも、キスしてくれた方が盛り上がるし」

その後、彼女は自ら胸も露出してくれた。至れり尽くせりである。私はその胸を堪能してから、ほどなくして二回目を始めた。抜かずの再開だった。若さである。

「アンッ、ぶっとい、ぶっとい!」

すぐに回復した肉茎に対して、大場さんは相変わらずのサービス精神で応えてくれた。おかげで、いやらしい気分の盛り下がる間がない。これぞ彼女の優しさである。その卑猥な台詞は、わざとらしいというより必須の舞台装置であった。

これに後押しをされると、まったく射精までもたない。また膣内に出した。すると、すかさずの誘惑、

「どうする? 抜かずに出来たら、三発目も……」

当然、私は乗った。

「アアンッ、偉い偉い! スケベ、スケベ! スケベなおチンポ大好きよ!」

異常な興奮の中で、私の“おチンポ”は立て続けに勃起した。そして、精を排出した。

この日は体位をまったく変えなかった。ずっと向かい合わせで抱き合って、密着していた。キスも何度もし、途中からは顔中舐め合いすらした。化粧の味が美味しかったのを覚えている。それと、髪の毛も。耳を舐めた後、そのまま髪の毛も食べたのだ。実に甘い香りのする髪だった。

四発目、五発目と、同様に行った後、私は、キリのいい数字ということもあり、また、さすがに一息つくために、一旦離れた。すると、彼女が言った。

「あら、もういいの? 溜まってたの、全部出せた?」

この一言が、再び私を奮い立たせた。考えてみれば、こんなチャンスはもう二度と巡ってはこないのだ。私はまた、彼女の中に戻った。

「アアッ、そう、そう、もっと突いて! もっと中出しして! おばさん、中出し好きなの」

日頃は便器としての立場しか知らなかったが、大場さんは、そもそもセックスに長けた人であった。彼女の性の許容量は、全く底なしであった。

「分かる? 分かる? マンコの中ザーメンでグチャグチャだよ。おチンポとザーメンがこすれてすごく気持ちいいの!」

そんな彼女に、とうとう私は十発もの射精を行った。それでも、彼女は挑発を続けた。

「もういいの? おマンコしたかったんでしょ? ほらほら」

言いながら、陰嚢をいじる。

「キンタマにはまだ入ってるんじゃないの? ほら、揉んで出したげよう」

コリコリといじる。

私はたまらなくなった。たまらなくなって、ついに漏らしてしまった。精液をではない。

「あ……ヤダ、これ……あ、あ……」

出始めると一気だった。こちらの体の中から、あちらの体の中へと、とめどなく。

「もうヤダァ、おしっこぉ?」

目尻を下げる大場さん。私はもう腰を引く気力もなかった。あるまじき行為だとは思ったが、怒られるのを覚悟ですっかり諦めていた。そんな私をよしよしと撫でながら、彼女は優しく語りかけてくる。

「しょうがない子ねえ。いくらあたしが便器だからって、もう」

私は、彼女の膣内に放尿しながら、彼女とキスを交わした。尿は止まらない。中に溜まった精液を洗浄するかのように膣内を満たし、そしてあふれ出ていった。

「いいよ、みんな中に出しなさい。おばさんの便器に、おしっこ全部シーシーしなさい」

お漏らしをする私に、彼女の口ぶりはまるで幼児に話すようだった。

ようやくひとしきり終わると、彼女はクスッと笑って言った。

「あたしね……今イッちゃった、おしっこ中出しされて。結構気持ちいいね」

その後、私は最後にもう一発やった。ザーメンと小便まみれの膣を突きまくって。

彼女はやはり便器だった。正真正銘の、真の意味での便器だったのだ。今までは、ほかとは違って、彼女だけは女性として見ていた部分もあったが、そして、一時は便器と称することに罪悪感すら感じたものだったが、やはり彼女は便器だった。そう呼ぶのが最も相応しい、誰よりも相応しい存在だった。

行為が終わると、大場さんは全身を舐めて私を清めてくれた。

――その後も、日々の中で大場さんの便器を何度も使った。あの日のような特別なことはなく、また普段訪れても殊更愛情を示されることはなかったが、以前と同じく、日常的行為として何度もお世話になった。

それは、卒業の日まで続いた。そして、私の在学中、ついに彼女を超える逸材が現れなかったこともあり、彼女はその間ずっと、校内のアイドルであり続けた。

今はどうしているだろう。もう辞めているだろうか。それともまだ現役でいるだろうか。現役だとすれば、かつての鬼ババ達のように、ひょっとしたら恐がられているかもしれない。いや、彼女の性格やルックスから言ってそれはないだろう。私は今でも、現在の彼女にお手合わせを願いたいとよく思う。そういう者は、私一人ではないはずだ。

卒業後、大学に進んだ私は、そこで普通にガールフレンドを作り、普通にセックスをするようになった。いわば世間一般の性生活に入ったわけだ。皆そうして大人になっていく。そうして、あの頃のことを忘れていく。

しかし、時々は思い出して、あの頃のことを懐かしみ、そして当時の自分を羨みもするのだ。今では、あんなに妥協してあんなに必死でおばさん連中を抱かなくても、広く世の中を見渡して、もっと若くてもっときれいな娘をと探すわけだが、一方で、素うどん一杯で女穴に排泄できたあの頃も、悪くなかったと思うのである。

それにしても、同窓会に参加したって、そちら系の新しい情報は全く入ってこない。いつも思い出話ばかりだ。部外者には全然情報が開示されないのである。そういう制度があるかどうかすら不明なのだ。

したがって、一度卒業してしまって部外者となった今、彼女たちと会い、ましてそれらを便器として使用することなどは、夢のまた夢、二度と取り戻せない青春なのである。あくまでもあれは、迸る性欲を鬱屈させた男子校生徒のみに使用を許可された、特権的便器だったということである。


<おわり>




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