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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」
「大輪動会」(連載中)

短編作品
「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

一話完結
「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」  ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

「青き山、揺れる」(5)

二人は、どちらからともなく距離を詰めていった。祐子は無論のこと、純粋に熱弁を振るっていた黄本も、やはりいずれそうするつもりではいたのである。彼とて男なのだ。いづ美の置いていった避妊具が、彼に性欲の発露を促していた。

「ン……」

黄本の太い腕が自分の背中に回されると、やっぱり男がいい、と祐子は思う。決していづ美の良さを否定するのではないが、いざこうして黄本の腕に触れてみると、こちらが優位に立ってしまう。結局のところ、今その時感じる温もりが彼女にとっては一番ということだろう。

(――それにしても)

コンドームの箱をちらりと見やりながら、祐子は回想していた。それを置いていった人と今目の前にいる彼との秘め事を見た、あの衝撃的な夜のことを。そう、すべてはあの時から始まった――。


――その日、祐子は努素毛部屋に宿泊していた。といっても、今日のような特殊な目的を持ってのことではない。当時はまだ純然たる取材活動の延長として、また一相撲ファンとして訪問していただけである。

ただその頃から、この部屋と特別懇意にしていたのは事実である。そうでなければ、さすがに泊まっていくことまではしないだろう。その点、既にいづ美のほか部屋の者たちの方からも親しみを持って迎えられていた祐子は、その日晩御飯を馳走になり、そしてそのまま泊まっていくことになったのであった。

彼女は空いている部屋を与えられ、そこで床に就いた。努素毛部屋には空き室が多い。力士の数が少ないからである。幕内から陥落してもう久しくなる筆頭弟子の赤井ですら、単独で一室使わせてもらっている。それ位部屋が余っている。

祐子はそんな部屋の一つを広々と使って眠りに就いていたが、真夜中になってふと目が覚めた。今にして思えば、それが運命だったのかもしれない。特に物音を聞いたわけでもないのに、なぜだかふと目が覚めたのである。

彼女は、就寝中に目が覚めた人にままありがちな例として、何となくトイレに立つことにした。部屋を出て、廊下を歩く。と、そこで妙な声を聞いた。静まり返った屋内ならではに、よく声が通る。祐子ははっとした。

(“あの時”の声だ!)

そんな予感が頭をかすめる。それと同時に彼女の足は、もうそちらに向いていた。そろりそろりと声の方へ忍んで行く。悪いことだとは知りながら、しかしそれへの興味はぬぐいされない。

それは、悪戯心というより好奇心だった。おそらくは親方の黒岩(くろいわ)とその妻いづ美の営みなのであろうが、そうと分かっていながら、祐子はそれを見てみたいと考えてしまうのである。人によれば、知人のセックスなど見たくもないだろうが、彼女の場合は違った。

一つには、黒岩もいづ美も共に好意を持っていた二人だからというのがある。好きな人たちだからこそ見てみたいというのである。

またもう一つには、他人のセックスを一度見てみたいというのもある。他の人はどんなセックスをしているものなのか、自分のを省みる意味でも興味があるのである。

結局それらの理由の根底にあるのは、強烈な性的好奇心、祐子自身の抑えきれない猥褻な性分なのだった。

彼女はそれに突き動かされて、声のする部屋の前まで来た。ちょうど今自分と黄本が居る部屋だ。その前に立って、彼女の胸はドキドキと高鳴るばかり。そして、とうとう彼女は襖に手をかけた。わずかに隙間を作る。“覗き”――その行為の破廉恥さがまた彼女を興奮に誘う。彼女は見た。

(あっ!)

まず目に飛び込んできたのは、人間の尻だった。それも相当巨大な尻で、それがほとんど視界いっぱいに広がる。その尻の両脇から、細い足が逆ハの字形に伸びている。つまり、巨大な尻の下にもう一人いるということになる。

尻の主はうつ伏せ、その下にいる人は仰向け、そして仰向けの人は開脚している恰好、いわば下の人を組み敷いて開脚させている股の間に巨大な尻が入っているわけで……。

(入ってる……!)

そう、入っていた、祐子はしかと見た。尻だけではない。尻の下から出ている黒っぽい肉の管が、下の人の股の間にある穴ぼこへ確かに押し込まれていた。

(すごい……!)

祐子は固唾を飲んだ。確かに期待はしていたが、こんなにそのものずばりの瞬間に出くわそうとは思わなかった。ペニスがヴァギナに挿入されている瞬間、まさにセックスそのものを目の当たりにしようとは!

「アウゥ……アゥッ、アンッ、アッ、もっと! もっとぉ!」

女は悦楽の声でよがっていた。その声の主は、間違いなくいづ美だ。開いた足を時折揺らしながら、彼女は、日頃祐子が聞いたこともない媚びた調子で、女の叫びを上げていた。

「もっとぉぉっ! もっとよぉっ! アッ! アンッ! そう、もっとぶっ込んで!」

男の背中に隠れて彼女の顔は見えないが、きっとその表情は卑猥に歪んでいるに違いない。それを見てみたい、と祐子は思った。美しいいづ美の淫乱な顔を。

それにしても、セックスとはこれほど人を変貌させるものか、と祐子は彼女の乱れように驚愕した。いづ美は割合に活発な人柄ではあったが、性にこれほど積極的だとまでは思わなかった。

無論セックスの話を日常で交わすことなどは通常の付き合いでまずないわけだが、話はしなくても、実際にはこうやって誰でも夜の営みを行っているものだということを、祐子は実地で学んだ思いだった。

見ている間に、いづ美の求めにしたがって、目の前では男性が激しいピストン運動を行っていた。いきり立った剛直が、上から下へズブリズブリと、赤貝のような濡れた秘肉の内へ何度も何度も突き刺さる。

「イーッ……! イヒィーッ……! アッ、上手! 上手よぉぉ……!」

いづ美は激しく啼いた。余りに大きな声なので、家の中の他の者に聞かれないかが慮られるほどだ。いくら夫婦の営みとはいえ、独身者の弟子たちには毒だろう、と祐子は少し心配になった。だが、そんな心配を根底から揺さぶる衝撃の事実が、その後すぐに彼女を襲った。

「アア~ン、いいわぁ、固いわぁ、黄本君のおチンポ。いいおチンポだわぁ、黄本君」

祐子は耳を疑った。いづ美は今、確かにその名を口にした、夫の黒岩ではない名を。弟子の黄本の名を。さらにそれを裏付けることに、男の横顔がその時ちらりとこちらに見えた。それは暗がりでも明らかだった。黄本だった。

祐子はドキリとして固まった。


<つづく>




<目次>
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(51)~(60)

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