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プロフィール

ジーズリー

Author:ジーズリー
よろこばしっとよ~!

オナニー、それは生涯を賭けた孤独なあがき。



作者が思いついたエロ話を羅列して自分を慰めるブログです。下品な妄想と低俗な文章に股間で共感して頂けたら幸いです。

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おことわり
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このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。

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なお、掲載している小説はすべて作りごとであり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。

お知らせ
「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。

お問い合わせは、コメント欄か拍手からお願いします。どの記事からでも構いません。



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。



■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」
巨乳熟女が温泉宿で男達に……。

◆中編作品
「青き山、揺れる」
巨乳アナ祐子が相撲部屋で力士らと淫らな取り組みを……。
「師匠のお筆」
書道の師範父娘と、その弟子母子の交姦ストーリー。

短編作品
「大輪動会」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

一話完結
「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」  ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

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ママの枕 ~ステージ・デビュー~


 しっぽりと濡れた男女が、ホテルの一室で蜜月である。その秘めやかな逢瀬を、二つの影が艶めかしく映し出した。

「ンハア……ッ」

 溜め息と共に海綿体を吐き出して、ミナミは上目づかいを投げた。そしてそのまま玉袋の底部に鼻を潜り込ませる。舌先は肛門の寸前まで至り、その間陰茎が額を押さえている。カトウの好きな格好だ。彼は陰茎を手で支えるのを拒む。

 今しも仁王立ちの彼は、女を見下ろして満足そうにその脂ぎった頬を緩めていた。ミナミは正座し、両手は膝の上。その姿勢で男の股間に、どっぷりと顔をうずめている。二人は時折目を合わせながら、共同して一本の男根に快楽を与える。
 
 肉棒は再び口中に戻る。粘った汁でヌルヌルのそれは、溢れる唾液と混ざり合いながら、柔らかな粘膜の上で踊る。ミナミはそれをさらに奥へと送り込んだ。

「大丈夫?」

 一瞬眉根を寄せた彼女を、上からカトウが慮った。それへ軽く顎をしゃくって応えたミナミの喉に、先刻のアルコールがこみ上げる。

「(コウはもう家に着いたかしら)」

 まるで言い訳のように思いつきを心に発しながら、彼女は酒の残り香を鼻腔から抜いた。その眼前に、先程のきらびやかな光景がちらつく。

――約二時間前。ミナミはカトウと同席し、ギンザの高級クラブにいた。息子はパーティーの後、ヒサキに送らせてある。

「営業熱心なお母様で助かりますけど」

 ヒサキはそう言い残してコウと共に会場を出た。この無表情な女マネージャーはいつも捨て台詞めいた言葉を吐く。皮肉のようでもあり、事実だけを単に述べているようでもある。ともあれ、仕事が出来る人であることは確かだ。

 ミナミは安心して我が子を託すと、自らは次の"仕事場"に向かった。以前から懇意のカトウのほか、所属事務所社長のワダも一緒だ。子役の母にとって、接待は立派な仕事である。誘われて断る理由がない。

 一向は社長らが行きつけのクラブに移動した。いち主婦には縁のない場所である。ミナミはまず、好奇心を刺激された。初めて入る高級クラブ。豪華な調度品と着飾った女達が、まるでテレビドラマの世界を思わせた。おまけに、今宵の彼女に対する扱いは賓客に対するそれであった。

「あらまあ、あの子のお母さん?」

 席に着いたクラブのママは、盛んにミナミを持て囃す。玄人女にとっては、客が女であろうともその接客に不得手はないのである。

「よく見てるわよ、あのCМ。可愛いわよねえ」

 グラスの水滴を拭いながら、ママは饒舌に語った。

「うちの子達とも噂してたのよ。そう、あの子、ワダさんのとこの」

 それに連れて、他のホステスも盛んにコウを褒めそやす。当然母親として悪い気はしない。むしろ自然に出る笑いを押さえきれないでいる。

「今度、ドラマも決まってね。それはカトウさんとこがスポンサーになってる――」

 ワダも結託してミナミを持ち上げにかかった。自分の所のタレントの話なのに、まるで主役はミナミで、彼女を立てるような口ぶりである。

「すごい!」

 ホステスらは大げさに騒ぐ。カトウはカトウで、ミナミの息子がいかに優秀かを語って聞かせる。彼はそのスポンサーの一社の社長なのである。

「コウ君ね。覚えておかないと」

「今の内にサインもらっとかなきゃ。将来プレミアが付くわ」

「賢そうでお上品な所がお母さんそっくり」

 口々に話す女らのどの発言も、ステージママを歓喜させるのに十分だった。客観的に見て、単に酒の肴にされたに過ぎないのであったが、そうと分かっているつもりでも、親バカと上昇志向は無反応でいられない。ミナミはほとんど有頂天であった。

 高揚した気分のまま、店を出る。帰りはカトウが送っていくことになった。ミナミを先へ行かせながら、彼はそっとワダに目配せする。二人の間ではもう話がついているのだ。

 タクシーの車中で、ミナミは夫へ電話した。

「打ち合わせで、もう少し遅くなるわ」

 言いながら、カトウの肩にもたれ、彼の腿の上で互いに指を絡ませる。“少し休憩していこうか”という誘いに応じたものだ。もとよりそのつもりで付いてきている。なんとなれば、自ら甘えにいく腹積もりですらあった。

 電話を切った後、夫と話をしたその唇を今宵のパートナーのそれに重ねる。カトウは腿の上の彼女の手を、盛り上がった股間の上に乗せた。

「ヤダ……」

 含み笑いしながら、ミナミがしなを作る。決して営業でやっているのではないとのあざといアピールが、そこにはあった。二人はなおも唾液を交換し、しまいには露出された男根を彼女は握らされもした。運転手が気づかないわけもなく、少々苦い顔をしていた。

 部屋に入るや、すぐにことが始まる。シャワーはしない。いつものことである。ミナミは洗いもしないそれをいきなりしゃぶらされる。一日仕事にまみれた男の中枢は、情け容赦もなく女の嗅覚と味覚を打ちのめした。うっすら付いた恥垢が舌先でよれ、抜けた陰毛が口の周りに張り付く。まさに"シモの世話"をさせられる感覚だ。

「うん。いいよ」

 成功者の鷹揚さと経験の豊かさから、カトウが優しくつぶやく。ミナミは自分だけ先に全裸にならされ、仁王立ちする彼の前に正座して、汗と残尿にまみれたペニスを従順としゃぶる。

 自分より一回り以上、夫と比べても十以上年上の男ながら、隆々とした生殖器の現役感は、年齢に比例して"夫以上"の印象を与えた。年の甲でもあり地位の甲でもあろう、自信に満ち満ちている。また、遊び巧者ならではの余裕も漂わせている。今日のクラブのように、ミナミには眩い世界の話だ。

 彼女は何も拒まない。無論、力関係の故ではある。我が子を出世させたい母の弱みである。だが、果たしてそれで説明が足りるのか。

「アアンッ!」

 ベッドへ移動して貫かれ、母は媚びた声で鳴いた。

「(ママ、コウの為に頑張ってるからね)」

 息子にはそんなことを堂々と語るつもりだ、その頑張りの内容は説明できないまでも。割り切った行動は、"母は強し"その一環と信じている。少なくとも、度を越した過保護並のことと。

 勝ち組らしきバイタリティーが、濡れそぼった鋼の肉棒から迸り出る。上昇志向の女は、その圧倒的強さにただただ追随するのみ。彼の黒光りする肉厚な背に腕を回し、開いた股を相手の腿に引っ掛けて印を結んでは、充実した命を実感するのだ。

「アアッ! イイッ!」

 ミナミは恍惚として、華々しい世界に所属する昂揚感に酔った。

 彼女のステージは幕を開けた、コウを介して、彼女自身のステージこそ、今。


〈つづく〉


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タグ : フェラチオ



ママの枕 ~ステージ2~


 たっぷりとあんこの詰まった二つの大福。その白き柔肌を破って中の苺が顔を出す。蜜に濡れ、あるいは練乳をまぶした真っ赤な三角錐。ミナミはまんじゅうを揉み割ると、出てきたそれを口に含んだ。

「(男ってバカよね)」

 心ではそんなことを思う。いわゆるパイズリは、胸の大きな彼女にとって初めての技ではなかった。といっても、以前やったのは大学時代だから、軽く十年以上前のことになる。夫はこれを所望しない。

「そうそう、もっと強く挟んでごらん」

 奉仕者の髪を撫でながら、ワダがにやけた口元で言った。今はソファーに座るワダの腿の上に、ちょうど双丘を乗せる格好だ。

 両の乳房の間で陰茎を挟む、そんな発想、男に言われるまでミナミは想像だにしなかった。これほどバカバカしく幼稚な行為があるだろうか、初めはそんな風に呆れもした。けがらわしいとまでは感じない。が、恥ずかしくはある。胸でペニスをしごいている姿を、冷ややかに見つめる自分がいるのだ。それは、行為に慣れた今でも変わらない。

「やぁんっ!」

 勢いついた肉棒が鼻にぶち当たって、ミナミは嬌声を上げた。内心のわだかまりはおくびにも見せない。ただ、何気ない風でそのまま口淫奉仕に切り替えていく。

 しかし、ワダは惑わされない。すぐにまた挟搾奉仕を求めた。ミナミは従順に乳房を持ち上げ、また挟む。

 ワダはとにかくこの性戯を気に入っていた。実の所、ミナミの技術もほとんど彼によって新たに仕込まれ、向上したといってよい。その指導は、初めて枕を交わした日から始まった。

 ――その日、初めての逢瀬にミナミは些か気負い込んでいた。

 ここに至るそもそものきっかけは、同じ事務所に所属する子役の母親、カズエに示唆されたことによる。カズエの娘、エリカは既に数々のテレビドラマに出演の実績があった。その母親の言うことであるから、同様の立場にあるミナミには大いに参考となりうる。その彼女曰く、

「金もコネもない素人にとって、母親の営業こそ重要」

ということであった。実際、カズエはかなり顔が広く、いつ見かけても必ず誰かと一緒にいたし、そしてまたその誰ともツーカーの仲であった。そんな時傍から見ていると、どことなく女性として輝いて映ったものである。

 いわゆる枕営業の話は都市伝説よりもまことしやかに聞いていた。そんなものは存在しないという人もある。だが、男性社会を渡り歩くにおいて、少なくとも女としての媚態が物を言う場面は確かにあり、事実カズエはその辺り自然にやってのけていた。男の前では一オクターブも高いのではと思われる声で大げさに笑いながら、やたらベタベタと相手の体にタッチする。メイクは派手。スカート丈は短い。そんな派手ななりを見るにつけ、邪推を抑える方が難しいのである。

「またダメでしたね」

 オーディションからの帰り道、コウと同い年の息子を持つシズカに声を掛けられた時、ミナミはイラついた。シズカの子供トモは親同様に大人しく、およそセンスがあるとも思えない。コウの方がずっと溌剌として華があると思う。それでも、"金"も"コネ"もない二人は結局世間からすればドングリの背比べ。このままでは所詮十把一絡げで日の目を見ることなく埋もれてしまうであろう。

 そう考えると、ミナミはつくづくやり切れなくなった。シズカのようにただ手をこまねいて終わるのは嫌だ。こと自分の愛息に関して出来る限りのことはしてやりたい。

 彼女は決意した。確かに、自分はカズエより五つも年上、シズカと比べても四つ上と若さでは劣る。だが妙に自信はあった。元来容姿は悪くないと思っているし、何より今は前のめりの意気がある。少々の無理なら聞く覚悟だった。

 ターゲットはまず事務所社長のワダである。コウの入ったこの事務所は業界トップとまではいかないもののそれなりの規模であったし、何より歴史が古かった。また代表であるワダは多方面に人脈を持ち、彼個人の顔で会社が存在感を放っている部分も大きかった。売れるにはまず、彼と事務所の推しが肝心だと考えたのである。

 とはいえ、彼の方から、

「息子さんをスターにしたいなら抱かせろ」

などと迫ってくるような、昼ドラじみた展開があるわけではない。むしろ、日頃から多くの母親らと接している彼にとって、どの女も大差なく見え、また逆に言い寄られることも多く、性に不足はないのである。

 だから、そんな彼と枕を交わせたことは、ちょっとした奇跡に近かった。ある飲みの席の帰り、そのままホテルになだれ込んだのである。ちょうどタイミングが合ったのだ。それはほとんど出会いがしら、行きずりの関係であった。

 もちろん以前から、折に触れて相談を持ち掛けたり、それとなくしなを作ったりはしてアピールしてきた。しかし、正直な所、ワダにとってミナミをミナミとして、つまり他の母親と区別して認識するには至っていなかったのである。だから、その夜彼女を連れ込んだのは、その時の勢いで、数ある女の中からたまたま手近にいたのを選んだに過ぎなかったのである。

 いずれにせよ、ミナミにはチャンスに違いなかった。彼女は燃えた。めくるめく官能の技で、男を虜にする覚悟だった。無論、彼女とて夫を持つ身である。しかし、ここに至りなば、"不倫"など所詮低次元の話で、"息子の為"という大義名分こそ絶対なのだ。

 娼婦として足を踏み出した初めての夜、初戦を制した喜びに酔った彼女は、ワダの生殖器が体内に入ってきた瞬間、久しぶりのエクスタシーを覚えた程だった。また、彼の勃起は凄まじく、一回り以上も年上の中年男性には思えない手強さで、か弱き女体を圧倒したものだ。後に肌を合わせることとなるカトウといい、このワダといい、やり手の男はことベッドにおいても強い。まるでAV男優並の安定感あるセックスは、さすがの百戦錬磨。経験不足の一主婦は、ただ為す術もなく弄ばれるばかりだった。

 それでも一矢報いたとすれば、パイズリであろう。それはシックスナインの時だ。仰向けの相手の顔面を跨ぎながら、垂らした乳房の間に屹立した肉棒を入れたのである。

「おおっ!」

 ワダは、クリトリスから口を離して喜んだ。まんまとミナミの図に当たった。それからは、彼によるレッスンである。曰く、

「乳の肉だけでペニスをホールドすることこそ本来」

とのこと。ミナミは何度もダメだしを喰らいながら特訓させられた。以来、彼の方から呼び出される関係に昇格したのである。そうして、一時間以上も乳肉をこねくっては陰茎をしごくのが常であった。事後、筋肉痛を覚える程である。

 今日も今日とて、社長室での破廉恥遊戯。昼日なかから呼び出された保護者がせっせと励むパイズリ接待である。デスクの後ろの窓から射し込む日差しが、素っ裸の女体をキラキラと照らす。注意して見れば、向かいのビルからも行為の一部始終をすっかり見ることができるだろう。いや、それ以前に、この部屋に誰かが入ってくる可能性の方が高い。現に事務所内には、大勢の人間が働いているのだ。

 もし誰かがやってきた場合、ノックがあってからすぐに服を着るのにどれ位の時間が要るだろうか。ワダはいい、彼は股間しか露出していないから。だがミナミは一糸もまとわぬ姿だ。このまま対面できるわけがない。それはワダにとってもまずいことだろう。当然彼は相手を外で待たせるだろうが、その待ち時間が不自然に長くなってしまうのは仕方がないとしても、その辺りは上手く繕ってくれるのを期待するしかない。あるいは、執務机の後ろに服を持って隠れるか……

 と、ミナミが想定していた時だった。なんといきなりドアが開いて、マネージャーのヒサキが入ってきたのである。

「失礼しました」

出直そうとする彼女。それを押しとどめたのはワダである。恥部を見られても何食わぬ風だ。対するヒサキもヒサキ。いつも通りの無表情である。まるで日常の光景とでも言うように。

 ミナミは愕然として固まった。尋常でいられないのは彼女一人。自分ですら恥と感じている秘め事をあられもなく見られた。あまりのショックに、服を取り寄せることすら忘れていた。そんな彼女にワダは、

「おい、手が止まっているぞ」

と、痴戯を続けるようにと指図する。ヒサキは黙って見下ろしている。決断の時だった。

「(そ、そうよ、体を売って仕事を取っているのよ)」

ミナミは奥歯を噛んだ。もはや引き返す道はないのだ。ここは、いかにもさばけた女を装い、開き直って行為を続けるしかない。そうだ、あのベテランママ・カズエのように。彼女ならきっと、ここで止めたりはしない。それに、見られたといってもマネージャー一人ではないか。どうせ彼女には薄々気づかれいただろうし……

 彼女は再び乳房をすり合わせ始めた。ヒサキはそれへ一切頓着する様子もなく、淡々と報告を始める。その冷静さはまるで全てを見透かしているようで、ミナミの劣等感に拍車をかけた。“いい歳こいた女が、乳の間にペニスを挟んで媚びている”なんて、どう突っ張ったって無様である、と。

「(いいえ、これは仕事……仕事なの! ……コウ)」

彼女は強く心に念じた。“仕事”“営業”それこそヒサキと同じように、いや、今この事務所、向かいのビル、この街で働く全ての大人達と同じく、自分は頑張っているのだ、愛する我が子の為に! ミナミは一層力を込めて男根をしごいた。

 すると、それが結果を呼び込んだ。ワダが射精したのである。その飛びはいつにも増して勢いがあり、ミナミの顔面の中央へしたたかにぶっかかった。真っ赤な顔から滴る白い粘液。

「(終わった……)」

ほっとして顔を拭おうとティッシュペーパーを探すミナミ。だがワダが、それを許さなかった。そればかりか、

「入れてやる」

と言い様、彼女に挿入合体のスタンバイを命じた。

「(嘘でしょ)」

ミナミはワダの目を見た。彼は当たり前のように真顔で立ち上がっている。今度はヒサキをちらりと窺い見た。彼女は相変わらず無表情で、手元の報告書に目を落としている。ミナミに逃げ場はなかった。そっと執務机の端に手を置き、尻を後ろに突き出す。

「(わたしはこういう女……これが正しいこと……こんなこと位で……)」

めげそうな気持ちを必死に奮い立たせる。全身が熱い。しかし、のど元過ぎればなんとやら。ここさえしのげれば……

 が、彼は全然入ってこなかった。ちらりと振り返れば、ヒサキに渡された報告書らしきものを、相変わらずペニスをおっ立てたままで見つめている。その時の二人の表情たるや、完全にミナミの存在など無視した、ビジネスライクなものだった。

「うう……」

 惨めな思いでミナミは火照った顔を伏せた。五分、十分、いや実感としてはそれ以上の永遠とも思える無情な時間が経過した。

「(早くしてよ……)」

その陰唇から涙よろしく淫汁が漏れる。こんな場合でも、あるいはこんな場面だからか、いつにも増してポツリポツリと湧き出してくる。それが足の間の床を濡らしていく。考える時間を与えられることは拷問だ。

「しゃ、社長……早くぅ……」

ついに我慢できずに申し出てみた。ところがどうだろう。なんとワダは完全に無視である。聞こえなかったはずはないのに、なんの反応も示さない。致命的な赤っ恥である。ミナミは耳まで赤くなってうなだれた。薄っすらと涙がにじんでくる。

 だが、声を出したことで却って気持ちが吹っ切れた。こうなったらとことんバカを演じてやろうと、ワダの足元にすり寄って肉棒をしゃぶりだす。すると今度は彼の手がそれを遮った。

「それはいいから、向こうで待っていなさい」

掌底で額を押し返され、思わず尻もちをつく。恥の上塗りだった。彼女はすごすごと元の姿勢に返った。間違いなく、今まで生きてきた中で一番の屈辱だった。それでも元に戻ったのは、もはやプライドの為であった。

 ミナミは艶めかしく尻を振りつつ、自らの指で陰門をいじくりだした。

「ねぇ~ん、早く入れて下さいましぃ~……」

誤解のしないでもらいたいが、彼女はただの主婦である。プロのセクシー女優でも風俗嬢でもない。枕営業を始めたとはいえ、決して男性経験は多くない。ただちょっと、息子を有名人にしたいだけである。そんな女の一世一代の痴女芝居だ。

 それでも、願いは聞き届けられなかった。それどころか“静かにしろ”と怒られ、なおも放置された。結局そのまま、ヒサキが退室するまで、この愚かな母親は交尾待ちをさせられるのだった。

 部屋を出るとヒサキに出くわした。ミナミは努めて事務的に挨拶して過ぎるつもりだったが、相手の方が足を止めさせた。

「お疲れ様でした」

 嫌味じみたセリフを、何の抑揚もなく言うヒサキ。ミナミがそれに上手く切り返せないでいると、彼女は一方的に話を続けた。

「あなたは泣いたりなさらないんですね」

聞けば、以前ワダの部屋から泣いて出てきた女があったと言う。それなんシズカであった。


〈つづく〉


人妻官能小説【蕩蕩】







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ママの枕 ~ステージ3~


 チョコレートの板の上で白いマシュマロを転がすように、ミナミはワダの背中の上で豊乳を滑らせた。つぶれた脂肪の間から無数の泡が弾ける。彼女の体は石鹸まみれ。その肌でワダの体を洗う。彼は悠然と腰掛けに座ったままだ。ミナミは彼によって、ソープ嬢さながらの技術を仕込まれていた。今日もファッションホテルの浴室で、専業主婦が真昼間からソープ不倫である。

 腰から手を回して、陰茎をなぶる。彼のものは、早くも硬みを帯びていた。だが、それも彼女の乳頭ほどではない。男の肌で摩擦され続けたそれはいずれも尖りきり、思い思いの方を向いて首や腋などへ流れて行った。

 後ろが洗えたら次は前である。

「失礼します」

 ミナミはそう言って彼の前方へ回ると、その腿の上に尻を落ち着けた。

「ン……」

 陰核が接着して、彼女はわずかに感じた。少し調節しながら、陰唇をこすり付けだす。ワダの体毛がジョリジョリと鳴る。ミナミの縮れ毛がそれと混ざり合った。ワダとの関係を覚悟してから整えるようになった下の毛である。ちょうど独身の頃のように。

 ワダは腿で泡踊り中の女に手を回し、その肛門にズブリと右手薬指をねじ入れた。

「ヤッ、アアン……!」

 ミナミは眉根を寄せた。が、拒むことまではしない。もぞもぞとする気持ち悪さに耐えるだけだ。しかし、やられているだけでは済まぬと、彼女もまた手を使って敵の股間を攻撃した。

 指先で青筋をなぞって降りてゆき、そのまま玉袋、さらにその裏へと侵入する。このホテルの腰掛けは、股間の下にちょうど腕が入る位の窪みが彫ってある。ミナミはそこから手を入れ、思い切って尻の穴に中指を突き立てた。

「フフン」

 別に嫌がりもせず、ワダは鼻で笑った。ただその黒光りする肉棒が一段と反りを増す。彼はそれを、彼女の空いている方の手でしごかせた。自ら更なる攻撃を受けようというのである。

 困ったのはむしろミナミの方だ。両手を下の方に取られて安定が悪い。そんな中、ワダの左手は彼女の膣穴までほじくり出した。いつの間にやらアヌスには小指も増えている。ここで、勝敗は呆気なく決した。

「ア、ウゥン……!」

 尻の脂肪をプルプル振動させて、彼女はアクメに達した。折しも、ダメ押しのように接吻をされた時だ。ミナミは自分から口を開き、舌を出して相手の舌を探した。頭が朦朧としてきた。

 しかし、休む暇は与えられない。ペニスは相変わらずしごかされ続けるし、ヴァギナの指しゃぶりもやめさせられない。互いの肉と肉が擦れあって、浴室にネチャネチャとした音が響いた。既に石鹸の中へ男と女から湧いた粘り汁が多分に混じっている。二人はお互いの肛門をほじくり、また生殖器をこね回し合いながら、一部の隙もなく唇を重ね合った。

「(あああ……これ、すごい……)」

 女体の快楽に素直な感動を覚えるミナミ。ワダとの邂逅まで久しく忘れていた。

 ふと彼女は、シズカのことを思い出した――。

「――ああっ、なんでもないんです」

 シズカは優しい笑顔で答えた。ワダの部屋から泣いて出てきた件について、ミナミがやんわりと尋ねた時だ。

「トモのことで相談している内に、なんだかこみ上げてきちゃって……」

 それを聞いて、ミナミは正直拍子抜けした。が、一方で"どうせそんなことだろう"とも思った。ミナミがワダに相談を持ちかけていたのは、なんとか彼の気を引こうという意図であったが、シズカの場合は、紛れもなく文字通りの"相談"なのである。この素朴なステージママは、計算高さと無縁の所で生きていた。

 はっきり言って、芸能界に似合わない純粋さであったが、どうしてここにいるのかと問えば、

「わたし、アイドルになりたかったんですよね」

と、いかにも無邪気な調子で答える。その調子で、家でも大真面目で息子と特訓に励んでいるのだとか。表情を豊かにする練習や滑舌を良くする練習などなど。

 ミナミは笑って話を合わせながらも、内心では舌を出していた。その程度の努力でスターになれるなら安いものだし、第一その程度のことは努力にすら当てはまらないと。一歩抜け出そうとするなら、何かを失ってまで仲間を出しぬかないといけないのだ。

 彼女の大学の同窓に我が子を役者に育てた母親がいる。息子はコウよりも五つ年上だが、既に業界から一目置かれる存在感を示していた。国民的大型ドラマにも出演経験がある。実力派という触れ込みで、とある劇団の中で幼くして大人に交じって活動していた。

 その子、タイガは、ミナミから見ても確かに芝居が上手かった。仮に、彼の母親がミナミのような営業をしていないと言われても、そうかもしれないとすら思う。計算高い彼女は、正直な所、我が子がその点で敵わないことを前提に今日のような工作をしている部分があった。

 こんな心は、母として失格だろうか。否、彼女はそう思わない。なぜなら我が子の為にその身をさえ犠牲にしているのだから。

 そんなミナミの哲学をよそに、シズカはのんびりと語る。

「あんまり熱心に特訓するものだから、旦那に怒られるんですよ。"学校の勉強の方が大事だぞ"って。ちょっと嫉妬も入ってるんですよね」

 要するに彼女の感覚では、子役業も習い事の一つといった所なのだ。それであわよくばスターに、と。

 以前、少しだけ枕営業の話題が二人の間で交わされたことがある。シズカは端から夢物語だと笑った。

「それに、それって浮気じゃないですか。旦那さんを裏切ってまで子供の仕事を取るなんて、目茶苦茶ですよ」

 どこまでも本気度の低い女である。ミナミは知っていた。タイガの母が仮に枕をしていないとしても、彼女の家が某大企業の創業家一族であることを。それに比して、ミナミやシズカのいかに何も持たざるかを。金もない、コネもない。あるなら、そう、この身一つ、女の武器だけだ。

「アアッ! アハァ~ン!」

 例によって大げさに悦楽の声を上げる。あの社長室での一件以来、ミナミの痴女ぶりは新たな境地へと踏み出していた。実地によって舞台度胸を向上させていったわけである。彼女はワダの膝の上でのけ反った。彼の首に手を巻き付け、自ら腰を上げ下げしては膣内の男根を摩擦する。泡だった白い愛液が、睾丸を伝って床に流れ落ちた。

「(旦那が、旦那がって……)」

 ミナミは劣情の狭間で思考した。コウに入れ込むのに比例して、夫婦仲は冷え込んでいった。今では会話もない。当然セックスレスだ。もうすぐ二年になる、最後に肌を重ねてから。

 しかし、彼女の肉体がさび付いたわけではない。むしろ、女体としては成熟度を増すばかりだ。子種を宿せる最後の年齢を目がけて、女体と性欲は右上がりに増進していくのである。

「アアッ、アアッ、アヒィッ……」

 熟れていたのに放置されていた肉体は、まるで水を得た魚のように生き生きとしていく。本人も驚く位の過剰反応だ。

 もちろん息子の為に抱かれているのだ。ワダもカトウも好きではないし、コウのことがなければなんでセックスなぞしようか。イヤらしい声で鳴くのも、男好きする娼婦を演じているのだ。

「アアッ、イヤァン、アァ~……」

 全ては演技だ。女はセックスを演じる生き物だ。さっきから延々と続くオーガズムも全部嘘だ。とめどなく溢れ続ける愛液も偽物だ。びっくりする位簡単にイッてしまうのも、近頃乳の張りが良くなったのも、みんな……

「イ、イ、グゥ~……! ンンン……」

 子宮を突き上げる熱のエナジーが広がった時、ミナミはワダに頼り切ってその体にしがみついた。アクメが終わらない。

「(き、気持ちいい……)」

 思わぬ落とし穴だった。経験豊富な人間のセックスの上手さは想像以上。今までの夫婦の営みが児戯に等しい程だ。そして何より、思っていた以上に、ミナミの体は性に飢えていた。

 ミナミはよろめきながら四つん這いとなって、事後のペニスに口淫奉仕した。時に手を滑らせて、亀頭で鼻柱をしたたか打ちもした。もうクタクタである。みっともなくも、ワダの前で放尿さえ我慢できなかった。小便を垂れ流しつつ、淫母は白濁液まみれの勃起ペニスを舐めしゃぶる。営業と称しながら、母ミナミはいつしかセックスレスの穴埋めに溺れていたのである。

 とはいえ、枕営業の成果は確実に上がっていた。ドラマ出演が決まったのである。作品はタイガの主演だ。


〈つづく〉


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ママの枕 ~ステージ4~

「いやあ、タイガ君とコウ君、仲いいねえ」

 傍に寄ってきたプロデューサーのキジマが言った。周囲にいた幾人かも頷いている。皆の視線の先には、撮影の合間に戯れる二人の子役の姿があった。

 キジマは続ける。

「前にね、タイガ君と"どうしても合わない"ってことで、結局使えない子があったんだけど。コウ君は大丈夫そうだね」

 ミナミは曖昧に笑って聞いていた。本来なら"それこそコウの実力だ"と誇りたいところなのだが……。今はただ、ニヤニヤと媚びた笑いを浮かべるキジマに愛想笑いを返すばかりだった。

「(うちの子とあの子の仲がいい?)」

 ミナミは鼻で笑った。コウはそう信じているだろう。しかし、その白々しい実態を、彼女は知っているのである――。

「――ア……ア……ア……」

 母体に抜き差しされる肉茎。この現場でも、彼女の仕事はあった。子役の母として我が子のみならず、ほかの"ムスコ"の世話もしなければならなかった。

 昔使ったセットだとか大道具類が雑然と置かれた場所に、まるで秘密基地みたいな空きスペースがある。ミナミはそこに連れ込まれ全裸にさせられて、四つん這いとなり濡れ膣を差し出しては、それを男の性欲の用に供するのだ。

 男とはたとえ仕事の現場であっても劣情を抑えきれないもの。少なくとも彼はそうだった。こんないつ誰が来るともしれない場所でも性の誘惑から逃れられないでいる。それにつき合わされ、まんまと性欲処理機と化したミナミ。

「ン……ンア……」

 音量は控えているが、途切れ途切れの喘ぎは漏れる。このペニスもまた上手かった。ワダやカトウと比肩する程である。初対面ながら彼女の感じる筋を巧みに刺激する。

 ミナミはいつもと違い、この乗り気でない営業について、まさか気をやるとは思ってもみなかった。むしろ耐えようとしていた。だが……

「アッ! ンンン……ッ!」

唇を噛み締め、彼女は唸った。我慢しようとすればする程、返って意識してしまうもの。結局今日も盛大に快楽の門を開放していた。

 やがて男も達し、彼女の搾精器に勢いある子種汁をどっぷりと吸い込ませた。ハアハアと息をつき、男が言う。

「良かったよ。おばさん」

 滑舌よく聞き取りやすい明瞭な発音、小声ながらよく通る声は、場数を踏んだ名優さながら。ただその声音はまだ声変わり前のウブなものだった。もしそうでなければ、誰も彼が少年だとは疑わなかったろう。

 しかし、その溌剌とした笑顔と幼い容貌を見れば見紛うはずもない。彼こそれっきとした当代一の人気子役、タイガその人であった。そう、共演する子役の母親を犯し、膣内射精の上アクメにまで至らせていたセックス巧者は、二十四も年下の少年だったのである。

「(まさか、こんな子供と……)」

 それは、最中からずっと考えてきたことだ。そんな呆然とする熟母の陰唇との間に受精液のつららを架ける彼の亀頭。既に使い込まれた風格を漂わせ、男としても経験豊富なことを匂わせていた。

「しゃぶってよ」

 彼の指令によって、その男くさいのを口に含むミナミ。背の低い相手のこと故、かなり背中を丸めてのフェラチオになる。なにしろ、ミナミが膝立ちをしてやっと同じ位の身長だ。そんな小人のなりでありながら偉そうに仁王立ちし、母親と見紛う女に精液を舐めとらせるタイガ。

 さっき彼が、

「中に出すから」

そう宣言した時、ミナミは彼の年齢で本当にそれが出来るのかどうか半信半疑だった。すると、それを見透かしたように、続けてタイガは言ったものだ。

「オレ、もう精子出せるぜ」

 ハッとしたミナミ。だがもう遅かった。そもそもコンドームの持ち合わせなどない。彼女はされるがまま、この年端もいかぬ子供と子作りをしたのである。つまり、彼の体は早くもその資格を有していたわけだ。

 なんという早熟であろうか。女を知っているどころではない。この年にして、一体どれ程の女を喰ってきたのだろう。これが芸能界というものか。

 枕営業を求めてきたのも、彼からだった。

「おばさん、ヤらしてよ」

 屈託のない顔をして、ぬけぬけと言ったものである。最初、ミナミは聞き間違いかと思った。しかし、そうではないわけで。

「なんかさあ、あのコウって子、絡みにくいんだよね」

 タイガは、広告塔にもなっている愛くるしい顔に、急に大人びた表情を浮かべて意地悪く言った。ミナミの背筋にゾクゾクとうすら寒いものが走る。彼の進言がきっかけで、既に番組を下ろされた子があることを彼女は聞いていた。

 彼はこうも言った。

「どうせおばさんが寝て取った仕事でしょ?」

 これにはさすがにミナミも激昂した。するとどうだ。気色ばんだ彼女を見て、少年は急に素っ頓狂な声で悲鳴を上げたのである。その声は、離れた所にいる大人達を振り向かせるのに十分だった。

「どうしたの」

 真っ先に駆け寄ってきたのはタイガの母親、サオリである。彼女はカズエとは違い男に媚を売ることなく、今もスタッフ達と仕事のことを真面目に話し合っていた。

 ミナミは一気に窮地に立たされた。

「(こんなことで……)」

 今までの苦労も全てパーである。なんのために体を売ってきたのか分からない。このドラマに出れば知名度は飛躍的にアップするはずだ。スターダムにのし上がるのも夢ではない。それなのに……

 気づくと、ミナミはタイガの袖をつかんでいた。まさに藁をもつかむ思いだった。すると、ニヤリと口辺を上げて、タイガは母に向き直った。

「ううん、なんでもない。コウ君のお母さんと、ちょっとゲームしてたんだよ」

 サオリが去ると、二人は申し合わせて移動した。なんのことはない。彼自身が既に枕営業をかけられる側の人間だったのである。片や、こちらの母はこれからが本番だ。

「(まさか、こんな子供と……)」

 まだ現実に感じられない。これまでの対象はキャリアの豊富な、彼女が陰で呼ぶ所のいわば"おっさん"ばかりであった。営業の相手を選ぶ時にも、漠然とそれらしい男から探してきた。

 ところがどうだ。タイガはこの年にして、彼らより下劣な方法を当たり前のようにやってみせるではないか。しかも、いかにも慣れた態で。ミナミが相手を子供として話しかける口ぶりにも、まどろっこしそうに横柄に応じるだけだった。もはや子供が調子に乗って大人の真似をしているといったレベルではない。

「わたし、あなたのお母さんと同い年なんだけど」

いよいよという間際になって、ミナミは最後の手に出た。正直な所、これを言うかどうかは迷った。嫌われた場合、結局コウが下ろされてしまうことにもなりかねないからだ。だから、これを言ったのは、それでも大丈夫だろうという読みが多少はあったからである。

 案の定、タイガは関心を示さなかった。

「フーン、そう。それ位だと思ってた」

 このやり取りが、結果的に合意の合図になった。ミナミは卑屈にも、かつての同級生の息子に媚びて抱かれることとなったのである――。

 白濁液にまみれた生殖器を、チューチューと吸う。彼のものはまだ小さい。成人男性とは比べるべくもない。だがこれで、現にミナミはイかされた。決して、おままごとではなかった。正直な所、最初は高をくくっていた。彼の股間には、縮れ毛一本まだ生えていなかったのだから。これで女を抱くなどと、滑稽な話だと思っていた。

 事が終わって、残されたミナミは一人、散乱した服を拾った。先程自らストリップした衣服。薄暗闇の中、ひんやりとした床に伸びる下着が痛々しい。

 撮影現場に戻る。と、キジマの向こうからタイガがこちらを見てニヤついていた。魔少年とも評すべき悪どさだ。ミナミは生まれて初めて、小学生に対して恐怖を感じた。果たしてその恐怖たるや、決して誇大なことではなかったのである。

 コウとタイガの撮影は、その日の後日も続いた。驚くべきことに、台本にないシーンまで追加された。それというのも、コウとの仲睦まじさが画になるという雰囲気を、タイガが醸成するよう仕向けたからである。

 最初のきっかけは、出番を終えたコウをタイガがわざわざ現場に招いたことだった。単純に友人として、遊び相手として呼んだのである。コウもすっかり"タイガ兄ちゃん"に懐いており、喜んで遊びに行った。そうする内、予定にはない場面にも"ちょっと出てみないか"と現場判断で勧められるようになったわけである。

 まさに営業の甲斐があったというものだ。だがもちろん、一度きりの代償で全て上手くゆくわけがない。

「ねえ、早く済ませて」

「何おばさん、そんなにチンポ欲しいの?」

「違うわよ。早くシないと人が来ちゃうから」

まるでセックスフレンドのように対等に会話する二人。ミナミはコウに付き添いで来る度に体を求められた。そもそも、タイガの狙いはこっちにあったわけで。

「オレさあ、子役の母親犯すのにハマってるんだよね」

彼はそう語った。若い女でも抱けるが、あえて母親クラスを選ぶのだと。

「母親とヤッた後でそいつの子供と共演してさ、"お前の産まれてきた穴に、さっきチンポ入れてきたぜ"とかさ、思う訳」

その下劣な発想には呆れるばかりである。しかし彼はこたえない。

「ま、役作りだよ役作り。"芸のコヤシ"ってやつ?」

誰かの口真似なのか、悪びれる風もなくあっけらかんと言う。幼くして大人の世界で揉まれると、こういう風になるのだろうか。少年の心の闇を覗いた気がして、ミナミはぞっとした。しかし彼女自身、その闇に引き込まれることを拒絶はできないのである。

 彼の命令によって、胸で肉竿を挟む。タイガは当たり前のように"パイズリ"を知っており、また経験があった。

「スゲー上手いじゃん! さすがおっさんらとヤりまくってるだけのことはあるよね」

 彼は憎まれ口を叩きながら、熟女の谷間膣を愉しんだ。

「(こんな子供に……)」

屈辱的な思いが、玉の汗と共ににじみ出る。ワダによって仕込まれた技術を、こんな年端もいかない悪童に披露することになるとは思わなかった。それでも律儀に奉仕は続ける。

 ミナミの巨大な乳房に対して、少年のモノは余りに小さすぎた。陰茎はもちろんのこと、ギューギュー引っ張られて、睾丸まで谷間にすっぽりと埋もれてしまう。手で男根を固定する必要もない。ミナミはやけくそじみて、それら竿と玉をこれでもかという位、脂肪で圧迫してやる。

「うお、締まる。マンコより締まるよ、おばさん」

ませた口をきくタイガ。その先端からトロトロの粘液が先走り出る。それと女の汗とが混ざり、クチャクチャと鳴った。柔肉の全方位マッサージですっかり決行の良くなった肉棒は、筋という筋を伸びきらせていきり立っている。それが胸の中でビクビク痙攣しているのがミナミには分かった。

「(出すのね、このまま)」

 折しもタイガが腰を使いだした。相手の肩をつかみ、コリコリした突起を精一杯に出し入れする。

 女陰の奥から、事前に中出しされた精液が押し出されてきた。体の反応に合わせ、中の蠢動と分泌液が後押ししたものだ。ミナミは、屈んだ姿勢のまま一層尻を突き出した。フェラチオの時程ではないにしても、やはり低い位置にあるものへの愛撫は不恰好だ。とても冷静な気分では取り組めない行為である。

 だが今は真面目にやる。"どうぞ"とばかりに双丘を捧げ持つ。くねらせた尻の奥で、ジュンと子種穴が濡れそぼった。その日も彼女はイかされていた。

「イくっ! ……ミナミ!」

 やがて、タイガは胸と胸の間で、自分の性器がすっかり隠れた中で射精した。その見えなさ加減といえば、まるで本当に膣内に出したかのようであった。

「(出てる……)」

見えなくとも、受ける方には分かる。熱いものが広がり、その熱とそれを送り出す脈動が心臓を打つようだ。ミナミは、いささか達成感めいたものを感じた。ワダ相手にも経験のあることだが、実によく働く彼女の乳間膣であった。

 一方、タイガは腰振りをなおもやめなかった。そんな時、遠くから、

「タイガ君どこ行ったのかな」

といった話し声がした。

 それが聞こえてもタイガはやめない。それどころか、浮ついた顔でこんなことを口走ったものだ。

「ねえ、おしっこしてもいい? おっぱいの中で」

それまでと違い、ややつきものが落ちたような優しい口調だったが、その内容は到底首肯しがたいものだった。

「え? え?」

人の近づくことに焦りもあり、ミナミは狼狽した。それへ、少年は宣言通りの無茶をやり出す。すなわち、女の胸の間への放尿であった。

「ちょっ、やめなさ……!」

慌てて制止しようとするミナミ。すると、その顔面へ小便が直撃した。ちょっと手を離した瞬間に陰茎が飛び出たものだ。彼女は急いでもう一度パイズリ姿勢になった。といっても、いくら彼女の乳圧がすごいとはいえ、あふれ出る放尿を止められるものではない。

「もう……」

眉根を寄せて耐えるほかなかった。それが動揺した彼女の下した最善の判断だった。タイガが小便を終えるまでの僅かな間、ミナミは彼のペニスを乳で挟んで、尿が飛び散らないようにするというのである。

 さっきとは違う熱いものは、さっき以上の勢いで迸り出る。みぞおちから下ったものは縮れ毛を濡らして床に落ち、また別な流れは、胸の上部を伝って乳首より零れ落ちた。次第に広がる水たまりは、近くに落ちていたインナーシャツまで侵食する。

「あっ……!」

それをどかそうとするが、姿勢を崩すとまた大惨事だ。結局耐えるしかなかった、ジャージャーと水が管を通る振動を肌で感じながら。ここに至りなば、ミナミの乳は生殖器どころか小便器であった。

「ふう……」

やっと終わってブルブルとタイガが下半身を震わせると、それにつられてミナミの乳肉もプルプル揺れた。彼はその残尿を熟母の舌で舐めとらせると、さっさと去って行った。

「どこ行ってたんだ」

「すいません、ちょっとおしっこしてました」

遠くでそんな会話が聞こえた。

 ミナミはそれを聞きながら、濡れた膝頭で立ち上がると、例によって脱ぎ散らかした衣服を着始めた。シャツのみならず、ブラジャーもぐっしょり濡れていた。彼女はしかし拭いている暇もなく、乳房、いや小便器にそれを着ける。

 そんな体でコウの前に戻った時は、さすがに心苦しかった。ママはついさっきまで便所になっていたのだ、コウの大好きなタイガ兄ちゃんの。

『お前の産まれてきた穴に、さっきチンポ入れてきたぜ』

彼は今もそんなことを思っているのだろうか。コウと遊ぶタイガは、何の屈託もなく笑っていた。


〈つづく〉


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ママの枕 ~ステージ5~


 ミナミの日常は忙しい。炊事・掃除・洗濯など家事一般はもちろん、コウの幼稚園への送り迎え、そしてその間の"営業活動"。母として、あるいはステージママとして多忙を極めた。そこに"妻"としての務めが介在する余地などなかった。

 そんな彼女へ、ある日ふいに夫が声を掛けてきた。

「何か出来ることがあったら代わろうか」

それは、いつものように批判的でなく、自ら折れて相手を立てるような調子だった。

 妻は、しかし一瞥もくれずに返した。

「別に……」

彼女は今、インターネットでコウの評判を検索するので手一杯だった。例のドラマに出た効果は上々。"かわいい"という声、"名前が知りたい"という声が多数だ。

 だが一方で、"へたくそ""むかつく"といった心無いコメントも見られた。ミナミはその一々に一喜一憂しながら今後の方策を練る。つい先程、コウが眠る直前までも、セリフの言い回しを指導していた。

「(これからは……)」

考えながら、ふとカレンダーを見る。明日の予定は――

「――うおぉ、また出るぅ……!」

興奮で鼻を鳴らしながら男が叫んだ。太って、生白くて、汗だくで、髪はボサボサのずんぐりむっくり。ゴミ屋敷のような、足の踏み場もない部屋は、まさしく彼にこそ相応しい。

 ミナミはそこにいた。今日も"営業"だ。

「(営業? これも?)」

相手は女気の微塵もない、そして何より、権力に全く縁のない男! 彼女はそいつに後ろから交尾されていた。

 そのさらに後ろから、タイガが笑う。

「またイくの、ヌマちゃん」

魔少年は今日も冷酷な表情で、二人のまぐわいを見つめている。"ヌマちゃん"ことヌマタは、それへ見せつけるように軽く膣内へ射精した。

「(なんでこんな男に……)」

そう歯噛みしながら、本日五発目となる彼の中出し精液を受ける。その太い海綿体の跳躍も、不本意ながら慣れっこになってしまった。そしてそれとシンクロしてオーガズムの波が揺れる。

「クッ……ウゥ……」

悔しいが肉体の反応は制御できない。視界にタイガの股間が入る。彼もまたむき出しだ。ミナミはその日、二人から輪姦されていた。

「見なよヌマちゃん。ヌマちゃんのチンポで、ミナミまたイッてるよ」

十八も年上の男に対しても偉そうに言うタイガ。そもそもヌマタを引き入れたのも彼だった。

 ヌマタと初めて会ったのは、例のスタジオの秘密基地。タイガと交わっている最中に、いきなりぬっと現れたものだ。ミナミは心臓の止まりそうな程驚いた。

 片やタイガは落ち着いたものである。ミナミに覆いかぶさったまま、ちょっと首を回しただけで話しかける。

「あ、来た来た。こっち来なよ」

 ヌマタはおずおずと、しかしギラギラした目で二人の結合部を見つめながら入ってきた。

「ちょ、ちょっと……!」

ミナミは焦って起き上がろうとする。すると、タイガは巧みに彼女の内壁の、それも一際感じる筋を芯棒でこすり上げた。

「ンンッ!」

ミナミはのけ反り、また力を入れられなくなる。見物人を前に、一部始終を見せつけてのアクメ。タイガは腕力でなく、ペニスで彼女を従えたのだった。しかもその上で、悠々と言い放つ。

「悪い、ちょっと待ってて。すぐ済むから」

言うが早いか、ペタペタと小さな尻を振り振り、やがてそいつを引き抜くと、あっという間にミナミの口に持って行った。そして迸る汁をその中へ流し込む。

「ンンブッ!」

むせ返るミナミ。ピクピク痙攣してひっくり返ったまま、股も開けっ広げなままで、そこに空いた使用後の穴がヒクヒクしているのも、傍観者から丸見えだ。

「ヌマちゃん童貞だからさ。ミナミ筆おろししてやってよ」

全部出し終わって残り汁まで舐め取らせた後、立ち上がりながらタイガは言った。曰く、ヌマタにはこのスペースの見張りをさせていたのだという。その見返りとして、ミナミに彼とセックスしろというのだ。

 ヌマタも端からそのつもりで来たらしく、早くもカチャカチャとベルトを緩めだしている。

「イヤ……」

ミナミは裸の尻で後ずさった。なんのメリットもないセックス。拒否するのが当然だ。だが一方で、拒否できないことも知っていた。

 眼前に童貞が迫る。いつから履きっぱなしかも分からない泥だらけの作業ズボン、そして黄色い染みつきのよれよれなブリーフが続々と下ろされる。その下から現れたのは、ずず黒い皮かむり。すっかり勃起しているのに、先端の数センチしか顔を出していない。

 ミナミは顔をしかめた。鼻が曲がりそうだった。一体に彼は風呂の存在を知っているのか。包皮をめくると、そこにチーズのようなかすが溜まっていた。とても一日で付いた汚れではなかった。

 これをしゃぶれという。ミナミは涙を流した。嫌だからだけではない。刺激臭のようなものを感じたからだ。それでも結果は変わらない。彼女は、まださっきの精液が残っているネチャネチャした口を大きく開き、彼の汚物棒を震える舌に乗せた。

「オッ……ゴッ……!」

途端に吐きそうになる。唇も閉じられない。だがそれで許されるわけもなかった。

「ほら、チンカス舐めてきれいにしてあげて」

横からタイガの厳しい指示が飛ぶ。そのくせミナミがそれをやり出すと、

「うわ、そんな汚いやつよくしゃぶれるよね」

と言ってバカにした。

 それでもミナミはやるしかなかった。そもそも枕営業をやること自体我慢の連続なのだ。もはや開き直るしかない。彼女は鼻からの息を止めて、思い切って舌を滑らせた。舌先、舌の平で亀頭の輪郭をペロペロなぞり、唇をすぼめてチュパチュパ吸う。自分を殺せばどうということはない。

 だが、その麻痺感覚も、ヌマタの一言で一瞬にして消し飛んだ。

「すげ、イきそう……」

それを聞くと、ミナミは反射的に肉棒を吐き出していた。精液も彼の場合汚らしいものに思われた。この上それを口内に充満させられるなんて真っ平だった。一種恐怖ですらある。
 
 すると、彼女の対応には別に頓着せず、タイガがヌマタに向けてアドバイスした。

「駄目だよヌマちゃん、まだイッちゃ。ちゃんとマンコに出して童貞卒業しないと」

 ヌマタは下卑た笑いを浮かべながら、しゃがんでミナミの腿を引き寄せた。仰向けの彼女が背中をズルズルと滑らせて引っ張られる。

 ミナミはもはや抵抗しなかった。ただ、"膣もまた汚くされるのだ"と、諦めの中で考えていた。口の周りからは恥垢の臭いがまだ離れない。

 ヌマタはしばらくもたもたやっていて、タイガから指導を受けたりしてから、やっと入ってきた。

「ンフゥ……ッ!」

瞬間、ミナミは唸った。当たり前のことながら、大人である彼のものは、先程入っていたものよりずっと大きかった。決して大きければいいというものではない。が、連続してやると、そのコントラストが独特な脈動を生むのだ。

「ンッグ……ッ! ンフーッ、ンフーッ!」」

ミナミは歯噛みした。そして鼻腔を広げる。悔しいが既に温まってしまっていた体だ。耐えようとしても抗しがたい。

「(こんなキモい男に……こんな……こんな……)」

三十年近くも女性経験のなかったような、そしてそれも十分納得できる不潔な野郎に犯されて、まさか絶頂するなんて自分が許せなかった。そんなに性に飢えているかと思うと情けなかった。

 だがこうも思った。これは先にタイガのテクニックにさらされていた所為なのだと。決して、この気持ち悪い男の手柄ではないのだと。しかしそれは、自分で自分の首を絞めるような理屈だった。なぜなら、子供相手にアクメしたこと自体が情けないことなのだから。いずれにせよ、彼女に楽な道は開けていなかった。

「ああ、オマンコ気持ちいいよお」

ブヒブヒ鼻を鳴らしながら出っ腹を揺らし、ヌマタの一本調子な摩擦が産道をえぐる。

 タイガは二人の交わりを見てケタケタ笑っていた。まるで犬同士の交尾を見ているような態だった。

「イヤァ……ッ」

大波の予感に言いようのない恐怖を感じて、ミナミはズンズンと頭上へ逃げようとする。

「イ、イきそうだよお」

ヌマタは言い、タイガを見た。すると、タイガが答えた。

「ハハ、もうイくの? いいよ、そのまま中に出しな」

それを聞き、嬉しそうにスパートをかけるヌマタ。

「溜めてきたんだろ? ヌマちゃん」

「うん、三日間ヌいてない」

二人の会話をよそに、既に波に飲まれ出しているミナミ。

「イヤァー……ッ、イヤイヤイヤ……!」

夢中で頭を振り乱しながら、己との闘いだ。

 その口を、ヌマタの口が乱暴に塞ぐ。それと同時だった、絶頂汁が漏れ出したのは。

「ウゥ……ッ!」

恍惚とした表情で唇を吸いながら、ヌマタは人妻にたっぷりと子種汁を注ぎ込む。前言通り溜まりに溜まった濃い精子が、それはもう大量に、ヌマタの玉袋からミナミの胎内へとドクドク移動していく。彼はこの瞬間を少しでも長く愉しまんと、腕の中の美人妻をギュウギュウ抱きしめ、未練がましくヘコヘコと尻を振り続けた。

 それを見たタイガが、いかにも寛容な風で飼い主よろしく許可を与えてやる。

「時間あるからさ、もう一回ヤんなよ」

それを聞いたオス犬は、ハアハア息を吐いて肯いた。結局その日、犬妻は彼の三番搾りまで種付けされた。

 ヌマタにしてみれば、結婚して夫や息子と裕福な家庭を持つ美人妻なんて、精々オナペットにするのがやっとである。それと子作りまでできるだなんて、想像だにしないことだった。

 ミナミにとってはなおさらのこと、営業相手にとっても大いに役不足な、単なる制作会社のアシスタントディレクター風情、加えて夫より年収が低いことだって間違いない奴に抱かれるなんて、狂気の沙汰と思われた。

 それなのに、彼とのセックスはその日一度で終わらなかった。タイガに呼び出され、わざわざ男の家を尋ねてまで輪姦されている今日である。互いに交わるはずのなかった日常とは裏腹に、この日だけで六度目ともなる交尾に現に勤しむ二人。休日の朝から男の部屋でセックスなんて、まるで恋人同士だ。

「ウッ、ンッ、ンン~ッ!」

早焦点の定まらぬ目を天井に泳がせるミナミ。朝からヤられ通しで、はや4時間経過。すっかり正体もなくなっていた。常にでっぷりした腹で一部の隙もなく組み付かれ、いつしか体中が相手の汗にまみれ、体臭まで男と同じにうつされてしまった。局部に至ってはなおさらだ。恥垢と精液を中にたっぷり塗り込まれて、悪臭極まる穴となっている。そこに、母としての姿も、妻としての体もなかった。

「(出来ることがあったら代わろうか)」

昨夜の夫の言葉が白々しく思い出される。彼女は今、膣に一本、そして口にもう一本の陰茎を挿されていた。一人で二人の性処理を一度にだ。人生初の体験だった。

「(じゃあ、代わってくれる?)」

昨日出なかった言葉が冷笑と共に過ぎ去る。

「今度、ヌマちゃん家でミナミをマワすから」

先日、いきなりそう申し渡された。全ては今日オフであるタイガの発案である。ミナミはいわば彼にとって、ヌマタと遊ぶ時のおもちゃだった。

 二人は代わる代わる何度も何度もミナミを犯して笑い合った。どちらも性欲旺盛。ミナミは夫が一晩で二発以上射精するところをいまだかつて見たことがない。

「オゥブッ、ま、待っでぇ~……っ!」

絶え間なく発情させられた結果、憎らしいはずの相手の、贅肉だらけの背に腕を回す。めくれ上がった肉びらはまだ精飲を欲している。

「ミ、ミナミ、またイくのか?」

口元を歪めて、得意げにヌマタが言った。半日タイガから指導を受けて、彼もいくらかスキルアップしていた。その自信が、他人妻を呼び捨てにする。

「ヒ、ぐ……イヤァ~……イッぐぅ……!」

二人の年下男に見下されながら、ミナミは恥のかき通しである。

「(なんで、こんなことに……)」

理不尽な思いは消えない、たとえどんなに快楽に飲まれようとも。だが、逃れることはできないのだ。少なくとも自力では。

 間もなく、彼女は失神した。はっとして気が付いた時には、もう日が傾いていた。寝ている間にも輪姦されていたことは明らかだった。動かない彼女は、もはや本物のダッチワイフである。また、彼女が気を失っている間に、二人だけはカップラーメンで食事を済ませていたらしい。時間の経過が彼女を愕然とさせた。

 ヌマタからは“泊まっていけ”と言われた。もし彼の言う通りにしていたら、間違いなく一晩中種付けされていただろう。そして、もしその後コウを幼稚園に迎えに行く予定がなかったら、このまま力づくで引き留められていたかもしれない。だが、そこは母親としての強さがある。結果、それが二人を圧倒した。

 ミナミは強気で二人を振り払ったが、その様はまるで生まれたての仔馬のようだった。最後は情けないことに、犯された相手に支えられて部屋を出た。それでも使命は果たす。携帯を見ると幼稚園から何度も着信がある。遅刻だった。彼女は輪姦された挙句に、園から苦情を言われる羽目になった。しかし、最も傷ついたのは、そのことではない。それは息子から初めて、"ママ、臭い"と言われたことだった。

 地獄だった。もうこれ以上はないと思われた。が、この日はまだ始まりに過ぎなかった。別な日には、局の男子便所で二人からマワされた。あれだけバカにしているヌマタから、"精液便所"という蔑称で呼ばれながら。

「飲め、ミナミ……」

洋式便座に座ったタイガが、その前にしゃがむミナミにペニスをくわえさせる。そしてその口の中へ放尿を始める。彼は以前胸の谷間でして以来、彼女に小便することに味を占めていた。

 その脇にはヌマタが立っており、上向き加減の彼女の頬に、相変わらず恥垢の付いた陰茎を乗っけている。既に射精も済ませ、彼の吐き散らかしは彼女の目頭の窪みと眉にかけて溜まっていた。

「ングッ……ングッ……」

少年の尿が喉に流れ込む。溢れ出て、洋服を汚す。ミナミは逃げ出せず、怒れず、ひたすらに耐えている。

「(コウ……)」

 息子の為の試練はさらに重なる。タイガに触発され、なんとヌマタの先からも薄黄色い温水が出始めたのだ。それを見て、タイガが手を叩いて大笑いする。

「アハハ、ヌマちゃん、鬼。熟女は厚化粧が命なのにさ」

 ヌマタの小便はあっという間に額から、髪の毛の中にまで飛散した。化粧も無論剥げていく。タイガまで面白がって、口から陰茎を抜き出した。二人一緒になって、熟女の顔面に小便をぶっかける。

 ミナミは、まだ耐えるのか。耐えられるのか。

「(ほんとにこんなことまでしなきゃならないの……?)」

これは必要な犠牲なのか。ただただ涙がとめどなく頬を伝った。が、それは浴びせられる温水に混じって流れたので、男共には気づかれなかった。

「ギャハハ、きったねえ!」

やっと出し終わると、タイガはそう言い捨てて出て行った。ヌマタも続いて去る。

 すると、トイレからちょうど出た廊下で、タイガはある男に呼び止められた。

「よお、タイガ」

タイガの顔から一気に笑みが消える。

 全身ずぶ濡れのミナミがドアから出てきたのは、ちょうどその時だった。それを見た瞬間、男のキリリと冷ややかな眼光が、鋭くタイガの目を射た。

「おい、お前ら、何してる」

 タイガは、震える口を開いた。が、声を発するまでには至らなかった。

 ドサッ――三人の目の前で、ミナミが気を失って倒れた。


〈つづく〉


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ママの枕 ~ステージ6~


 目を開けると知らない天井があった。視線を動かせば、デザイナーズ家具らしいものが整然と並ぶインテリアの見本の様な部屋。

「(ここは……?)」

ミナミはぼんやりとした頭で記憶を辿った。だがどうしても、タイガとヌマタに便所で弄ばれて以降の経過を思い出せない。

 上体を起こしてみる。ひんやりしたシーツの上で、ふくらはぎが心地よい。そこはベッドの上だった。身には、かなり大きめな白のカッターシャツ……

 と、その時、部屋のドアが開いた。

「やあ、目、覚めたんだ」

にっこりと笑って入ってくる青年。彼は手にしていたカップをそっとテーブルの上に置いて、ベッドの端に座った。

「ちょうど良かった。どうぞ」

湯気と共に漂う入れ立てのコーヒーの香り。

 ミナミは、しかしそれには手を伸ばさず、ただまじまじと相手の顔を穴が開くほど見詰めていた。彼の立体的な面立ち、柔和な笑顔、爽やかでいて強烈な印象を残すオーラ。彼女は確かに見知っていた。次第に瞳が大きく見開いていく。

「ジン……さん!」

思わず叫んでしまって、慌てて口を覆う。

 それを見た彼は噴き出して手を打った。彼こそは今"抱かれたい男ナンバー1"と巷で持て囃される俳優、ミナミならずとも知らぬ者などない人気スターであった。

「すみません!」

平謝りのミナミを、ジンは手を振って制した。さらに続けて放たれた一言は、彼の気さくさ以上にミナミを驚嘆させた。

「ええっと、コウ君のお母さんでしたよね」

「えっ! あっ、はい!」

ジンが自分を知っていた! それは驚くべきことだった。確かに一度スタジオの隅で挨拶は交わしている。だがしかし、その時の彼といったら、ミナミ親子にほとんど一瞥もくれなかったではないか。

「(どうして?)」

そう不思議に感じても無理はなかった。しかし彼はむしろ嬉々としてコウの将来性を語ってみせる。今はただ、この国民的スターが一介の素人と対等に話していることに気を呑まれるばかりだった。

「コウ君は才能ありますよ」

ジンは語る。

「この前のシーン、タイガを喰ってたんじゃないかな」

思いもかけぬ持ち上げようである。ミナミはただただ恐縮だ。昂揚感で顔が真っ赤である。夢を見ているような感覚だった。

 二人はしばらく語り合った。まずはコウのこと、そしてまたミナミのことにまで話は及んだ。次第にミナミの気もほぐれ、言葉数も増えていく。

 とはいえ、スターに気後れしないで上手くやろうなどと、大それた野心を抱いていたわけではない。何しろ今日これまでの境遇である……

 そう、そうなのだ。その身を顧みれば、カッターシャツ一枚。下着も付けていなかった。あの汚らわしい一幕からこっち、どんな風にここに至ったのか。ミナミの胸に、改めて不安と恥じらいが押し寄せてくる。気持ちがほぐれていくのに比例して。

 このシャツは、サイズから推してジンのものだろう。まるで、急な雨に降られて家に転がり込んだ女が、急場しのぎでカレシの服を借りたようなシチュエーションである。だが実際には違うわけで、この髪が濡れているのは雨の所為ではなく小便の所為であるし、体にだって精液が、それこそ内側にまでこびりついているはずなのである。

 そう気が付くと、ミナミはどんどん恐ろしくなってきた。そもそも着替えをさせられたこともそうだし、犯された体を見られ、ひょっとしたら臭いだって嗅がれたかもしれないと思うと。彼女は相手の顔を見られなくなってしまった。

 すると、ジンが気を回して言った。

「あ、服はクリーニングに出したんですよ。その……汚れてたし……」

やはり事情をわきまえているらしく、明らかに言い淀んでいる。その優しさがミナミにかえって申し訳なく思わせた。ジンはさらに気遣う。

「ごめんなさい、なんか、勝手に……」

「い、いえ!」

慌てて否定はしたものの、ミナミは恥ずかしさで死にそうだった。すると、その空気を変えるべく、ジンが突拍子もないことを言いだした。

「で……それでね、着替えをさせようと思って……全然、ほんとそれだけの為ですよ。着替えの為にね、下着も……脱がしたっていうか……あ、ほんとほんと、いやらしい気持ちとかじゃなくて――」

急にわざとらしく、口数多く焦ってみせるジン。

「裸も……結果的に、結果的にですよ、まあ、見ちゃって……決して興奮とかは、別に……」

これだけモテそうなマスクをしていて、女の裸を見た位で焦るはずもないのに、真面目くさって純情そうにまくし立てる。そのギャップがおかしさを生み出す。

 とうとうミナミは噴き出してしまった。あざといが、しかしどうしようもなく可愛らしい。そしてまた、わざとおどけて気を逸らしてくれる彼の優しさに、胸がキュンとなった。久しく忘れていた、乙女の感情だ。

 彼女の笑顔を見てジンもにっこり笑う。

「まあ、ちょっとしちゃったけど……興奮。……ごめん」

 二人の距離がぐっと近くなった。

「やっと笑った」

唇を近づけながら、ジンがささやく。その指先がベッドに突いたミナミの手にそっと重なる。

「あ……」

かすかに開いた女の口を、美男子のそれが塞いだ。極めて自然な流れだった。実際わけの分からない展開なのだが、理屈ではない。一つ部屋に男女が二人。当然の結果と言えた。

 だが今は大きな負い目がある。ミナミは顔をそむけた。ジンは眉を曇らせた。

「ごめん……」

「違うの!」

男の詫びに、間髪入れず心情を吐露する女。げに恐ろしきはすれ違いなのである。

「その……シャワー、借りても……?」

言いながら頬の朱に染まるのが自分でも分かった。厚かましい要望だと思う。だがそれで、自分が何を気にしているのかを相手に伝えることはできた。

「あ、ええ、もちろん。さすがにぼくも、体までは洗えないからさ」

先程のおどけぶりに戻って、男が鷹揚に言う。女は照れ笑いを返しながら、案内を受け、小股でそそくさと浴室に向かった。

 洗面所に入って後ろ手にドアを閉める。フーっと息を吐いた。まるで生きた心地がしない。今は現実なのだろうか。本当に、あのスターの部屋にいるのだろうか。ミナミはフワフワと宙に浮いたような感覚だった。

 そんな思いで、ふと洗面台の鏡を見る。

「あっ……!」

やはり現実だった。そこに映っていたのは、化粧も剥げ、髪はボサボサのひどい年増女だった。

「(本当にこんな女を見て、優しくしてくれているの?)」

絶望感が一挙に来る。シャワーを浴びれば化粧は完全に落ちる。いわゆるスッピンだ。これと今とどちらがいいかなんて、相当低次元な択一問題に思われた。

「(何カッコつけてんだろ、わたし……)」

そもそも完璧に綺麗に着飾ったところで相手にされる訳もない存在だ。ミナミは哀しく笑うと、開き直って浴室に入った。

「ハァー……」

温かい湯を浴びながら、ため息をつく。浴室もオーダーメイド風の斬新な造りになっていた。さっきの部屋といい、まるでモデルハウスのような家である。実際に住んでいるのか疑わしい程だったが、使いかけのシャンプーとリンスに辛うじて生活感を見出せた。

 それを使わせてもらって髪を洗う時、ミナミはかすかに嬉しさを感じた。彼と同じものを使える喜び。家族か恋人並の近しい距離感である。

 他方で、やはり不安の方が大きい。

「(この体……)」

落ち着けば落ち着く程、これまでのただれた性が心に蘇ってくる。今日も今日とて二人の男に弄ばれ、現に複数回も子種を仕込まれたわけだ。その足で別の男、いや男だなどと他の者と同類に語ることさえ勿体ないような優しい人の前に出るなんて、なんという恥知らずであろうか。彼女にも今更ながらに良心、いやプライドはあった。

 ミナミは気づいていた。さっきの間に、早くも生温かいつゆが股間から湧き出していたことを。心底見下げ果てた女だと、我ながら思った。

「(せめて、ちゃんとしなきゃ)」

たとえ軽蔑されていたとしても、助けてくれた人に誠実に応じよう、それが正しいことだと彼女は心を決めた。

 浴室から出て髪を乾かすと、改めてカッターシャツを見にまとい、しっかりとした足取りで元の部屋に向かった。その横顔に、先程までの浮ついた所はなかった。そう、いつもコウの付き添いで仕事現場に出る時のような、毅然とした態度だった。

「ありがとうございました、シャワーまで……」

ドアを開け、はきはきとしゃべり出したミナミ。しかし、それを最後まで言い切ることは出来なかった。待ち構えていたジンにいきなり抱きしめられたからである。

「あ、あの……」

ミナミの全身から一遍に力が抜けていく。同時に、カーッと胸が熱くなる。

「待ってた、ずっと」

ジンは、急に切なげな声で恋人に語らうと、また柔らかい唇を重ねた。

 その広い胸に身を委ねて、女の正義は跡形もなく消え去っていた。


〈つづく〉


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ママの枕 ~ステージ7~

 灯りのともった看板が車窓の外を流れていく。ミナミはそれらを瞳に映しながら、心では先程までの邂逅をずっと思い出していた。

 運転席のヒサキは終始無言である。ジンの手配によって、彼のマンションまで迎えに来てくれた彼女。着替えまで用意してくれていた。その際かけた礼の一言以来、会話は途切れている。

 もっとも、今日あったことは話せるはずもない。誰とも共有できない経験だ。が、話したい気持ちは山ほどある。この胸の高鳴りは今なお冷めやらない。

「また逢える?」

別れ際、そう彼は聞いてくれた。さっきからもう何度も思い返しているシーンだ。その問いに、ミナミはただ素直に、極めて素直に頷き返した。何らの懊悩も、逡巡も差し挟むことなく。

「ン……」

官能的疼きに襲われて、彼女は運転席に気付かれぬようにそっと目を閉じた。サイクルは長くなってきたが、先程来何度もやって来ている。もう事後随分経っているのにだ。こんなことは初めてだった。

 思えば、ジンとの交わりは初めて尽くしだった。始まりのキスからしてそうだ。抱き締められ、そのまま唇を重ねられて、それから長い長い唇と唇の触れ合い。頭の中が蕩けてしまった。立ち尽くす足から力が抜けて、彼女は何度も崩れ落ちた。その度にジンに助けられた。そしてミナミは、軽くイッた。キスだけでイッた。これがまず初めてのこと。

 総じて、ジンの手際は鮮やかに丁寧だった。といって、これまでの業界人らの如く、経験の豊かさをまざまざと見せつけるような力ずくないやらしさが全く感じられない。とにかく優しく、女性の体をじんわりと温め、その性感を着実に高めていく、いわば施術である。全身隅々まで指の這わされぬ所はなかった。愛されている実感が体内に満ち満ちてゆく。ミナミは二の腕をちょっと掴まれただけで、またしてもイッた。

 本当に、何度エクスタシーを味わったか分からない。いくらミナミが感じやすい性質だからといって、性器に触れられる前からそこまでの境地に至ったことはない。まして、彼は乳房すらを後回しにしたのである。ミナミのシンボルとも言える、過去の男性がまず飛びついて確保した部分をだ。なんという離れ技であろうか。おかげで、その舌が乳頭を捉えた時には、彼女の絶頂は既に目盛を振り切っていた。

「アッ……ゥフゥ~……ッ!」

快楽の大海原に漂い全身に波を受けて、ミナミには早くも疲労が襲い来ていた。オーガズムと共に寄せる、あのぐったりとする感覚だ。彼女の理性を辛うじて保ったものは、ジンの優しい笑顔だった。

 彼に誘われ、彼の分身に挨拶する。それは、本人と同様に悠然とブレもせずに立っており、何より美しく映った。ミナミはそっと手を伸ばし、柔らかい毛と共に根元を握った。

「あぁ……」

うっとりとため息が漏れる。指先からどんどんと生命力が伝わってくる。それに女性自身が激しく反応する。

「(信じられない、持っているだけで!)」

彼女はもう片方の手も添えた。もっと感じたいという思いと、両手でしがみつかなければ耐えられないという思いで。実際そうしているだけでアクメが止まらない。秘園は土砂降りで、花びらは大輪を開き切って生命を謳歌している。

「(いつまでもこうしていたい)」

ミナミはそう願った。だが、ただしがみついているだけで相手が満足するとは思えない。彼女は何より、ジンに喜んでほしかった。かつはまた、己の欲求だって当然にある。ミナミは、陰唇と同様に濡れそぼった唇を開き、唾液で溢れかえった口中へバラ色の三角錐を招じ入れた。

「ン、ンンフゥ……ッ!」

途端に走る電流のような強烈極まる刺激。感涙を浮かべてオーガズム。ミナミは幸せだった。幸せ過ぎて恍惚となった。こうなるともう止まらない。後から後から湧いてくる唾液をかき混ぜながら、肉竿に夢中でむしゃぶりつく。そして絶え間なくイく。

「(どうしてこんなに……美味しいの!)」

信じられないことだった。今までどちらかと言えば嫌々やってきた行為、少なくとも自分の何の得にもならないと思ってきたことが、今全く逆の結果を生んでいる。フェラチオだけで昇天できた。甘美な味は彼女の幸福感そのものだ。

 しかし、その幸せも一旦打ち切られた。彼の指示であった。

「(もっとしてあげたいのに……)」

遠ざかる肉棒を恨めしそうに見送るミナミ。それはたっぷり濡れて輝いていた。ジンはそこへコンドームをかぶせる。そうして、先に寝かせたミナミの横へ寝そべると、彼女の割れ目を確かめるように軽くいじった。

「ンッ!」

ミナミは不安に身構えた。快楽への興味は尽きない、が、快感に我を忘れてしまうことが怖いのである。彼女はぐっと歯を噛んだ。

 しかし、そんな付け焼刃が通用するはずもなかった。ジンはペニスをあてがい、その愛液の海へとゆっくり沈めていく。

「ンンアアァ~……ッ!」

入った瞬間、ミナミは高らかに啼いていた。慌てて口を覆うも、時既に遅し。そんな彼女へ覆いかぶさりながら、ジンはニッコリとほほ笑んで言った。

「結構おっきい声出すんだね」

 ミナミは耳まで赤くなった。恐れていた通りだと。一方、ジンはこうも言った。

「すごく興奮する。もっと聞かせて」

 それを聞いて救われたというでもないが、確かに少しだけ気が楽になったミナミだった。もっとも、彼女に元々こらえられる余裕などないのだが。

「アッ、ンッ、ンッ……!」

許しは得たものの、やはり気を使って控えめに声を漏らす。男の欲しがる喘ぎ声など、所詮は可愛げのあるレベルだろうと彼女は思っている。そして、自分のそれは限りなく下品なものであるとも。だから結局は歯を食いしばって耐えなければならない。

 それともう一つ、重大な問題。

「(ああっ、ダメ、見ないで!)」

ミナミは出来るだけのけ反ったり横を向いたりして顔を逸らした。感じている時の醜い顔を見られたくなかった。化粧すらしていない年増女が性に狂う顔。この期に及んで失うものもなかろうと言うは易し、当事者にとってはやはりやり切れないものである。

 すると、またぞろそんな女心を見透かしたかのように優男が囁いた。

「かわいいよ、感じてるミナミ」

 彼の眼はしっかりとミナミのアクメ面を見据えていた。たちまち堰を切ったように溢れ出す女の声。

「ア、アア、アアア~……ッ!」

人間楽な方に流れるもので、彼女の場合もそうだった。免罪符を得て、彼女の理性は飛んだ。

「アッ、アガッ、ガアハナァ~……ッ!」

 正気を失えば、むしろ楽である。こんな声を出してはいけない、こんな顔を見せてはいけないと気張れば気張る程、その行為の虚しさを知らしめられるばかり。片や、快楽に己を解放してしまえば後は愉しむだけである。許しだって出ているのだ。

 ジンは粘っこい動きから次第に速めていき、やがて一定スピードを維持しながらペニスの出し入れを行った。そうかと思うと、突然それをやめて、横の回転を入れ出す。腰使い一つとっても、実に巧みであった。が、果たしてそこまでの技量が今の場合に必要であっただろうか。ミナミはただ一突きごとに絶頂していたのだから。

「アグッ、ダメ、アアッイ……イギヒィー……ッ!」

我を忘れて啼きながら、彼女は今度こそ、"今が永遠に続けばいい"と願った。ペニスが、セックスが、これほど気持ちいいと素直に思えたことがあっただろうか。今更ながらに、セックスのセックスたる意味を悟った気がする。やはり相手あっての行為なのだと。相手こそ重要なのであると。これはもはや、営業ではなかった。

――事後、散々気をやってヘトヘトになって、ただただ幸福そうにベッドに横たわる人妻をしっかりと抱きしめながら、ジンはそっと囁いた。

「大丈夫。コウ君のことも、ぼくに任せて。ね?」

 何もかも許されたような、胸のつかえがスーッと取れるような救いの言葉。ミナミの目から、温かい水が零れ落ちる。そのまま彼の胸に甘えると、彼はより深く抱きしめてくれた。


〈つづく〉


ひとみの内緒話






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ママの枕 ~ステージ8~


 ジンとの関係はミナミを変えた。

「なんか、最近生き生きしてるな」

夫ですら、皮肉抜きで褒めた。息子を芸能活動に駆り立てる妻に、久しく苦々しい表情を見せていた彼がだ。

 その意味では、妻がやや大人しくなった近頃を敏感に感じ取った為もあろう。ミナミの外出は、以前に比べて明らかに減っていたから。

 とはいえ、彼女が決してコウのマネージメントに興味を無くしたわけではない。現に、事務所へ顔を出してはいる。そしてまた、ワダとの関係も続けている。

 そのワダもミナミの変化を鋭敏に察知していた。

「なんだか前より色っぽくなったんじゃないか」

腹上で裸踊りにアエぐ彼女を見上げながら、彼はニヤリとして言った。二人の体をローションの光沢が隈なく覆いつくす。昼日なかから相も変わらずホテルで密会、浴室で例によりソーププレイの真っ最中である。

「ああん……恥ずかしい……」

相手の言葉を軽く受け流しながらミナミはその胸に倒れ込むと、豊満な乳房を密着させて、トロトロの液体を周囲に伸ばし広げる。男の腋腹から胸部へ、凝り固まった乳首を中心にクリクリと楕円をゆっくり描いて移動する。そのテクニックはすこぶる上達していた。

「男か? んん? 好きな男でも出来たか?」

鋭い彼は、なおも詰め寄らんと首をもたげる。ミナミはそれから逃れるように彼の下腹部へと一気に滑り去った、全身を石鹸のようにしてツルリと。その乳の間を割って、勃起の亀頭が顔を出し、彼女の顎をしたたか打つ。ミナミは含み笑いを漏らしながら、そのまま顎と舌で裏筋を舐め下げ、睾丸を両の爪で優しく掻いた。

「オオウ……ッ、上手くなったね、ミナミちゃん」

オスの脈動もピクンピクンと嬉しげに、思わずワダは話題を逸らす。他人の人妻にここまで仕込んでおいて、まるで他人事のような口ぶりながら。その人妻、淫乱に調子づいて、今度は睾丸の下に鼻をうずめた。

「ここ? ここですか?」

くぐもった声とともに熱っぽい息を吹きかけては、舌先で固い皺をなぞり、ギュッと締まった暗い穴を丹念に舐めほぐす。その間も、左手で玉を、右手で竿をさすり、男を飽きさせない。

 が、これは仕返しを喰った。ハアハアと犬のように野生的な息を吐きながら、ワダは腿を閉じ、女を両耳から押さえつけたのだ。さらにはヌルヌルの手でもって、髪まで引っつかんだ。尻穴で呼吸を絶たれるミナミ。

「ンブッ!」

瞬時は気が遠くなった。ようやっと解放されるや、すかさず体位を変えさせられる。今度は自身の股間を男の顔に向けた。そうして互いの性器を貪り合う。ミナミは涙目ながら、黙々と口淫に励んだ。

「いい男つかんだな、これは。新しいコネか、ん?」

陰唇をまじまじと見つめ味わいながら、ワダがまた探りを入れる。ただその矛先がやや真相からずれた為に、ミナミは少し安堵して切り返した。

「ン~ン、社長だけですってばぁ」

甘えながら、太い棒を頬張る。ジュボジュボとわざとらしい音を立てて激しく舐めしゃぶる。その上いつの間に出したものか、コンドームを唇に挟み、そのままペニスにかぶせて舐め降ろしていった。まるっきり風俗嬢の手口である。

「ねえ、もういいでしょう? 欲しいのぉ」

ねだるやいなや、くるりと向き直って起き上がり、ワダの股間に跨る。彼も鷹揚に、したいようにさせる。おかげで極めてすんなりと合体は完了した。

「ハアァ~ン、入ったぁ」

芝居気たっぷりに目を細めるミナミ。両手をつかねてそろそろと腰を前後しだす。

「すごぉい、社長のおチンポ、今日も素敵ぃ」

 だが、彼女のペースもそれまでだった。唐突にワダが起き直り、天地をひっくり返したからだ。あっという間にマットに組み敷かれるミナミ。体位を組み直して、うつ伏せの背後から襲うワダ。

「今日何時までいける?」

「四時ぃ」

「六時だ。今日時間あるからな」

「ダメよぉ~」

じゃれ合いも慣れたもの。大人の割り切りである。

「約束でもあるのか? ――なあ、いいコネだったら紹介しろよ」

まだ軽いこだわりを見せながら、ワダは陰門を腰でこね回した。

 約二週間ぶりとなる性交。ひと頃を思えば、ぐっと回数が減った。それでも前ほど感じやすくはない。一つには、体の慣れがある。だがそれ以上に――

(ジン君……)

――ジンとの関係。今や生活の中心にさえある。多忙な彼であるが、それでも月に一回程度は時間を作ってくれた。あれから何度も逢っている。

 恋を得た今、セックスの価値も変わった。好きな相手と愛のある交わり、結局これに勝る快楽はない。枕営業のそれなど、所詮ゴリ押しのまやかしに過ぎなかった。そう知ると、肉体の感じ方も変わった。

 であるならばなおのこと、なぜまだワダとも肉体関係を続けるのか。ジンに操を立てないのか。

「アッ! アンッアンッ」

スポットを掘られ、媚びて鳴くメス。その横顔は誰の目にも悦んでいるように見えた。

 ワダとの間に感情はない。が、快感がないでもない。恋は素晴らしい。が、性欲は否定しきれない。そこに、人間なるが故の矛盾が存在した。且つはまた、矛盾を正当化するのが人間である。

 もっと多角的な見地。確かに性欲は強い彼女だが、それが人生の全てではない。当然に息子への愛情と将来への野望がある。それは同時に自身の名誉欲であり未練でもある。他方、家に押し籠るはつまらないし、夫に尽くすなんてさらさらだ。そもそも、夫婦間の倫理にこそまずは寄るべきなのに。

 つまりは一言で片付けられる。この女は欲張りなのだ。

 ワダは女の視線の先に、あるものを落とした。それはさっき彼女が装着したはずのコンドームだった。

「アアッ!?」

切なげにアエぐミナミ。その奥を生身の肉棒が突っつき回す。むき出しの生殖器同士は交尾本来の悦びに沸いた。ミナミの胸中を、簡単に惰性が支配する。

「アッアッアッ……!」

 やはりワダは上手い。技術のみで快楽を掘り返される。膣内に満ちるオスの気に、すぐさまメスは反応して啼いた。おまけに中指を肛門に深く引っ掛けられて、釣り針のように持ち上げられんとする。この訳の分からない辱めも、愉しみの一環となる。ジンならこんなことはしない。

 そういえば、アブノーマルに拍車をかけていたタイガらとも、今はすっかり切れた。例のドラマが終わって、コウと疎遠になったからというのもあるが、実際にはジンが睨みを利かせたからだった。

 今や彼女は相手を選定できる立場にあった。一代のスターまで手に入れて、もはや栄華を極めたかのような心境だ。

「ア、イくっ! アッ! アッ!」

なんの悪びれもなく、能天気な満足宣言を発する。本日は肉欲優先の日というわけである。コウが帰宅するまでに戻るつもりだったが、結局夜まで可愛がられた。胎内にたっぷりと注がれた性悦の種汁。悦楽母はその体を持って、軽快に家族のもとへと帰った。

 彼女を送った後で、ワダが事務所に戻ると、そこにはヒサキがまだ残ってデスクに向かっていた。

「なんだ、まだ居たのか」

彼は何気なく声を掛け、そしてまた何気なく問うた。

「そういや、コウ君、なんかいい話あったのか? あいつの母親、近頃機嫌良いな」

 ピクリ、と誰にも分からぬ程度にヒサキの眉が動く。が、彼女の返答は、なんの情報ももたらさなかった。

「さあ。特に変わったことはありませんけれど」

それを聞くと、ワダはそれ以上興味を示すことなく、上着を持ってさっさと出て行った。

 しばらくして、オフィスの灯りが消え、靴音高くヒサキは路上の人となった。スラリと長い手足がパンツスーツに映える。小顔の上、目鼻立ちも整っている。彼女自身がモデルやタレントと言っても通用しうる程に。ただ惜しむらくは、愛嬌が微塵もない。およそ愛想笑いさえ見せない女である。

 一人暮らしのマンションに帰る。冷たく暗い空間にしばらく立ち尽くす。外から射す淡い光が、棚に整然と並んだアイドル雑誌を照らし出した。仕事の為に研究熱心? いいや、これらは全て、彼女が趣味で収集したものだ。

 子供の頃から非社交的だった彼女。華やかな世界などには、最初から興味がなかった。それに変化をもたらしたのが、ジンとの出会いである。テレビで見たのではない。実際に会ったのである。

 ちょうどヒサキが中学生の頃、対するジンは高校生だった。ライブイベントに出るはずだった彼、なんと道に迷って会場にたどり着けずにいた。そこへたまたま通りかかったのがヒサキだったのである。

 まさに奇跡だった。頼まれて、ヒサキは近くまで誘導してやった。ほかに人も居ず、途中騒ぎになることもなかった。まるで世界は二人だけのもののようだった。当時芸能人に興味のなかった女の子にも、この出会いには運命を感じずにいられなかった。

 ジンは別れ際に言った。

「ありがとう。君のおかげで助かったよ」

 その何の変哲もない挨拶が、いまだ忘れられない。結果として、これが彼女の人生を方向付けた。憧れの人、あるいは人に憧れられる人を支える仕事。それが自分の天職だと、次第に確信するようになった。

 以来、芸能界に強い憧憬を抱いた。自分がスターだったらと妄想したこともある。沢山の芸能人を追っかけもした。が、やはり原点は変わらない。

「ごめん、ちょっと車で来てくれない?」

先日ジンから事務所に連絡があった時は、いつにもなく胸が震えた。当然に自分が行くつもりで事務所を出で、率先して指定された場所へ向かった。ただ、彼の指示に些か胸騒ぎはあった。

 悪い予感は当たるものだ。ジンと共に居たのは、あのコウの母親だった。そして、二人の間に何かあったらしいことは疑いもなかった。女の蕩けた目。そして、ジンの優しいエスコート。

 一方、ヒサキに対して彼は事務的な応対に終始した。あの日の事は、きっと覚えていない……

 彼女は暗澹たる想いを押し殺して、淡々と仕事をこなした。"今までと何も変わらない"、そう自分に言い聞かせて。実際、傍目にはそれと分からぬ程、彼女の態度は平生通り冷静で素っ気なかった。

 いつも通りの仕事ぶり。芽のある子には少しでもチャンスを与えようと、懸命に走り回って仕事を獲得してくる。彼らは皆自分を必要とする、サポートを必要とするタレント。余計な者が介在しない子達だ。余計な者、それは端的に言って出しゃばり過ぎな親のことである。

 全ての子役に一人一人のマネージャーが付く訳でなく、ヒサキは統括的に複数の子の面倒を見ていた。そして、担当の仕方には自然と濃淡があった。例えば、ミナミやカズエには、彼女がいかにも事務的で必要最低限度の言動しか行わない、まるで機械のように見えていたが、シズカにはそうでなく、とても親切で頼りがいのある人だった。要するに、スタンドプレーをしたい奴らに自分の力など必要ないではないかと、彼女は判断したわけである。

 暗闇でヒサキの視線の先に、色気づいた主婦の充実した笑顔がちらつく。ミイラ取りがミイラになったか、営業熱心だったステージママが、今度は色恋に夢中とか……

「これからは誰が仕事を取ってくるのかしら? ねえ、コウ君」

低い声で、彼女はボソリと呟いた。  


〈つづく〉


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ママの枕 ~ステージ9~


 大物女優との共演話がまとまったのは、ミナミがジンとの関係に腑抜けて、かれこれ半年以上も経った頃だった。この成果はジンの威光によるものではなく、またミナミの暗躍によるものでもなかった。となると、純然たる仕事のオファーということになる。

「コウ君自身の力ですよ」

ヒサキはそう言った。彼女はマネージャーとして“きっかけ”は作ったが、それだけだという。ミナミは有頂天になった。何もかもが上手くいっている、そう感じた。

「レイコさんの映画、決まったんですって?」

早くも噂を聞きつけて、カズエがやって来た。ミーティングテーブルを挟んで、自販機のコーヒー片手に席に着く。同じ境遇の者同士、しばしエールを送り合った後、カズエがこんなことを言い出した。

「ねえ、コウ君って付き合ってる子とかいるのかしら」

「ええ?」

考えたこともない話で、ミナミは現実味がなくて笑った。ところが、カズエの方では冗談でもなんでもなく、

「あら、じゃあアッチはまだ……?」

と、さらに開けっ広げな展開に持ち込もうとする。しかも真剣な面持ちで。

「別に不思議じゃないわよ。この業界にいる子なら普通じゃない?」

そう言われると、圧倒的に説得力があった。タイガだ。身を以て子役の早熟さを知ったミナミである。

 そんな彼女の顔をジーッと見つめながら、カズエが尋ねた。

「ねえ、どう? エリカと」

「え、どうって、何が?」

カズエがテーブルに身を乗り出すのに反し、ミナミはちょっとたじろいで背を逸らす。彼女の囁きは悪魔のそれのようだった。

「ふ・で・お・ろ・し」

「え?」

「筆おろしよ」

ミナミは思わず目を見開いて相手を見た。別に言葉の意味が分からなかったわけではない。予想外の申し出に驚いたのだ。

 その反応を確かめてから、カズエが静かに言った。

「コウ君、有望だし。あの子もコウ君なら嫌じゃないと思うわ。彼、男前だしネー」

カズエはあっけらかんと畳み掛ける。どこまで本気なのか、からかっているのか。ミナミが混乱していると、カズエはあらぬ方向へと心配し始めた。

「ひょっとして、彼、エリカのこと嫌いかしら?」

「そ、そんなことないわ。多分コウも……エリカちゃん……す、好きじゃないかな……」

しどろもどろにミナミは適当な返事をした。実際には息子からエリカの話など聞いたことがないし、そもそも恋愛話すらしたことがない。

 カズエはさらに飛躍した。

「あ、ひょっとして、もうママと?」

「え、な、何を?」

「ママがもう童貞もらっちゃったとか?」

「まさか!」

ミナミは立ち上がらんばかりにして叫んだ。ハッとして、周りを見渡す。幸い近くには誰もいなかった。

「(何言ってるの、この人。親子で……まさか!)」

突拍子もないことを言い出すと思った。ところが、カズエ曰く、不自然なことではないという。やはり業界ではありふれたことだとか。ミナミのウブな反応に、返って彼女の方が意外そうにしていた。

 ミナミは今更に落ち着きを装い直して聞き返した。

「エ、エリカちゃんもその……初めてっていうか……経験ってやっぱ……」

だが、同じ土俵で勝負しようと取り澄ましてみても、やはり核心の部分は言い出しにくい。上品ぶるつもりはないが、まだまだカズエの境地には至らないと思った。

 幸いカズエは、そんな相手を殊更素人扱いすることもなく、極めて気前よく答えてくれた。ただ、それはミナミが考えている次元とは大きく異なる話だった。

「アハハ、エリカが処女なわけないじゃん。だってもう小六だよ?」

 カズエはペラペラと、二年前の処女喪失のくだりまでしゃべりだす。

「“初めて”を誰にやるかってのが大事でしょ」

曰く、バージンは最高のプレミアムなので、高く売らない手はないと。実際彼女は、具体的な名前こそ明かさなかったが、広告業界でかなり力のある男を選んで娘にあてがった。それはカズエ自身が、わらしべ長者のように男を渡り歩いては値踏みして決定したのだという。彼をバックに付けたおかげでエリカの仕事は軌道に乗ったと得意がって憚らない。

「男なんてロリコンばっかよ。あたしらなんか寝るまでが大変なのに、あの子だったら即ハメ。一発で取ってきちゃうんだもん。こっちはやる気なくすっちゅうの」

そう言うと彼女は大笑いした。ミナミもつられて、硬い愛想笑いを返す。“一発”という言葉の真意を、彼女らは確かに共有できた。

 ミナミはエリカの面影を思い浮かべた。画面で見る陽気さとは一転して、死んだような灰色の目を地面に落とすスタジオ裏の少女。不自然な程に疲れ切った様子ながら、そこはかとなく艶めいていた。その限りなく子供らしからぬ違和感の正体を、今やっとミナミは悟った。

 エリカの“営業相手”は全て母カズエが決め、娘はそれに一切逆らわないという。既に両手に余る人数の男と経験済みだ。驚くべきことに、親子で“営業”をかけることもあるという。

「“親子丼”ってやつ。バカだけど鉄板よね。ま、こればっかは娘を持つ親の特権かな」

 現場では母娘で一本のペニスを舐め、また母を犯したペニスで娘が、娘を犯したペニスで母が、と代わる代わるに同じ男と性交する。カズエはそんな男共のことを“変態”とか“鬼畜”と蔑みながら、自身の倫理観については触れなかった。彼女はそもそも、愛娘にフェラチオから何から、セックスの指導まで施すというのだ。

 それを我が子の為と思えば、母親はそこまで倫理を捨て去れるのか、とミナミは考えた。また、果たして自分も我が子に同じことを要求できるだろうか、とも考えた。だが、もし子供がそれを望んでいないのだとしたら? 親のエゴを押し付けているだけだとしたら……?

 もっとも、想像力の乏しい彼女には、現実の我が子が息子であることから、それ以上に突き詰めることができなかった。

「やっぱ息子さんには新車が良かった?」

下品極まりない表現でカズエが話題を戻す。

「でもさ、絶対コウ君を満足させられると思うよ。エリカ、テクあるし、いい初体験にしてあげられると思うんだけどな」

 その瞳におぞましい狂気を見て、ミナミは初めて彼女が怖くなった。自分が足を突っ込んだ世界の闇の深さが、そこにほのめいているようだった。

 問われているのは覚悟である。だがそれをミナミが自覚するのは、もう少し先のことだ。

 彼女が煮え切らないので、結局子供達の“縁組”は不成立に終わった。カズエは諦めきらずに後日を期しながら、去り際にこう付け加えた。

「まあ、筆おろしにはもうならないだろうけどさ」


〈つづく〉

人妻官能小説【蕩蕩】







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ママの枕 ~ステージ10~


「挨拶しっかりね、大きな声で。ハイは?」

控室で、ミナミはいつも通りのお説教である。この所快活さが鈍ってきたコウ、それは気になるが、あくまでもプロに対してのアシストこそ今最も必要なことと考える。その点、彼女は母親というよりもコーチのようだった。

 続いて、昨日の撮影の際のダメだし。演出家に言われたことを指摘し、

「どう言うの、ここで。ここよ、ここ。もっとこうでしょ」

と、もどかしそうに力む。息子はただうなだれて聞くのみ。少し痩せた頬に、さらりと髪の毛が落ちた。

 今日は健康食品のCМ撮影。映画撮影の合間を縫っての仕事だ。忙しい子役は、大人顔負けに労働する。しかも、その合間にはこの説教。だがそうでもしないとすぐにライバルに抜かれてしまう。生き馬の目を抜く芸能界だ。

「あ、先輩!」

部屋を出てスタジオへ移動する途中でミナミ親子は声をかけられた。見れば、最近事務所に入った子の母親である。まだ自分自身が子供のような若い母親。彼女は、その日焼けした黒い肌の中から、学生のような幼い顔でにこやかに笑いかけていた。

「あら、ユイさんも来てたんだ」

“先輩”としての風格を意識しながら、ミナミは出来るだけ明るく応じた。先日の入所以来、彼女はユイから何かと教えを請われ懐かれている。その成果が早くも今日に結実したらしい。

 一足先に打ち合わせをしていたというユイ。その後ろから、ミドルエイジの男性が現れた。今回のスポンサー企業の社長だという。父親の後を継いだ二代目若社長の噂は、事前にミナミも承知していたが、彼がそうだったわけだ。

 挨拶を交わすと、その最中から彼は、妙に馴れ馴れしい手つきでユイの肩を揉みだしだ。その所為で緩んだ胸元から、こんもりとした谷間が覗く。眩しいほどに張りツヤのある肌だ。

「(“打ち合わせ”ね……)」

ミナミは何かを察知しつつ、彼らとスタジオへ向かった。若社長ことニシナも、自身息子と出演するという。

 今回のCМは、“親子の愛”“命の絆”をテーマに、裸の親子らが触れ合う様子を何組も点描するというもの。体に優しい食品だとPRする内容だ。

 既に控室からバスローブ姿になって現場入りしている一行は、監督に呼ばれた順に一組ずつ裸になってスクリーンの前に出る。放映上はもちろん要所まで映らないが、撮影現場では全裸である。

 平生の裏方仕事から表舞台へしゃしゃり出たステージママには、嬉し恥ずかしい緊張感だった。被写体には幅広い年齢層の親子がいるが、メインキャラクターとしてはコウ親子が使われることと決まっている。あくまでコウにスポットが当たるとはいえ、ミナミも少なからず映るだろう。

 ミナミは先程来の鬼コーチぶりとは打って変わって、少女のような期待感に胸高鳴らせていた。かつてはアイドルを夢見ていた彼女。本格的な撮影は、いわばグラビアのそれを想起させたものだ。実際、メイクをしてもらう段階から密かに興奮していた。建前上付添の母を演じてはいるが、本来自己愛の強い人間である。

 そんな身構えをよそに、先に呼ばれたユイがヒラヒラと軽い足取りでカメラの前に立つ。特別緊張もないらしい彼女は、金髪を黒い肩の上で揺らし、三つになったばかりの我が子を胸の前に抱いて堂々としたものだ。

「いいねえ。黒ギャルと赤ちゃんのギャップがいいねえ」

傍にいたニシナがぼそっと言った。確かにスタッフらにも微笑ましく見えているらしく、加えて彼女の開けっ広げな笑い声が若さ故の向こう見ずさとも相まって、現場の空気を和やかにしていた。素直にそれへ馴染めないのは、ミナミただ一人だった。

 続いては、ニシナ親子の番である。ある意味で本日の主役の登場に、クルーも総力を挙げて挑んだようで、現場の盛り上がりと一体感は最高潮に達した。

 その後を受けてのミナミらである。彼女は汗をかいた手でコウの手を引きながら、いかにも堂々とライトの下に進み出た。“人前で裸になることなんかちっとも恥ずかしくない”とでも言いたげに落ち着き払い、まるっきりモデルになったつもりである。どういう段取りで進むかももう分かっている。彼女はにこやかに監督の指示を待った。

 だが、ここで異変が起こった。急にクスクスと笑い声が起き始めたのだ。笑ってはいけないと知りつつも笑ってしまう、そんな態で、ある者は視線を逸らし、またある者は隣と目を見合わせてコソコソとする。

 遂に堪りかねた監督が指を差した。ミナミはハッとしてコウを見る。すると、彼女の慌てぶりが余程可笑しかったのだろう、一部からとうとう爆笑が起こった。ニシナも、またさらにユイまで大笑いしている。

 ミナミは赤面した。コウが勃起していたのである。

「コ、コラ……」

小声でたしなめてみるが、一向治まる気配はない。そもそも本人に悪気があるわけではなく、また彼自身、まだよく意味をわきまえていないのである。

 ミナミはすっかり狼狽してしまって、先程のモデル意識もどこへやら、とりあえずコウを後ろ向かせると、早くも涙目になって頭を下げることしかできなかった。

 撮影は一時中断。だが待てども依然萎えない。さりとて母は叱ることもできず、まさかそのものに触れるわけにもいかず、腹立たしいやら情けないやら。衆人環視の中で息子が勃起を見せ、おまけに親子揃って素っ裸。ミナミは絶望的な羞恥に震えさえした。

 ややあって周囲のざわつきが静まってくると、監督は撮影再開の号令を発した。

「大丈夫ですよ。元々……映らないアングルですから」

慰めるように優しく言って、母子にポーズを指示する。それは向かい合って抱き合う格好だった。コウが振り返ると、そのいまだいきり立っている陰部の登場に再び笑いが漏れたが、今度は監督が出す厳しい空気によってなんとか静められた。

 とはいえ、母の苦悩は終わらない。くっつくと直に当たるのである、我が子の勃起したペニスが。ポーズを変えても同じこと。あるいは腿、あるいは腹に、生々しく硬いものが当たる。

「(どうして治らないの?)」

息子の顔を窺ってみても、悪びれた様子はない。ただただ陰茎が立ってしまっているだけである。下腹部に密着した時など、心なしか大きくなったようにすら感じられた。柔らかな母体を圧して、あろうことか我が子の男根が食い込むのである。

 最もひどかったのは、正座した母の横に息子が立った時だった。母の乳に息子の陰茎が突き刺さったのである。これはミナミのそれが豊満であるが故に、余計にぶち当たったものだ。この時、ニシナの周囲からどっと笑い声が起きた。それというのも彼が、

「おいおい、あれじゃパイズリだよ」

と揶揄したのを、取り巻き連中が笑ったからであった。調子に乗った連中は、

「いいなあコウ君、ママにパイズリしてもらって」

「あのデカ乳じゃ、そりゃ息子も勃起するわ」

「うわあ、オレも挟まれてえ」

などと口々に冗談を重ねた。さらにあることないことが、被写体の耳に飛び込んでくる。

「あのエロガキ、どんだけ勃起すんだよ」

「いつも家でヤッてんじゃないの。“ママ~、おチンチン立っちゃったよ~”」

「“あら大変、ママのおマンコ使ってヌきなさい”って? 近親相姦かよ、ヤベえな」

「あの母ちゃん、どスケベな体してさ、あれで人前出てきてさ。見られて興奮してるよね、絶対」

「これ完全にAVじゃん」

 ミナミは泣きそうになりながら、なんとか踏ん張って無理矢理の笑顔を作った。一番恐ろしいのは、監督とカメラマンら主だったスタッフが時折顔を見合わせていることである。こんなに惨めな思いをしても骨折り損になりかねない、すなわちお蔵入りの可能性さえあるのだ。彼女は必死で優しい母親を演じたが、取り澄ませば澄ます程空回りを感じた。そして、そんな状態で撮影は終わった。コウの勃起は、とうとう最後まで治まらなかった。

 憔悴しきってバスローブに袖を通す。ふと下腹部に触れると、手にヌルりとした感触があった。胸騒ぎを感じてコウを見る。が、彼を確かめるより先に、ニシナに声を掛けられた。

「やあ、お疲れ様」

不甲斐無い働きしかできなかった手前、スポンサーにはまともに会わせる顔がないもの。逃したチャンスは二度と巡ってこないし、一度の失敗が将来を危うくすることだってある。レギュラーがない駆け出しのタレントにとって、一つ一つの現場が命がけだ。ただ誰しも思うのは、出来ることなら望みを繋ぎたい……

 ミナミとニシナはコウから少し遠ざかって話し始めた。ミナミはくねくねと腰を曲げ、時に前屈みになってローブの中をちらつかせ、対するニシナはニヤニヤ笑って、時にボディータッチなどしだす。急に間を詰めだした二人である。やがて母親は、元の場所へツカツカ戻ってくると息子へ短く言った。

「お母さん、これからちょっと社長さんとお仕事の話があるから、控室に戻っていてくれる?」

その後ろからニシナがにこやかに手を振っている。コウはそれに挨拶して母を譲り、自分は一旦控え室へ戻った。

 が、着替えが終わっても中々母が戻ってこないので、そこでじっと待っていられず、退屈しのぎにフラフラと探検を始めた。どこかで母に遭えるのではないかとの期待を込めて。

 その頃、母はもちろんニシナに抱かれていた。彼の部屋へ入るや否や、すぐに尻をまくられて、そのまま生の肉棒を挿された。

「やっぱり濡れてる。見られて、興奮してたんでしょ」

淫肉の熱を愉しみながら、ニシナが囁く。

「ヤ、アァ……違いますったらぁ~……」

淫婦は僅かに尻を移動して受け入れ体勢を調節しながら、床上手よろしく甘ったるく啼いた。その壁に手を突いた腋から、男の手が豊乳をまさぐる。

「このイヤらしい体見てさ、実はオレも勃起してたんだよね。コウ君みたいにさ」

「アア~ン、言わないでぇ~……」

 二人は次第に全裸となり、交尾に勤しんだ。CМコンセプトとは異なる、愛と絆の行為である。

 と、そこへ、彼の会社の部下、エノモトが入ってきた。

「あっ、社長……!」

びっくりして出て行こうとする彼をあえて引き留めるニシナ。見つかってしまったものは仕方がないと、彼を抱き込む作戦に出た。その追認を女に求める。

「なあ、いいだろ、奥さん」

「ああそんなぁ、困りますぅ……」

 愛情のない男女の営みは、あくまでもさばけている。部下のエノモトは頬を引きつらせた。

 コウは、時折元の部屋へ帰ったりしながらも相変わらず母が戻っていないので、とうとう三十分ばかりもブラブラ歩き続けて、遂に件の部屋の前を通りかかった。すると、ちょうど中からエノモトがベルトを締め直しながら出てきたのに出くわした。彼は思わずコウと目が合って、

「あ、さっきのボク……」

と一応声は掛けたものの、つい今しがたまで少年の母としていたことを思うとさすがに後ろめたく、二の句が継げなかった。

「今日はお疲れ様……ええっと、お母さんはね、まだ……」

やっと絞り出してそう言いかけた時、

「おっす、どうも」

と、廊下の向こうから別の男が歩いてきた。介護用品の会社経営者で、ニシナとはサーフィン仲間のイツキ。今日は誘われて道楽方々撮影に参加していたのである。

 彼はやって来るなり子供の目も憚らず快活に猥談を始めた。

「さっきのギャルママ、あれ見たっしょ。アイツさ、自分の子供抱いたまま、“中に出して~”って」

腰を振って見せながら得意げに語る。そうして、ニシナらのいる部屋のドアノブに手をかける。エノモトが慌ててそれを制止すると、

「ニシナに呼ばれて来たんだけど」

と、不思議そうな顔。だが、扉に空いた丸窓から中を覗いて、すぐに事情を合点した。

「あれさっきの勃起母ちゃんじゃん。はいはい、そういうこと。アイツも手が早いけどさ、……ったく、最近の母親ってのは恐ろしいね」

 エノモトは泣きそうな表情で首を振った。そこでやっとイツキもコウに気が付いた。

「あ……さっきの……」

ここで反省するかと思いきや、全くめげないのが彼という男である。

「おい、今日は大活躍だったな、おい!」

ケラケラ笑ってコウの股間をガッとつかむ。コウが逃げるとまたつかむ。コウはびっくりしながらも、この遊びに嫌な気はしなかった。もしイツキの倫理観が鬼畜めいていなかったならば、フレンドリーな楽しい兄貴分で済まされたかもしれない。だが、果たしてそうではなかった。

「まあ、芸能界って色々大変だわな。子役の母ちゃんも大変だ。ひでえ母親だけど、恨むんじゃねえぞ」

そう言うや、急に神妙な顔ですっくと立ち上がると、

「ちゅうことで、もうちょっとだけここで待ってくれな」

と言い残し、呆気にとられるエノモトを尻目にさっとドアを開けた。するとその一瞬空いた隙間から、恥ずかしげに喘ぐ声が漏れ聞こえた。

「……のおチンポも好きですぅ~、でも大人チンポの方がもっと、す、好きでしゅ……」

 バタンと扉が閉まる。また静けさが廊下に戻った。だが、残された二人の耳には今聞いた声がこびりついており、まだ続きが聞こえる気がした。

 コウはおもむろに立ち上がると、扉に向かって背伸びをし始めた。が、彼の背丈では到底窓まで届かなかった。

 それ以上放置すると開けてしまいそうなので、エノモトは幼子の手を取って引いた。それが彼の良心だった。

 しかし、中に入った男らにはそれが欠如していたようだ。エノモトがコウを別の所へ連れて行こうとするのを、コウが拒んだ直後にそれは起こった。

「……て、やめてっ!」

けたたましい声が響くと同時に、バッと扉が開いて、中からニシナが顔を出したのだ。

「お、ほんとだ、マジで来てた」

途端に彼の丸出しの股間がコウの眼前に現れた。コウの視線はそのまま自然と部屋の内部へ向かう。その先には母とイツキがいた。母は裸、そして今さっき中へ入ったばかりのイツキもまた裸になっていた。

 息を飲み、硬直するミナミ、そしてエノモト。対して、極めてラフな調子でイツキが言った。

「おい、勃起君。ほら見ろ」

彼は言うや否や、勃起した陰茎をズンと前へせり出した。

「オレもお前と一緒だ」

彼はそう言ったが、コウの時と違い、先端から玉袋の付け根まで早くもすっかり濡れそぼっていた。そこへ繁茂する縮れ毛と同じようなのが、よく見るとミナミの顎にも貼り付いている。

「どうする、お前も入るか? お前の母ちゃん気持ちいいわ」

まるでゲームにでも誘うように、イツキがコウに言う。この一言を聞いた刹那、我に返ったミナミが震え声で早口に言った。

「違うのよ、コウ。なんでもないの。お母さん、ちょっとお話……お仕事の続きがね……」

ダメで元々と、この期に及んでもまだ誤魔化そうとしている。これを受け、イツキがまた口を挟んだ。

「母ちゃん頑張ってんだよ、お前の為にな。お前を待たせて、チン……」

「閉めて! お願いもう、閉めてっ!」

イツキを遮り、発狂したようにミナミが叫ぶ。良心の人エノモトも血相変えて飛び出した。

「しゃ、社長! これ以上は」

「ああ~……」

ニシナも友人の麻痺感覚な悪ふざけにちょっと頭をかきつつも、彼もまたやはり常軌を逸した様子で、

「君はどうする?」

と、エノモトに誘いをかけた。もう一度輪に入るかというのである。エノモトは無論断ったが前科者には違いない。また、返答までに確かに一呼吸はあった。もしも事前に一度“済ませて”いなかったら、もっと迷っただろう。

「勃起君!」

中からまた、イツキが良く通る声を出す。いつしか暴れるミナミの口を押えていた。彼はその状態のままで空いた方の二の腕の力瘤をグッと誇示すると、

「負けるな! 強く生きろ!」

と、理不尽なメッセージを力強くコウへ贈った。それが終わるのを見届けてから、ニシナがコウを見下ろして言う。

「んと、そういうわけでさ……ママのこともうちょっとだけ……マワすから、貸してな」

 コウは彼に話しかけられながらもその顔をもう見ていなかった。ニシナの背後でイツキが母をテーブルに押し倒し、それへ覆いかぶさるのが見えたからである。抗う彼女の肉ひだから、生臭く白い汁がこぼれ落ちた。それは今コウと手をつないでいるエノモトが、さっき注いだ精液だった。

 二人を残し、扉は閉まった。


〈つづく〉


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