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なお、掲載している小説はすべて作りごとであり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。

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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」
「大輪動会」(連載中)

短編作品
「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

一話完結
「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」  ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」  ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」
「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」  ▼「山姥今様」
「おしっこ、ついてきて。」

「青き山、揺れる」(56)

――ある日の稽古のことである。例によって努素毛部屋に来ていた祐子は、その日なんと自分も稽古に参加することになった。親方黒岩の計らいである。これまでに相撲のけいこ風景は、取材で何度となく目にしてきた。しかし、自らがその輪に加わるというのは考えもしなかったことである。彼女は喜び勇んでこの案を承諾した。単純に、力士と同列の体験をできるのが嬉しかったのだ。

ただ、いざ現場に臨む段となると、尻ごみせずにはいられなかった。なぜなら、力士は当然に裸ということで自分も脱がなければならず、しかも、彼女用のマワシが無いということで、下半身まで丸出しで土の上に立たなければならなかったのである。

稽古場には黒岩のみならず、お馴染みの面々も顔をそろえていた。確かに、いずれの男ともすべてをさらけあった間柄ではある。しかし、白昼堂々、しかも全員の前で裸になるというのは、これがセックスの場ではなく、少なくとも建前上は彼らの仕事場であるという事情とも相まって、ほとんど耐えがたい羞恥であった。

「さあ祐子ちゃん、こうぐっと脚を開いて」

親方らしく、熱心に指導をする黒岩。もし身なりのことがなければ、ただの楽しい体験教室であったろう。しかし、祐子は全裸なのだ。大人の女が丸裸で男に混じるというのは、やはりただごとではない。

そんな彼女の気遅れを見通して、黒岩が重ねて言う。

「ほい、もっと真剣にやりなさい」

まるで、稽古場の土を踏んだからには公私混同の甘えは許さない、とでもいった風のしかめつらしい調子だ。が、日頃の彼の所業から考えて、その低俗な真意は見え透いている。現に、ついさっきまでも祐子のアヌスをいじくりまわしていたのである。

祐子はその弄ばれた所を意識しながら、しかし隠すこともままならず、彼の建前に従って黙々と耐えるしかなかった。これはあくまでも相撲体験なのである。なんとなれば、平生自ら志願してさえいたのだ。そう心に念じながら、とにかく真面目に教えられた通りのことをこなしていく。

脚を大きくがに股に開き、交互に土を蹴り上げる。いわゆるシコを踏むという動作である。仮に外見への憂いがなくとも、慣れない身には相当難しい動きだ。運動には自信のある祐子でもかなりきつい。すぐさま全身から汗が噴き出してくる。爽やかなだけでなく、妙な脂汗まで交えて。

足を高く上げる時、腿の裏はもちろん、その付け根、繁茂する性毛の様子まで丸見えになる。さらには、上げた脚に引っ張られて、陰唇まで開くようすにすら彼女には感じられた。外気に触れたその陰唇の内にも、じっとりと汗がにじむ。

後ろから見守る黒岩の目にも、その様子は丸見えだ。特に彼のご執心の場所は、彼と面と向かう位置にあったから、そこの皺の一本一本までがよく確認できた。息を吹きかければ、その周囲の縮れ毛がそよぐ程の近さである。そもそも、彼女のこの肛門周りの剛毛ぶりは、彼の好みによって処理されずに保存されてきたものである。

今そのコンプレックスでもある部分に痛いほどの視線が刺さっていることを、祐子は肌で感じていた。それは、体の前面についても同様だ。輪になって同じ構えをとっているために他の面々もこちらの様子をよく確認できる位置にあったが、彼らの前に我が豊乳は放り出されているわけである。赤井なぞはニヤつく表情を隠そうともしなかった。

彼らの中には間違いなく勃起している者もあったろうが、生憎とその様はマワシに隠れて見ることができない。片や、水滴で濡れて尖っている下の毛までさらけ出している祐子である。マワシという布切れ一つでこうも境遇の違うものかと、彼女は嘆いた。もっとも、彼女は女なれば、そのためばかりでないことは言わずもがなである。胸を覆わない時点で猥褻のそしりは免れないのが世間である。

「ほれ、もっとケツに力入れて」

黒岩は言い、それと同時に祐子の尻を平手で打った。ピシャン! と、大層な音が天井にこだまする。

「はいっ……!」

痛む尻を震わせながら、祐子は健気にも返事を返す。体育会系であり、かつ嗜虐傾向もある彼女ならではの忍耐であろう。言われた通りに意識して力を込める。と、尻のみならず背中の筋肉までも動く。

シコを踏む。土を蹴り上げ、それをまた下ろす。黙々とそれをこなす。傍目には滑稽な姿である。きれいにメイクを施した妙齢の女が、全裸ながら真顔でがに股の姿勢をとっていいるというのは。ともすると、いじめのようにも見える。そして、その色を強めるかのように、親方の平手は続々と飛ぶ。

尻、腿、背中、腹、といとも衝撃的な音響を響かせて、重量感のある張り手が打つ。

「ンッ……クッ……ンハッ……はいぃ……!」

その度ごとに呻きながら、祐子は耐えに耐えた。相撲の稽古において、叩かれるのは当たり前である。現に、赤井はじめ他の者たちも、ビシバシと叩かれている。これを体罰とは呼ばない。一般のスポーツでは考えられない風習である。だがこれが、角界なのだ。祐子もその辺りはよくわきまえており、暴力だ何だと騒ぎたてる気などは毛頭ない。それに、女の彼女に対してはこれでも加減されているのが明らかなのである。

ジンジンとうずく痛みが体を火照らせていく。それは、苦しみよりもむしろ喜びを感じさせた。呼吸は慌ただしくなり、心臓は高鳴るが、次第に恥ずかしいという気持ちは後退していく。それに合わせて、祐子はいつしか運動に集注していった。

と、そんな時だ。折角没頭しだしたというのに、それを阻む出来事が持ち上がった。

「ほい、もっとケツ締めんかい」

その一言とともに、黒岩の強烈なしごきが始まったのである。あるいは、それは邪魔ではなく新たな試練の提供だったのかもしれない。

「ングウフ……ゥ……!」

祐子は眉根を寄せ歯を食いしばった。彼女の毛深いアナルに、彼の親指が深々と喰い込んでいた。これはもう稽古どころではないと、愁眉を彼の方へ振り向ける。

だが、そんな彼女に、彼は冷徹に言い放った。

「ほれ、しっかりシコ踏まんか」

命令は、有無を言わさぬ威厳を備えていた。祐子は気力を振り絞り、再び脚を上げ始める。ドクンドクンという脈の音が耳元で響き、視界はグラグラ揺れだす。滴り落ちる脂汗によって、おくれ毛はぴったりと顔に張り付いていた。アナルに入った指は、そのまま彼女の全身を持ち上げてしまいそうである。そんな中、とても脚など上がらない。

「ダメだダメだ。もっと力強く!」

指導者として、親方はそれに納得しない。空いている方の手で相変わらず尻をスパンキングしながら、彼は祐子をせき立てた。

祐子は、顎をガクガク震わせながら、何とか頑張って脚上げを試みる。しかし、頑張ろうとすればするほど肛門は異物を締め上げる形となり、彼女から気力を奪っていくのだ。どうにも集注できそうにない。あまつさえ、指は中で向きを変えたり、またそれ自体上がったり下がったりする。

膝に置いた手からも力が抜けていく。それでもリタイヤは許されない。尻穴に指を挿され、尻を叩かれてなおピョコピョコと脚を踏み変えるその様子は、なんとも間抜けな操り人形であった。

「ウッ……ウッ……」

うっすらと涙がにじむ頃には、祐子は軽い目まいを覚えだしていた。しかし、既に性器としての役目をも担って久しい淫肛であったから、彼女はその目まいのさ中にも、一種の快感を覚えずにはいられなかったのである。それを、自身情けないと知りつつも、倒錯した悦楽からは逃れる術などなかった。

だから、肛虐の親指がグリグリと容赦なくスナップを加えだすのに合わせて、前方の性門までも別な指でほんのちょっぴりながらほじくられだした時には、ひとたまりもなくへたり込んでしまうのだった。それまでぎりぎりまで突っ張ってきた精神もついに決壊した。完全にノックアウトである。

ところが、これだけで稽古が終わりというわけではなかった。角界の鍛錬は、実に厳しいのである。


<つづく>




<目次>
(1)~(10)(11)~(20)(21)~(30)(31)~(40)(41)~(50)
(51)~(60)







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「青き山、揺れる」(57)

バシャッ! 一瞬気を失った祐子に、水が浴びせられる。休んでいる暇はなかった。次に彼女が参加するのは、ぶつかり稽古である。文字通り、先輩力士の胸を借りて突進していくのである。

黒岩に助け起こされた祐子は、そのまま土俵の内に放り込まれた。股間の穴達がジンジンとうずき、思わずつんのめる。まだとても全身に力が入りそうにない。それでも彼女は、よたよたしながら土俵の上に立った。

その態度のせいもあり、また居並ぶ力士達の中では、いかに骨格のしっかりしている祐子といえどもまるで子供のように細く見えるせいもあって、彼女の存在はとても危うげであった。

「よし、来い!」

パチンと手を合わせた赤井のその一言がきっかけとなって、稽古は再開された。

祐子はほとんど訳も分からぬままに彼の胸にぶつかっていく。初めてのこととて、どう振る舞っていいものか分からない。見よう見まねで組みついていく。結果、それが正解だったのどうかは不明だが、ぶつかった瞬間に彼女の体が宙を舞っていたのは確かであった。

あっという間に世界が回転し、気がつくと彼女の肩は地面についていた。投げ飛ばされたというより、実際にはちょっと脇の方へ転ばされたといった感じであったらしい。しかし、当事者である彼女には、想像以上の圧倒的な力でやられたように感じられた。

「大丈夫?」

赤井が声をかけてくる。

「はい……」

祐子は、朦朧とする頭でそれに相槌を打った。転ばされたせいか、少しクラクラする。加えて、さっきの慣れない動きの反復と黒岩からの試練の影響もあり、精神・肉体共に疲れているさ中だ。が、一方で意地と好奇心もある。彼女は果敢にも立ち上がった。

赤井も声はかけたものの本心から心配してというわけではなく、一応の気遣いを見せただけというのが真相だったようだ。それが証拠に、稽古は滞ることなく粛々と続けられていく。

祐子は再びぶつかっていった。あからさまな乳房が、力士の胸にペチャリと頼りなくぶつかってつぶれる。男と女の肌が触れ合い、互いの汗が混じり合うも、しかしこれは性交渉ではなく、あくまでも相撲である。祐子にはそれが心地よかった。平素垂涎の肉体に触れられるだけでなく、彼らの本分たる場で対等に組みあえることがである。そこには、男性を求めると同時に、相撲そのものに対する憧憬もあったのである。

だから、何度投げられようとも、いやむしろ、投げられ続けるうちに興奮度は増していくほどで、彼女はまるでランナーズハイのような感覚で、自ら次々にしごかれに向かうのであった。おかげでほんのわずかな間に、彼女の体は汗と泥まみれになってしまった。到底インテリジェンスなキャリアウーマンの姿とは思えないほどに。

手合わせの相手は、赤井のほかの者にも移っていった。無論、誰に敵うわけでもない。一番格下の白井にですら、小手先で転ばされる位だ。平常でもそうだろうが、疲れている今はなおさらのことである。

白井は、全くの無表情で彼女に応戦していた。黄本も、そして緑川も同様である。白井や黄本には若干の戸惑いと恥じらいが見えないでもなかったが、こと土俵の上においては極力自分を殺すべしとでもいった風で、祐子に言葉一つかけることがなかった。

ただ一人異なったのは、赤井である。彼は当初からニヤついた表情で祐子を見つめていたが、彼女と組みあう間も、その緩みきった口を閉じようとはしなかった。その上、

「マワシがないからつかみにくいなあ」

などと独り言を言ったかと思うと、全身土まみれの祐子の尻たぶを鷲づかみにして抱え上げ、彼女の陰門を全開にした挙句、黒岩同様菊門に指を突っ込み、それを鉤のようにして彼女を持ち上げたまま揺さぶったのである。

「ウッ……ウッ……!」

見るからに苦しそうに祐子は呻いた。そこは黒岩の手によって事前に念入りに洗浄されていたはずだったが、しかし排泄器官を逆流してくる独特の汚辱感は、例えようもない圧迫感をもって彼女を焦らせた。

と、そこへ、思いがけなくも女将のいづ美が現れた。

「あら、まっ! 祐子さん!」

彼女のその一言が発せられた時、既に祐子は地にへばりつかされた後であったが、いずれにせよ彼女の変わり果てた姿に、いづ美は目を丸くして叫んだ。

「まあ、まあ、泥まみれじゃないの! ちょっとやり過ぎなんじゃない?」

誰に向けられたとも断定できない問いかけに、一同はただ沈黙を返すのみであった。

親方も決してやめろとは言わない。そうして、彼がやめろと言うまで稽古は終われないのである。

いづ美もその点はよくわきまえている。ここでは親方こそ絶対なのであって、たとえ女将といえども彼に意見することなどあってはならないのであった。

祐子は、いづ美の来たことが分かると、久しぶりにまた恥じらう気持ちを蘇らせた。土の付いた乳房が、いともだらしない存在に思えてくる。同情めいた言葉を掛けられるのも恥ずかしかった。

ただ、浅からぬ仲のいづ美ではあり、祐子の本性もとうにバレていると思われるから、どこか深刻になりきれぬ所があって、いっそ間の抜けた空気と言ってもよい部分はあった。そういう脈絡で見てみると、いづ美の表情の奥にも、同情は同情でももっと深い理解に基づいたものがあるように見えた。

とはいえ、祐子が一定の緊張から解放されることはない。裸体を衆人にさらすというのは意外にパワーを消耗するものらしく、それだけで彼女はもうヘトヘトである。しかもまた一つ視線が増えたのだ。祐子は、いじり回される肛門と同様、心のタガも緩んできそうなのを必死で我慢して、半分白目を剥くことさえありながらも、まだぶつかり稽古を続けるのであった。

ペチャリ、ペチャリ、と、泥でざらついた乳がぶち当たってはじけ、尻や腿は一動作ごとに震え、汗で張り付いた髪は乱れてボサボサになり、仕舞に真黒な足の裏を見せてひっくり返る。しかしまた起き上がり、あるいは助け起こされ、男の胸に倒れ込むように組みついていく。その連続である。

いづ美も、今は口をつぐんでそれを見守っていた。冷酷なようではあるが、決して憐れむ気持ちがないわけではない。目の前で繰り広げられる過酷な仕打ち、女相撲の力士ですらない素人の女なればこその無残である。ぼろきれのようにされた彼女は、それでも飽き足らず何度も何度も地面に叩きつけられる。その様は、ある種鬼気迫るものがあった。壮絶と言ってもいい。これはレイプなのか、集団暴行なのか、少なくともいじめにしか見えないことは確かだ。

それなのに祐子は、なぜか心が満たされるのを感じていた。今彼女の体は熱している。実際に湯気が立つほどだ。それは単に運動のためばかりでなく、内からの火照りにもよるものだった。擦り合ううちに乳頭は固く隆起し、秘裂からはとろみのある滴が垂れていた。

「ウゥッン……ハッァア……!」

動くたびに漏れる気合いの呻きも、変に艶めかしい響きを帯びていた。

そうして、あと何度突進したことだろう。再び水をぶっかけられて、気がつくと祐子は地べたに這いつくばっていた。残りの者たちはまだ稽古を続けている。自分だけが脇へとずらし置かれたらしい。

「……っし!」

大きな男たちの取っ組みあっている様子が、遠くの方に感じられる。まるで今までのことが嘘であったかのような、平穏な光景である。

だが、もちろん嘘でなかったことは、疲労困憊の肉体が証明していた。しかも体中に土が張り付き、その内は業火のように熱く燃え上がり、ジンジンとうずき、股間からは強欲な汁がにじみ出ていた。

「祐子ちゃん」

呼ばれて顔を向けると、今しがた彼女に水をかけた黒岩が、自分の居場所に戻ってどっかと腰を下ろし、こちらに向かっておいでおいでをしていた。

祐子は震える肘を張って上体を起こすと、恥じらいもなく幼児のようにはいはいをしてそちらに向かっていった。今はこれが精一杯だった。そうまでして彼女が指示を聞いたのは、黒岩のひらひら動く手の横に、白昼堂々と露出された黒いわだかまりを認めたからであった。彼は、ジャージのズボンを膝までずらしていた。


<つづく>




<目次>
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湯けむ輪(44) 23:22

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時二十二分


「あっ!」

想像だにしないものを視線の先に見とめ、宮浜は思わず息を飲んだ。

そのただならぬ様子に気づいた奥津も、すぐにやってくる。

「どうしたんです」

ひょいと、彼も角の向こうを覗き見る。そしてその刹那、びっくりして固まってしまった。

「これは……」

二人が驚くのも無理はない。誰だって全裸の女性が突然目の前に現れたら面食らうであろう。しかも、女性は体中濡れており、所々には白濁した汁が張り付いている。そんな状態で座り込んで、ぼんやりとしているのだ。一目見て、ある種の想像を禁じえない様子であった。

奥津はショックから、率直にその思いつきを口走っていた。

「まさか……あいつら……」

「そんな、まさか! しかし……いや……でも……」

宮浜は反射的に否定したが、状況から考えてそれが最も可能性のあることは明らかなので、たちまち自信を失くして口ごもってしまう。

もしこれが集団レイプの結果だとしたら、それこそ前代未聞の大事件だ。仮にそうでなかったとしても、生徒達による何らかの関与はほぼ疑いない。彼女がここにいるのに、生徒らが気づかないわけがないからだ。そして目の前の女は、どう見ても性交渉の事後の状態である。

二人はしばし考え込んでいたが、はっと気づいて女性に声をかけた。

「あの……もしもし? 大丈夫ですか」

口々に問いかけてみるが、女性からの応答はなかった。意識がないではないが、虚ろな目で不安そうに見返すだけである。そして、時折どこかうずくのか、

「ン……ッ」

と、軽く上まぶたを下げ加減で、こもった声を吐息と共に漏らす。

それを見て、奥津は密かにゴクリと生唾を飲み込んだ。

「こ、困りましたね。といって、このまま放っておくわけにもいかないし……」

困惑した様子で、宮浜が言う。その頬には少し赤みが差していた。

「し、下に行くみたいでしたよね」

奥津も動揺しながら言った。そして、急に気づいたようにさっと廊下の方を窺う。

つられて、宮浜も見た。しかし、そこは静まり返ったただの廊下であった。あれから誰も外には出ていないようだ。

二人は話しあった。そして、部屋に連れて行って誤解を生じてはいけないし、とりあえず一階まで連れて行こうという結論に達した。別に当てがあったわけでないし、これが最善の策とも思われなかったが、半ば混乱した彼らの中で一致していたのは、とにかく証拠を現場から遠ざけようということであった。

かかる相談は主として二人の男の間で行われたが、連れられる当の本人が全く無視されていたわけではない。ただ、彼女が何らの意思表示も行わなかっただけである。

実のところ、倫子は腰が抜けて一人では立てなかった。といって、助けを求めるのも億劫だった。自分は裸で、しかもあからさまに性交の事後の格好であり、こんな恥さらしな姿でまともに振る舞うのが何だか馬鹿らしいと思われたのである。

そうでなくても、絶え間ないオーガズムに曝され続けて、体力は限界を迎えていたのだ。彼女はもう何もかも失ったつもりで、そうしてまた知らない人達に見つかったことで、すっかり自暴自棄になっていた。あるいは、狂気の一歩手前だったのかもしれない。

男達は、そんな倫子を両脇から介助して立ち上がらせた。するとその瞬間、ブブッ、と放屁のような音を立てて、彼女の股の間から白い汁がドロッと流れ落ちた。宮浜も奥津も目ざとくそれを見つけたが、あえて何も言わなかった。

三人はエレベーターの前を過ぎ、階段の方へ向かった。エレベーターでは人と出くわした時に逃げ場がないと危ぶまれたからである。

事前に宮浜は、倫子に着る物の在り処を問うたが、相変わらず彼女は無返答であった。そのため、倫子は全裸のままの移動である。宮浜らもそれ以上追及して、例えば玉造らの部屋にあると分かっても今さら取りには行けないと、諦めた。自分達の着物、あるいはタオル位貸せばいいのに、気の利かない者達である。

それだけ動揺の程度が大きかったというのもあるが、実は、それ以外にも心に引っかかりがあってのことでもあった。

ゆっくりと階段を降りながら、奥津が言う。

「思うんですけどね、先生。あいつらが、その……無理やり……ということはないんじゃないでしょうかね」

「いや、わたしもね、それは、そうじゃないかと……」

宮浜は応じながら、倫子の顔色を窺い見た。

彼女はただ疲れた表情をしているだけで、一切顔色を変えはしなかった。何もかもが気だるい彼女には、自分が受けた辱めの真相を、自らの口で説明しようなどという気はさらさらないのだった。

「それでね……」

奥津は自身の推論を続ける。

「ひょっとしたら東郷あたりが、その……呼んだんじゃないか……って、こう思ったりするんですよ。ほら、あの……温泉と言えば、その……芸者とか、そういう人があるじゃないですか……」

「ああ、枕……何とかとか、エー……コンパニオンとかですね」

宮浜はすぐに意を察し、倫子に気を使いつつ相槌を打つ。

「そうそう、コンパニオンっていうんですか。そういう女性をね、あいつら、その……電話か何かで呼んで、ね」

奥津は言いきってから、倫子の方を見た。すると、奇跡的なことに、たまたまその時彼女がフラフラとよろめいて、ガクリと首を突き出したのが、希望を持って見ていた奥津の目には、ちょうど彼女が頷いたように見えたのである。

「そ、そうでしょ! ああ、やっぱり!」

奥津は小躍りせんばかりに喜んで、相棒と顔を見合わせた。

この結論は、宮浜にとっても同様に喜ばしいことであった。確かに、指導的立場であるOBらのすることとして、決して望ましいことではなく、まして部員らもそれに巻き込まれていたとすれば、それはそれで結局問題なのであるが、そのきっかけが強引なものでなかったというだけで、今の彼らにとっては少しでも明るい話題なのであった。何しろ、自分らの可愛い部員達が、そんな凶悪なことを出来るはずないという思いがあったのだ。

もちろん根拠のない早とちりであるが、さっきから始終ドキドキとして不安だった彼らは、ほんの僅かでも安心できる理由が欲しかったのである。

「そうか、そうですか……」

宮浜も少しほっとした表情になって、一人頷いていた。

今の彼らには、娼婦とはいえ一人で複数の男と関係を持つに至ったことへの疑問ないし心配とか、また生徒達に対する怒りなどは全く無いのだった。特に後者については、初めから思いつかず、どちらかといえば、彼らの罪をいかに隠すかという方に思考が傾いていたきらいがある。教育者の適性としていかがなものであろうか。

その上に、彼らの適性を疑う要素はまだあった。倫子に体を覆うものを強いて用意しなかったのにも、彼女の素性に対する仮説があったことと、もう一つ、男らのいわゆる未必の故意が作用していたのであった。


<つづく>



(001)19:53~(010)20:15(011)20:18~(020)20:44
(021)20:47~(030)21:07(031)21:09~(040)22:03
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湯けむ輪(45) 23:25

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時二十五分


三人は、先の話題の後、すっかり黙って進んでいた。大人を一人介助しながら階段を降りるのは中々に難しいもので、その歩みは遅々としたものである。

やがて、一歩一歩と段差を降りる度、出っ張った脂肪の球体が右へ左へと揺れながら波打ってはずむ様子が、静寂の中で一際目立つようになった。その表面からは、汗ばかりともつかぬ粘ついた汁が滴となって落ち、履物もない倫子は裸足で、その滴を直に踏みつけて歩いていく。

宮浜と奥津は注意深く、そんな彼女の一挙手一投足を常に目で追っていた。むっつりと黙りこくって放つ視線が、女体の上を絡みつくように這っていく。憔悴した倫子はそれを意識する余裕も無く、ただ肩で息をするばかりであったが、それに男達の“ハア、ハア”という荒い呼吸が次第に混ざり込んでいった。

それに比例して、彼らの手はどんどんと柔肌を浸食していく。重い荷物を抱えて進む都合上、時々に手や腕の位置を修正するのは仕方がないとしても、だからといって、いくらなんでも乳房を掴まなければ体を支え切れないなんて法はないだろう。まして相手が女性であるからには、本来もっと慎重に接触すべきところである。

ところが二人ときたら、腰に置いていた手を乳房の下部に、あるいは尻の肉にと、それらの肉を持ち上げるような位置にそれぞれ段々と回して、平気でいるのである。初めの内遠慮をしていたのは、さすがに常識をわきまえていたからのようだが、相手がとがめないものだから、それをいいことに徐々に図に乗っていったものらしい。ついには指先を折って、その先に触れる肉の感触をおずおずと確かめすらし始めたものだ。

初め偶然当たっていた手がなぜか度々当たるようになり、仕舞いには確信的としか言い様のない当たり方をしだしたともなれば、これはもう痴漢の典型例である。あろうことか、四つ目の踊り場を通過する頃には、股ぐらにまで指が滑り込んでいた。とんだ介助があったものだ。それでもなお男達が黙して語らぬ上は、あくまでも建前は人助けである。

もっとも、彼らがいかにとぼけようとも、男というのは本音を隠せない生き物、哀しいかな体は正直に変化を見せていた。すなわち、帯の下の浴衣が、唐突に突っ張り出していたのである。しかも二人揃ってだ。

ここまでくると、男どもが誘惑に流されること、増水した川に漂う木の葉以上に速かった。ほかに誰もいない状況下で、裸の女に触れているだけでも心が揺らぐのに、しかもこれが体を売っている女であり、大いに軽んじ得る存在と認識した時、二人の良心は脆くも崩れ去るのだった。

たとえ自分達の指導監督すべき未成年者が女を買うという過ちを犯していたと前提し、その上で、彼らの実際買った女のおこぼれに預かることになるのだと頭の片隅では思っていても、男の激しい衝動の前でそんなものは何の歯止めにもなり得なかった。

まず奥津が動いた。彼は開き直ったように、膣に指を突っこんだ右手を激しく動かし、そうしながら自身の浴衣の前を開け、中で窮屈にしていた突起を引っ張り出した。突起は、ピーンと直立してブレもしない。

行動あるのみ、相方に対する言葉はなかった。ただ瞬間的に相手の方を見やっただけである。しかし、それで十分であったことは、宮浜が負けじと女の乳首を露骨に愛撫しだしたことで証明されていた。彼は、その裾野からプックリと膨張して見える乳首を指先でつまんで弄び、そうしてそれに負けず劣らず膨張している男根を露出してみせた。

すっかり血が上った彼らの頭は、それら勃起が解消されない限り冷める当てもない。女・倫子は、当たり前のようにその相手を強いられていく。そこに居合わせた女の定めとして当然に。

倫子は拒もうとしない。声も出さない。ただされるがままに、二人の男の勃起したペニスの間に挟まれる。七つ目の踊り場であった。そこで、彼女はレイプされることになった。

“犯されたいわけがない”そう心では誰かに反駁してもみる。だが駄目だ。それ以上に大いなる諦めの情が、曇天のように心を覆い尽くしていて、彼女の本心がどこにあるのか、もう今となっては本人にも見つけられないのだ。

今日一体何人目、いな何本目のペニスか、それをわきまえているのかいないのか、倫子の意思とは無関係に、彼女の穴は寛容に新規参入者を迎え入れていく。まずは奥津、次いですかさず宮浜。いずれもすぐ済む。穴肉は、ゴリゴリと荒々しく突かれながらも、肉棒を慣れた仕事でいなし、吐き散らかしを搾り出してはその身に収めていく。全く上手いものだ。

女の機能の優秀さに、男一同は新鮮な思いで感心した。宮浜と奥津のみならず、本当はその場にもう一人いた男もまた……。


<つづく>


現在時刻23:40(3時間47分経過)
挿入された男根=22本
発射された精液=51発(膣26・尻10・口6・胸5・顔2・手2)




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湯けむ輪(46) 23:40

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時四十分


さて、そのもう一人という者の存在に、宮浜・奥津の両人揃ってからっきし気づかなかったのであるが、こういう時に限って不思議と勘の冴えるということはあるもので、倫子一人だけは不意にそいつの視線に感づいたのであった。そいつは、非常口の扉をちょっと開けて、その隙間から顔をのぞかせていたのである。

倫子らは階段を伝って下りること、かれこれ一階の手前の踊り場まで来ていたが、その一階の出口というのが非常扉であった。そこを開けるとエレベーターの横へ出て、そのままロビーへと行くことができる。ところが、もう夜も更けてきたというのと、そもそもあまり階段を利用する者がないというのであろう、早々に閉じられていたのであった。

そこから顔を出していたというのが、年の頃なら五十位、薄くなった前頭部、痩せこけた頬、そして何より、きれいに整えられたちょび髭が特徴的な、ちょっと見た感じ小ずるそうな印象の小柄な男である。実はこの男、倫子は既に見知っていたのであるが、果たして彼女がそれを思い出す前に姿を消してしまった。

もっとも、それでなくても二人がかりで犯されている最中だ。その上、今や己の醜態を他人に覗き見られたからといって、極端に狼狽するでもない。すっかり常識のマヒしてしまっている倫子である。そこで、男の顔が覗いていたことも、ついおろそかにしてしまった。

さて、そんなことがあったことすら知らない男達二人、もしも気づいていたならば、どのような挙に出たものか見ものであったが、結局知らないままに終わったものだから何ら取り乱すこともなく、粛々と事を進めて安心していた。

すなわち、倫子のことを一階の扉の外に運び出すと、なんとそのまま踵を返し、両人打ち揃って階段を駆け上がっていったのである。助けを呼ぶこともなく、また彼ら同士で言葉を掛け合うことすらなく、ただ黙って倫子を放置して帰っていったのだ。明らかに性的乱暴を受けたであろう様の、呆けきった全裸の倫子を残して。

おそらく、ここに置いておけば、この施設の誰かが処理してくれるだろうとか、彼女がコンパニオンというからには、いずれ迎えが来るだろうとか、そういう浅慮な考えに基づいたものであったのだろう。いかにも外道な、そしてまた愚かな考えである。

よしんば彼女が娼婦であったとしても、こそこそとそのおこぼれに与る姑息な行為、いわゆるタダ乗り、あまつさえ昏睡状態に乗じたそれはすなわちれっきとしたレイプであり、しかもこの後彼女が保護される態様によっては、早晩彼らの身が破滅する可能性は高いのである。例えば、コンパニオンの派遣会社から多額の請求を受けるとか、あるいは事件が公になって警察が出てくるとか、いずれにせよ無難に収束する見込みはなさそうなのだ。

おおよそ命脈の尽きた二人と言わねばならぬところである、が、運命のいたずらとは時に理不尽なる悪事にすら味方するもので、これほど浅はかな彼らにさえ幸運は訪れるのであった。あるいは、彼ら自身そのことを無意識に察知して行為に及んでいた、なんてことはさすがにあろうまいが、とにかく二人はあれだけ下劣な罪を犯していながら、どうやら助かりそうなのであった。

「こっち、こっち」

小声でそう叫びながらやって来るのは、先程顔をのぞかせていた小柄な男。後ろに続く者を急かしている。

「待って下さいよ」

少し遅れて付いてくるのは、ガタイのいい短髪の男である。前の男が小柄なのを差し引いても相当に背が高いことは間違いない。年齢は三十代から四十代の前半位。彼もやはり小声で応じていた。

程なくして、前を行く男が激しい身ぶりでもって後ろを手招きする。ちょうどロビーの柱を曲がった所、目的地の手前十メートルといった辺りだろうか。

「ほら! あれ見て、あれ!」

彼はその方を指さしもって、早小走りである。

「えっ……! ちょ、ちょっと……!」

すぐに後ろの男も気づいて、同じように駆け足になる。先へ行ったのは前の男であるのに、彼の大股のおかげで到着したのはほぼ同時であった。

「うわ……っ! ちょっと、これ……!」

言いながら、短髪の男は固まった。その見下ろす先には、真っ裸で非常扉の前に座り込んでいる倫子がいた。まるで、以前に宮浜と奥津が彼女を発見した時と同様の形である。男達は、しばし言葉を失って立ちつくした。

その時の倫子といえば、日頃客が土足で往来している絨毯にぺったりと尻もちをついて、力なく後ろにもたれかかっていた。肛門も陰唇もその絨毯にお構いなしに密着させ、彼女の身から落ちたのであろう汁が、早くもそこいらに染みを作り出している。

その目は虚ろで、口は半開き、濡れた髪は白い頬に張り付いて、少しくゾッとするような居ずまい。時間が時間だけに、この世のものならぬ存在かしらと疑われるほどだった。

しかし、そこは先だって最も生々しい人間的営みを見ている小男だ、これが幽霊だなんて勘ぐりは端から持っていない。

「な?」

と、連れの男を振りかえって言う。その様子から、ここへ来る前に自分の見たことをあらかじめ説明していたらしいことが窺えた。さらには、別な申し合わせもしていたらしいのである。

「間違いないだろ?」

小柄な男は、重ねて同意を求めた。

問われた男は、興奮気味に二度三度と首を縦に振って答える。

「うん、間違いない!」

そうして彼は、重大な事実を口にした。

「昼間見た奥さんだよ、この人……!」

それを聞き、呆けていたはずの倫子の肩が、ピクリと動く。


<つづく>



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湯けむ輪(47) 23:44

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時四十四分


長身の男は、そう言ってしまってからにわかに声を落とし、あからさまに噂の対象を慮るような調子を取り繕いつつもなお、

「今日泊まりに来たお客さんっすよ」

と念を押すように言った。

そんなことは分かっているという風に、彼の上司らしき男はじれったそうに小刻みにうなずく。

そのうるさそうなしぐさを見ても、興奮した部下は、己の手柄を認めさせたいとばかりに自分の持つわずかな情報を重ねて披露する。

「今日、確かにバスに乗せましたよ」

そう話す彼は、これなん確かに、倫子達一行を駅まで迎えに来たバスの運転手であった。連れと同じ袢纏を着用しており、彼はここの従業員にしてバスの送迎をも担当する者なのである。その胸に光るネームプレートには、藪塚(やぶつか)と記されていた。

藪塚は、相手から予期したほどの感動が返って来ぬことに些か不満らしく、さらに言葉を足そうと口を開いた。が、それは相手の男に遮られて果たせなかった。

「お、お客さん」

男は緊張した笑い顔を作って、倫子に呼びかけた。膝がしらに手をついて、彼女の方に上体を折る。と、前に垂れ下った袢纏の胸にはやはりネームプレート。そこには袋田(ふくろだ)と書いてあった。

彼の呼びかけに、倫子は答えない。というより、答えられない。これまで長々の非日常行為も自分を諦めることでやり過ごしてきた彼女であったが、それは本来の自分と今そこにいる自分とが一致しないために危うくも成立させられた虚構であった。

ところが、今度の相手はその本来の自分と今の自分とを結び付けられる人間なのである。これは、今までとは大いに勝手の違うことであった。倫子は進退窮まった心境で、とっさにはもうどう対応していいか分からなかったのである。

「大丈夫ですか」

倫子が反応をせぬので、袋田は彼女の左肩をつかんで軽く揺さぶった。

その手の触れた瞬間、ビクリと倫子は思わず震えた。だが、それだけで、まだ人間らしい対応を返すことはできなかった。彼女はただ、その肩に置かれた手の温もりから彼の属している平凡な日常に思いを馳せ、それと同等に接することができた昼間の我が身を懐かしく思い出すだけだった。まるでそれが、遠い日の思い出のように。

「お客さん!」

袋田は、今度は右肩をもつかんで揺さぶりかける。それにつれ、肩と地続きの出っ張った脂肪が軽く波打った。

「フーム……」

彼はため息交じりに低く呻って、相棒の方を振り返った。

相棒は、慌ててそれを見返して、

「どうしましょうか」

とでも言いたげな表情を作る。彼の眼は袋田と視線を合わせるまで、揺れる脂肪に釘付けだったのである。その後も彼の視線は、袋田が視線を外すや否や、すかさず元の位置へと下りた。彼のズボンの前は、もっこりと盛り上がっていた。

他方、袋田の股間にも山はできていた。男とはこうした時、どうしたらいいか、よりも、どうしたいか、の方に頭を占拠される生き物である。

この時倫子は、たとえ確認しなくても、彼らがどうなっているか分かっていた。先ほど来のいやというほどの経験のなさせる技であった。

本当に、もし性の奴隷というものがあるのなら、今日の倫子がまさにそれである。ほんのわずかの時間のうちに、一生かかっても経験することのなかったであろう人数の男達と性交してきた彼女だ。今までの人生で体験してきた人数をはるかに上回る、まして四十代以降のこれからの人生では到底伸びる見込みのなかった数である。

驚くべきは、彼女が売春婦ではなく、一介の主婦である点だ。ただの主婦が、二十本を超える男根と怒涛のごとく立て続けに交尾させられ、己の意思とは無関係にひたすら種付けされてきたのだから、当人の衝撃たるやひとしおである。そういう意味では売春婦よりもひどいと言わねばならない。

そういう境涯に落ちた者の心境を、一体誰が想像しうるであろうか。際限のない男のリビドーをダイレクトにぶつけられてその相手をさせられ、みじめにも無理やり欲情させられ性感を開発され、果ては愛娘よりも年下の全くの子供とも子作りを行って衆人環視の中オーガズムを曝した女の心境を。

果たして、そういう境遇に至りなば、倫子は完全に男という生き物の本質を悟りきったのであった。奴隷には奴隷根性というものがある。しからば、性奴隷と化した彼女のものは、差し詰め性奴隷根性とでも呼ぶべきであろうか。息をするように絶え間なく男の性欲にさらされ続けた女の、それはまるで使命感のようなものであった。ペニスの僕というロールプレイに、彼女は覚醒していたのである。

実は、だからこそ彼女は声を上げなかったのだ。例えば旅館の人間である袋田らに、恥を忍んでも助けを求めるという選択肢だってありえたのだが、彼女の脳裏にはそういう可能性が全く欠如していた。虚栄心のためではない。また、困惑のせいばかりでもない。その真相は、すっかり叩き込まれてしまった性奴隷根性の故なのであった。

倫子はそのことを自覚してはいない。ただ今までのことが身内に露見し、日常が崩壊するのを恐れるばかりだ。だが実は、その内心にこういう動きがあったのである。

そうとは知らない男達、股間にわだかまりを抱えつつも、恐る恐ると倫子を抱き起こしにかかった。このままここに放置してもおけないのである。それはこの旅館の人間としての職務であった。

袋田が決めたのは、とりあえず大浴場に連れていくことであった。倫子の体は、あまりにも“事後”の様相を呈し過ぎていた。彼女としてはそれをきれいにしたかろうと、彼は気をまわしたのである。もっとも、最前に宮浜らとの行為を見、その後彼らが倫子をこの場に放置したことを知っている袋田が、どの程度真面目に彼女の立場を考えていたかは疑問であったが。

ところで、大浴場と言えば先客がいるのである。平常ならば時間が時間だけにありえぬこととて、袋田らには予期できぬのも無理はなかったが、倫子の身の上に常軌を逸した事件が起こっているのと同様、やはり彼女に関連して、浴場には異様な闇が待ち設けているはずなのである。今晩は、この旅館そのものが異常なのだ。


<つづく>



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湯けむ輪(48) 23:46

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時四十六分


袋田達も、程なくしてそれに出くわした。

「オーイ、奥さん」

大浴場の暖簾の前から大声で呼ばわる男がある。倫子達がまだ二十メートル程も離れている内から手を振って。

「ん?」

こちらの男達は、戸惑いながら顔を見合わせる。そうして、肩を貸している倫子に答えを求めた。

「あ、お知り合いの方ですか?」

袋田が問う。

知り合い、確かに知ってはいる、それもうんざりするほど、体で。だが知らない。今もって彼の何も知らない。交流の極みまで行ったはずなのに何も。

よく見れば、顔もあまり知らない。倫子は、今日初めて彼の顔を真正面から見た気がした。といっても、何ら特別な感慨はないが。

男は、例の中年グループの一人、渡瀬であった。

袋田はちょっと不思議そうな顔をして両者を見比べた。彼の職掌がら、倫子と目の前の男が同じ一行でないことは分かっていた。客の少ない宿舎であるからなおさらだ。“旅先で親しくなったのだろうか”とは思われたが、何しろ女は裸である、一体どんな関係であるのか、彼ならずとも気になるところであった。

一方、不思議に思ったのは、相手の男も同様だったのである。

「あれ? 奥さん、あの子らは?」

渡瀬は彼女の後ろを目で探す。しかし、すぐにいないと分かるや、端から倫子の返事には期待せず、袋田に話しかけた。

「あんたらが連れてきてくれはったん」

「あ、はあ……」

問われた方は、迷いながら答えた。ありのままの経過を話していいものかどうか、判断つきかねる状況である。彼が覗き見た男達二人、すなわち宮浜と奥津とも、渡瀬は別の団体の客なのだ。一体何がどうなっているのか訳が分からない、と、彼は混乱した。

「え、せやけど、ほかのもんはどうしたんや」

渡瀬は素朴な調子で疑問を口にした。彼は彼で訳が分からないのだ。

このままでは険悪な空気になりそうであった。仕方なしに袋田は、これまでの経緯を説明することにした。といっても、藪塚と駆け付けた後からのことである。

「ヘー、ほんな、ほったらかされとったんかいな」

渡瀬は目を丸くして言った。そうして、

「なんでやねん。あいつらも、わけわからんなあ……」

と、心底腑に落ちない風に呟いた。が、追及はそれで終わりだった。

「ま、ええわ」

あっけらかんと彼は言った。袋田らにしてみれば、肩すかしをくらったようである。しかし、渡瀬は、自分の仕事の方が大事とばかりにどんどん話を進めていく。

「もっぺん温泉つかろ、いう話やったけどな、あんたらがあんまり遅いさかいな、ちょっと話変わって、やっぱり飲みに行こか、いうことになってん」

と、ここまで彼は倫子の顔を見ながら言った。

倫子は曇った目を足元に落としている。傍目には、聞こえているのかいないのか分からない。

渡瀬は、また袋田に目を戻して言った。

「しゃあないさかい、あんたら、すまんけど、この人このまま連れったってくれへんかなあ」

「は、はあ……」

袋田にはまだ話が見えようはずもなかったが、今の話の中で、とりあえず要請を受けたことだけは明らかだった。ただ、さしあたって関門はある。

「あの、このままですか?」

「ん? そう、このまま。今から」

渡瀬は、相変わらずあっけらかんと軽い。

袋田は、質問の意図が伝わらなかったのかと、倫子の方を気遣いながら重ねて質した。

「ええっと……あの、裸、で……?」

すると、渡瀬は、フフンと笑って答えた。

「そや。裸や」

彼はニヤニヤした。ただ、一応とってつけたように、

「どうせすぐそこやがな。スナックて、ここ出てすぐのとこにあるんやろ?」

と、提案の意図を補強した。

「ベルのことですか?」

横から藪塚が初めて口を挟む。“ベル”とは件の店の名前である。ただこれは、愚問の種類に属する問いであった。なぜなら、この宿舎の周りに今開いている店といえばそこしかなく、館内にもそういう店はないので、どう考えても行き先は一択なのである。

「ベルっちゅうんかいな、知らんけど。とりあえずそこまで頼むわ」

渡瀬は、まるでタクシーに命ずるように言いながら、最後に目を細めて藪塚を見、こう付け加えた。

「この奥さんな、めちゃめちゃスケベやねん」

藪塚は、さりげなく股間を後ろへと引いた。


<つづく>



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湯けむ輪(49) 23:49

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時四十九分


「それでその、お連れさん方はあちらに行っておられるんですか」

ちらりと暖簾の向こうを見やりながら、袋田が聞く。

「うん、まあ、若干また状況が変わってはきてるんやけども」

渡瀬はそう答えると、早速先へと歩き始めた。男二人もやむなくつき従う。倫子は脇を彼らに固められ、意思とは無関係に運ばれていく。

外に出ると、途端に夜の冷気が身にしみた。浴衣でもひんやりとするのに、全裸の身にはなおさらである。その冷たさが、素肌の上に背徳感と不安感を募らせる。たとえ酔ったような諦観の構えを見せても、やはり一糸まとわずの外出は落ち着かないものだ。

闇を行くのは彼らのみ、人っ子一人歩いていない、が、倫子は無性に嫌な予感がしていた。それはちょうど、大浴場を出てから、エレベーターで娘に呼び止められるまでの、あの瞬間に覚えた感じに似ていた。おそらく、すっとするような外気が、狂った心と体を癒やすためであろう。

「ここ、温泉、混浴やんか。それで、この奥さんと知りおうたんやけどな――」

渡瀬がこれまでのいきさつを説明している。薮塚の問いかけに答えたものだ。従業員らにすれば、聞きたいことが山ほどあるのである。寝静まった世界に、彼らの会話のみが響く。

「この奥さんがどえらいスケベでなあ、ほんまに。チンポが欲しいてたまらんちゅうて――」

渡瀬は大笑いしながら言った。思わず釣り込まれて、薮塚と袋田もにやける。それで渡瀬はいよいよ興に乗って、一段と声を響かせて話した。

「それでもう、手当たり次第にヤりまくり、ヤられまくりや! わしかてこの人とおうたん今日が初めてやねんけどな、もう二発も中出ししたわ!」

「ヤ、ヤリマンなんですね」

調子に乗って、薮塚も倫子のことを軽んじだす。彼は、膨らんだ股間をもう誤魔化そうとすらしなかった。その盛り上がりは、地面にも影となって現れている。

その影の続きには、もっと巨大な盛り上がりが、こちらは地震に揺られるように大きな振動を見せている。倫子の乳房の影である。街灯の光に照らされて、地面のスクリーンに映し出されているのだ。無論、尻も乳房同様に揺れ動いている。豊満な彼女の脂肪は、実に躍動的な影絵を見せていた。

それに反し、当の倫子は終始無言である。客でありながら薮田にないがしろにされて、それでも反論せずに黙っている。これも性奴隷根性の故であろう。裸で外に連れ出され、黙って付いていかされて、その様子はまるでペットか家畜のようでもあった。

「いや、変態やねん、もう。すごいわ、ほんま」

渡瀬は好き勝手に言っている。

ただ、倫子としても、もはやあながち間違いではないような気がしだしていた。このように自覚しだすと、いよいよもって奴隷である。陰毛が風に揺れ、その奥の割れ目に冷たさが入り込むと、倫子はゾクゾクと感じて身震いした。

「でも、“奥さん”なんですよね?」

薮塚は素朴な疑問を口にした。

「さあ、そこや。人妻のくせに、知らん男のチンポ欲しがって、中出しされまくり。旦那はどこで何しとんねんと」

渡瀬がそう言った時、ちょうど一行は目的の店の前に着いていた。灯りの入った四角い看板が表に出してあって、営業中であることを知らせている。

倫子はまた急激に不安な気持ちに襲われた。が、引き返すことは叶わず、彼女は担がれたままで店内へと入っていった。


<つづく>



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湯けむ輪(68) 00:42

子宝混浴
『湯けむ
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こだからこんよく
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――午前零時四十二分


間髪入れず、二人は男女の仲となった。浪岡に断る選択肢は用意されていなかった。

「どや、エエ具合やろ」

渡瀬が背もたれの後ろからささやきかける。

「あ、ええ……」

浪岡は少し声を震わせながら答えた。ピクリ、ピクリと尻を痙攣させながら。

倫子にはその震えが体の内側から直接感じられていた。彼女は今、運転席にいる彼の股間の上にまたがっているのである。

ふいに話し声が聞こえて、彼女は横目で窓の外を窺った。やや離れた所を、榊原、矢板、そして夫が談笑して通り過ぎて行く。少し身を低くして彼らをやり過ごす。そんなことをしても結果に大差はないのだが。

「料金分、しっかりサービスしぃや、奥さん」

渡瀬はそう言いながら、煙草に火をつける。“料金分”といっても、ワンメーター。深夜の割増し料金でも、紙幣を必要としない金額である。随分安い額で売られた体だ。

もっとも、彼女にとって額面の多寡はこの際問題でない。ただ犯されるという事実が存在するだけだ。どういう状況であろうと、この期に及んで関係ないのである。

倫子は、相手の肩に手を引っかけつつ肘をそのシャツにくっつけて体を密着させ、べったりと彼に覆いかぶさっていた。無論男は仕事着のままであるので、一つ行為に共に励んでいても、傍目には素っ裸の彼女だけが恥ずべきことをしているように見える。もっとも、彼も我慢できなくなったのか、中途から下半身の被服をずり下ろしはしたが。

浪岡はいざことが始まると積極的であった。つかんだ尻を揉みくちゃにした上、ペッタンペッタンと餅つきのようにその肉を弄んだ。そうして結合部の摩擦を激しくするのである。一種の開き直りであろう。元来が規範意識の低い人物であったのだ。初めから性的好奇心を隠しおおせていなかった。そこへ来て吹っ切れたようである。

彼にせがまれて、倫子は口づけを交わした。端から拒む意思はなかった。肩に置いていた手を、徐々に首の後ろに回していく。自然とそうなった。互いの唇の膨らみが、こすれる度にツヤツヤと濡れそぼっていく。それもそのはず、二人の唾液や、先ほど吸着した浪岡のペニスの汁が盛んに混ぜ合わされているからである。クッチャクッチャと、食事中に立てれば眉をひそめられるような下品極まりない音が口辺から漏れる。濃厚という表現がまさに適切なベーゼだった。

「妬けるなあ、おい」

二人の様を見た渡瀬が、隣に向かって話す。すると、藪塚がそれに答えようとした時だった。

“コンコン”と、窓を叩く音がした。車中の皆が見れば、そこにいたのは榊原と矢板である。渡瀬は窓を開けた。

「中々来ぇへんから見に来たら……そういうことかいな」

榊原は言った。

「はよしぃや。今さっき電話あってな、ウーちゃんから。“まだか”いうて――」

彼の話では、先発隊の同志から催促の連絡があったということである。先方はこれから行く店に入っているらしい。しかも、そこに何やら趣向が用意されているということだ。それはやはり、倫子抜きには語りえないというからには、彼女にとっては喜ばしくない趣向に違いなかった。

この辺の事情には、既に渡瀬も矢板も通じているようだ。だがそれを踏まえた上で、渡瀬は言った。

「ちょっとだけ待ってぇな。今この女にタクシー代清算させてるから」

この言葉に車外の二人が興味を示す。渡瀬は事情を説明した。それを受けて矢板、

「だったら、こっちの運転手にもそうすりゃよかったな」

と、悪びれもせずに意見を述べる。

「そやな。そやけど今時間ないから、帰りにそうしょうか」

榊原もうなずいて、ちらりと後ろを見た。連られて他の者もそちらを見る。すると、慌てて目をそらすドライバーの姿が見えた。彼はその場に停車したまま、前方の様子を密かに窺っていたものである。

そこから思いついて、榊原が言った。

「しかしこれ、丸見えやで自分ら」

彼の指摘を受け、渡瀬も外に出てみる。見れば、確かにガラス越しに倫子の背中がよく見えた。何せ裸であるものだから、暗がりでも特にその白い肌が確認しやすい。しかもそれが妙に揺れ動いているのだから、現場での違和感は隠しようもなかった。

「自分ら、走ってる最中もヤッとったやろ。あれも丸バレやったで」

それを聞いて少し照れた振りをしながら、当事者であった藪塚も外に出てきた。彼はつい今しがたまで、自身の肉竿を密かにしごいていた。もし時間がないと言われなければ、次にまたやるつもりだったのである。

「でも、当の“本人”は気づきませんでしたよね」

矢板が横から口を挟む。榊原、それを聞いて笑いながら言った。

「そうや。ちょうどそん時や、今言うた電話があってやなぁ――」

「ついさっきも横を素通りでしたし――」

「なあ! 奥さんには悪いけど、あんたの旦那、あれちょっとアホやで」

二人は笑いながら倫子の夫を愚弄した。当の倫子はその会話をBGMに、浪岡の股間で裸踊りである。それを見つつ、榊原は言葉を続ける。

「ほんで奥さん、あんたまたわざわざこっち見ながら腰振ってたやん。ようやるでほんま――」

と、そこまで言って、彼はもっとすごいことを思いついたらしく、パチンと手を叩いた。

「そや! ほんであんた、途中で車停めて外出てきたやん! あれにはびっくりしたわ。無茶苦茶するでほんま」

これには渡瀬が応じた。

「この女もアホや。夫婦揃って、どうしようもないアホやわ」

男達は嬉々としてその時の感想を言い合った。後ろの車からも、当然に倫子の行動は確認できていた。但し、夫のみは気づかなかったという。いくら電話に気を取られていたといっても、また矢板が気を使ったといっても、いささか鈍感が過ぎはしないだろうか。倫子の頭の中で“アホ”という単語がグルグル渦巻いて、彼女はめまいを覚えた。

と、そこへ、下にいる浪岡からかすかな声が届く。

「ウゥ……ッ、出る……」

たちまちほとばしる熱いエキス。浪岡は彼女の尻を力いっぱい引きよせて、根本までしっかり埋め込んだ状態で射精した。その上で、引き続き濃厚なキスをお見舞いする。

「ンッ! ンンフッ!」

倫子は、目まいの中で脳天からしびれて啼いた。太りきった海綿体で押し広げられた内壁にその青筋の脈動が直接伝わったかと思うと、突き当たりに引っ付いた射出口から勢いのよい子種があふれ出てそこに跳ね返っていく。しかもそうされながら、隙間ない接吻で口を塞がれるのだ。

こんな強烈な子作りはいつぶりだろうか。もし日頃だったら、絶対に子供ができたと直感するレベルであると彼女は考えた。要するに、メスとして究極に満足を得られた状態、女体が喜んでしまう境遇に持っていかれたのである。いや確かに、今日は何度も膣内に注ぎ込まれてきた。だが、先ほどの袋田の時といい、ここへ来てさらに壁を越えたような、何かが取っ払われたような心境になってきたのである。そしてこのことは、倫子の精神にもはっきりと自覚できる段階にまで至っていた。

「ンフゥー……ンフンー……」

彼女は鼻息荒く、腰を微動させた。最後のご奉公だった。浪岡の尻はこそばそうに痙攣していたが、倫子の尻肉も細かく揺れていた。こうして彼女は、きっちりと清算を終えた。


<つづく>


現在時刻0:48(4時間55分経過)
挿入された男根=26本
発射された精液=58発(膣31・尻12・口6・胸5・顔2・手2)



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湯けむ輪(69) 00:48

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時四十八分


さて、車を降りた一行は、次なる戦場へと向かう。“リング”という名の店だ。ピンクの看板に枠ぶちの豆球が寂しげである。知る人ぞ知る、といった所だろうか。宿泊所よりも駅に近い場所ながら、少し奥まった場所にあって、土地勘がないと探し当てられそうもない。大方は、やはり矢板らの手配客によって成り立つ仕組みであろう。

そこへ倫子は、藪塚と渡瀬に伴われて入っていく。この間も、無論全裸である。その姿はまるで、護送される囚人どころか、運搬される家畜同然であった。己の意思も何もあったものではない。

店に入ると、中はひと際暗かった。街灯の下にいた方がまだ見通しがきく位だ。そして、けたたましい音楽が鳴り響いている。曲は、かれこれ二十年程も前のヒットソングだ。その中に、時折男の声でアナウンスが入る。一種のマイクパフォーマンスのようだが、何を言っているのか倫子にはさっぱり聞き取れない。

そのマイクの男が、間もなくこちらへとやって来た。蝶ネクタイ、吊りバンド、ズボン、靴と、カッターシャツ以外はすべて黒で統一したいで立ち。店の制服らしい。

さらにその後ろから見知った顔も現れる。宇川だ。

「遅かったやないかぁ」

満面の笑みで新参の客達を迎え入れる。その上で、

「これが言うてた人、本日の主演女優様や」

と、さっきの制服の男に向かって倫子を紹介した。

紹介された方は、興味津津と相手の体を上から下まで舐めるように眺めまわす。

その彼に向かって、脇から矢板が挨拶する。

「鎌先(かまさき)さん、どうも――」

「ああ! どうもどうも――」

呼びかけられた男、愛想笑いを浮かべながら応対した。

「今日はすごいことになりますよ! わたしもびっくりしまして――」

矢板が話し始める。

すると、それを引き取って宇川が言う。鎌先と呼ばれた、この店の人間に対してだ。

「――そういうことやねん。ほんで、さっきも言うたように頼むわな」

この一言で、倫子は鎌先へと引き渡された。彼の背へ向けて、宇川が見送りの言葉をかける。

「すまんな、無理言うて」

何が“無理”なのか、その内容を倫子が知る由もなかったが、それはつまり、普段の店の営みとは違うことをやるという意味なのであった。

「――じゃあ、これをかぶってもらえますか」

そう言いながら、鎌先はある物を取り出した。それは、いわゆるプロレスラーがかぶるようなマスクであった。目、鼻の穴、口がそれぞれ開いており、後は側面に何やら飾りがついているようであったが、一瞬のこととてよく確認はできなかった。ほとんど無理やりに、倫子はそれを着けさせられる。

「よお、似合うやないか」

横から出てきた牛滝が、そんな彼女に声をかける。なるほど、先発した一団は確かに皆ここへ来ているようだった。店内は狭い。先ほどいた入り口、その続きのわずかな空間、見れば、そこいらに見知った男らの姿が揃っている。

「わしら、もう退散や。ちょっと見してもうたら、先帰るわ」

誰かが言っている。それに応えて、

「奥さんで散々満足さしてもうたさかいな。ほんで、この後もあるし……」

「ちょっと充電やな」

などと口々にしゃべる声が聞こえる。いずれも、もはや倫子にとり、他人ではない男達である。そういう声は不思議と聞こえるものだ。

「じゃあ、行きますよ」

どぎまぎしている倫子の背を、鎌先が押した。途端に視界が開ける。二人は狭い足場を縫って、真向かいの壁まで移動した。

「レディース・エン・ジェントルメン!」

スピーカーから声が響く。角度の所為か、今度は聞き取れる。

「皆様お待ちかね、本日のメインタイトルマッチ! 挑戦者はこちら――」

倫子は皆まで聞く耳を持たなかった。眼下の光景に言葉を失っていた。サイコロのような背の低いソファー、それが五つ六つひしめきあっていて、それらの前にひざまずいている女性が三人ある。彼女らは皆一様に、椅子に掛ける男性陣の股間に顔をうずめていた。情を知らない女にとって、初めて見るその状況は異様そのものである。

しかし、真の問題はそこではなかった。椅子の上にいたのが、なんと揃いも揃って確かに“見知った”男達の顔ぶれだったのである。それも、ある種今日肉欲を交わした男達以上に恐ろしき面々だ……。

そこへ、マイクの声が高らかに宣する。

「――リンさんです!」

耳をつんざくその名前に、倫子は思わず司会者の顔を見た。


<つづく>




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