子宝混浴 『湯けむ輪』 〜美肌効姦〜
こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん
――午前一時二十七分
間もなくして、次のセックスが始まる。
「ふう……」
と溜息ついて肉茎を抜き出した藪塚の方へ近寄って、
「もう一回しちゃおうかな」
と言いつつ進み出た男がある。亀山だ。
「おいおい……」
板橋はやや焦り気味に後方を窺う。他の男達もそちらを見た。しかし、そこには誰もいなかった。従業員の鎌先も女達も皆いつしか下がっており、フロアには倫子ら四人以外に誰一人残っている者はなかった。
その様子を受け、なぜか藪塚が、
「どうぞどうぞ、ヤッちゃって下さい」
と、勝手に代理して許可を出す。勝手知ったる他人の家といった状況である。
亀山ははやる気持ちを笑顔に表して、早速に覆面女の首を抱きよせ、自らの抜き身とそれを近づけていった。抜き身は隆々と勃起している。それへ、彼女の半開きの口をかぶせていく。
「奥さん、しゃぶって」
彼は言ったが、相手の首を抱え自ら腰をすり寄せるその態度は、フェラチオを待つというよりもイラマチオを促すというのに近かった。倫子は相変わらず藪塚の膝の上に乗ったままで、首だけ前へ伸ばして相手の股間に顔をうずめている。そのだらしなく開かれた口は、すっぽりと彼の陰茎を飲み込んでいた。
「ああ、奥さん、口も気持ちいい」
感動の声を上げる亀山。だが、行為自体はすぐにやめて、早くも次に移ろうとする。貪欲な彼は時間に追われながら、目いっぱいやりたいことをやってしまいたいのである。
「パイズリして」
今度の要求は胸であった。口から抜いた肉棒を、それにまとわりつく粘液ごと相手の喉から鎖骨辺りにずらしていく。
倫子は藪塚に促されて彼の上から降りた。そうして亀山の足元にひざまずく。求められた行為“パイズリ”をするためである。ところがこの行為、彼女にはついぞ習慣がなかった。
「い、板橋さんはパイズリするんですか」
ふいに亀山は振り返って尋ねた。
「え?」
問われた方は、後方をちらちら気にしながら聞き返す。同じことは亀山も気にしており、時折店内に気を配ってはいた。しかし、鎌先はまだ来ない。
「パ、パイズリですよ。――例えば……お、奥さんと、とか……」
妙に興奮した調子で亀山は重ねて訊いた。これに対し、板橋は気もそぞろに答える。
「ああ、ないない」
実に淡白な返答であった。これこそ倫子の無知の証左である。先ほどは宿で男からされたが、それまでは胸の谷間に男性器を挟むことの発想すらなかった彼女なのだ。“こんなに大きな胸なのに”とは、この時亀山も藪塚も同時に思ったことである。
そんなわけだから、倫子には経験がなかった。ただ、それがどういうことなのかの想像は薄々ついていた。あまつさえ、亀山は陰茎を彼女の乳房に押し付け始めたからだ。倫子は熱に浮かされた奉仕精神と探求意欲によって、自分から乳房を持ち上げてこすりつけていく。
黄やピンクのライトを照り返す汗ばんだ柔肌へ、暗がりの中一層黒味を増した剛直が突き刺さる。互いに濡れた表面の故にツルツルとよく滑る。硬直した突起は、右へ左へとあっちこっちにそれた。たまに乳房の下にはまって、ぐっとその垂れ肉を裏側から持ち上げることもあるが、やっぱり滑って、時には勢いづいたまま倫子の顎へぶつかることもあった。懸命に自身の乳房がペニスで弄ばれるのを見下ろしていた彼女である。
「ンフ……」
硬いものが乳輪を通過する時は、思わず熱っぽい息を吐いた。ピクピクと痙攣しもする。今まで知らなかった新世界の快感、かつ己の乳房の巨大さがやっと、しかも男を満足させるために役立たせられることを教えられて、膨大な悦びが彼女の大きな胸の中を熱くさせる。
他方、亀山はややじれったそうに、さらに上位の技を要求した。
「挟んで、おっぱいで挟んで」
求められれば何でもしてやりた倫子だ。その女性的包容力は、男のリビドーを優しく包み込んだ。すなわち、持ち上げて作った谷間に、いきり立つ男根を受け入れたのである。
「はあ、あったかい……」
恍惚として呟く亀山。その身はすっぽりと柔肉の内に埋まっていた。倫子の豊富な脂肪球は、繁殖準備満々の男性生殖器をも難なく覆い隠したのである。その上で、擬似性交にも対応する。亀山が前後に腰を振り出したのに応じて、肉棒が乳房の間を出入りして摩擦し始めたのである。
(ああ、熱い……)
倫子も思った。胸の中を行き来する肉棒に、生命の根源たる熱が充満しているのを感じる。他方で、そのエネルギーを擬似膣である乳房とのドッキングで感じてしまっている背徳感もある。考えるだに淫靡な行為だと思った。男性の前にひざまずき、自ら乳房を持ち上げて寄せて谷間を作り、そこへペニスを挿入させてセックスするなんて、と。
「もっときつく締めて」
亀山は、まるで膣に命じるように更なる指令を出す。倫子は従順に言われた通りにした。左右から押す力を倍加させて陰茎を圧迫する。すると前よりも一層男根の感触が分かった。それに、別なことも。
「ンンフゥ……!」
下唇を噛んで、痙攣に耐える。より強く寄せたことで中央に寄った乳首の上を、硬直棒が往来するのである。その刺激は中々に強烈だった。発情して敏感になった勃起乳首を、同じく勃起した陰茎がダイレクトにこすり上げるというのは。では倫子はそれを避けるかというとそうではなく、むしろさりげなく乳首の中央寄せを怠らないのであった。
板橋に見られていようと無論お構いなしである。彼に教えられなかった行為を彼に延々見せつける。そもそも妻にとっては、夫婦の閨房でのみ仕込まれるはずのもの、それが性の技術であるが。
片や板橋は、業を煮やしてついに宣言を発した。
「じゃあ、もう先に出るからな」
これに焦ったのが亀山である。
「あ、待って。もうちょっと。最後は奥さんに入れさせて下さい!」
彼はそう言うと、すぐに倫子を立ち上がらせた。ところが、あまりに急いだため、彼女はバランスを崩してつんのめってしまう。と、それを抱きとめたのが、なんと板橋であった。
「あ、そのまま持ってて下さい」
亀山はこの状況をこれ幸いと利用し、倫子を板橋に受け止めさせたまま、その背後から結合を試みる。
「おいおい……」
板橋はあくび交じりに苦笑した。
<つづく>
(1)19:53〜(10)20:15、(11)20:18〜(20)20:44 (21)20:47〜(30)21:07、(31)21:09〜(40)22:03 (41)22:22〜(50)23:53、(51)23:54〜(60)0:20 (61)00:24〜(70)0:50
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